第11章 プレトリアの真実 海路による東行⑩
「それで?」
船室の一つを貸してもらってロックはバルバロスと話をすることにした。
「お前に話しても不利になるような事は無いと思うが有利にもならない」
「それはそうなんだが、いいじゃないか」
ロックはただの興味本位で聞きたいだけだ。
「無理に話さなくてもいいよ。ロック、あまり深入りしないほうがいいかも知れないし」
ルークの忠告はロックの耳を通り抜ける。
「いいから話してみろよ」
「わかった」
それからバルバロスは自分たちが海賊になった経緯を話し始めた。
バルバロスやディーは元々プレトリア州の地方貴族だったらしい。
貴族として出世や栄達を望んしていた訳ではないが、それほど貧しい暮らしをしていた訳でも無かった。
バルバロスは男爵家、ディーは子爵家のそれぞれ嫡子ではない次男と三男だったので跡継ぎとは言えず、剣や魔道で身を立てることを夢見てザグレブから同じ船に乗り合わせた。
運の悪いことにその船が海賊に襲われ二人は捕虜になってしまった。その情報がどう伝わったのか、二人は海賊になったということで各々の家から勘当され手配書が回されることになってしまったのだ。
いくら真実を伝える手紙を書いても返事は無かった。実家に戻るにも手配書のお陰で戻るに戻れなくなっていたのだ。
実家からの援助は見込めず海賊の捕虜になったままではどうしようもないので二人は海賊団を乗っ取ることにした。
それが上手く行って船を手に入れた二人は配下に政争に敗れて落ちぶれた貴族の子弟たちを受け入れてたりしながらイーレン海賊団を立ち上げたのだ。
一度だけイーレンの名を使うなと実家から連絡があったが無視した。
後で聞いた話だが、海賊に捕まった話はちゃんと実家にも伝わっていたらしい。それを二つの家の長男たちが握りつぶしていたのだ。
「大した話ではない」
「まあそうだな」
「なんだ、聞いておいてそれか」
「なんで実家の兄たちに復習したりしなかったんだ?」
「何人も俺を頼って逃げて来た者が居るのに、そいつらを放っておいて自分の復讐を優先する訳にも行くまい」
バルバロスは海賊ではあるが人情に篤い海賊だった。




