第11章 プレトリアの真実 魔道の国
話を聞いてロックは少し考えた。海賊行為は罪だ。ただ海賊にならざるを得なかった者たちに罪はあるのか?
「ルーク、どう思う?」
「難しいところだね。イーレン男爵家もロジャー子爵家も跡継ぎ以外を養う余裕が無かったのかも知れない。でもそれで海賊になってしまったと嘘を吐いてまで家に戻れないようにするのは間違っているんじゃないかな」
「だよな。バルバロスたちの罪は減らしたりできないものかな」
「僕たちは部外者だから難しいんじゃないかな。証言して上手く採用されれば、もしかしたらとは思うけど人を殺していないけど積み荷は奪っているんだからね」
海賊は捕まれば死刑、というのが通例だ。ロックは捕まえてしまったことを少し後悔していた。
「ロック、駄目だからね」
ルークは釘を刺す。ロックなら海賊をこのまま逃がしてしまいかねないと思ったからだ。
もしそうなってしまったらロックたちも海賊に加担したとしてプレトリア州騎士団からお尋ね者として手配されてしまいかねない。
「でも話を聞いてしまったら放っても置けないと思わないか?」
ロックならそう言うだろうと話の途中でルークは気が付いていた。やはりそうなってしまったか。
「ロンに相談してみない?」
「あいつ、信用できるんだろうか?」
「まあ、プレトリア州の高位の人に繋がっていることは確かだと思うけど、それがどの程度の人かにもよるかな。でも危険なことには間違いないよ」
イーレン海賊団には政争に敗れた貴族の子弟が何人もいる。それは勝った方の貴族が今も健在という意味でもある。
勝った方の貴族たちは負けた貴族が復権したりすることを許さないだろう。たとえそれが、ただの平民の身分であったとしても。
「多分彼らには敵が多すぎると思う。海賊だった時は手を出せなかったけど、こうして捕まってしまったら完全に抹殺しようとするに違いないよ」
「そういうことになるな。ロンってやつの後ろ盾がちゃんとして奴ならいいんだが」
「それにこの船の船長や船員、傭兵たちの口裏も合わせてもらう必要があると思うんだ」
「色々と大変だな」
「他人事みたいに言わないでよ」
「他人事じゃなくてルークの全部お任せねってやつだ」
ロックは方針だけ決めて何もしないつもりだ。ルークはため息を一つ吐いた。
「はーあ。判った、なんとかしてみるけどプレトリアに居られなくなったらごめんね」
「いいよ、拘りは無いから。そんなことよりバルバロスたちのことが気になってしまうからな」
ロックらしいと言えばそれまでだが、厄介ごとを自ら引き寄せているかのようだった。




