第11章 プレトリアの真実 海路による東行⑨
「悪いね。全部開放させてもらったよ」
ロックがバルバロスの相手をしているうちにルークとロンで海賊どもを全員縛り上げて船員と傭兵を開放していたのだ。
「なんだと。いつの間に」
ルークたちは出来るだけ音を立てずに気が付かれないよう十分注意していた。ただそれが出来ることは普通ではない。
「もう後は三人だけだよ」
そこには海賊はバルバロス、ディー、トマスの三人しか立っている海賊は居なかった。
「くそぉ、お前、そうだお前が乗っている船を狙ってしまったのが運の尽きか。仕方ない、このまま降参するから部下のやつらの命だけは助けてやってくれないか」
バルバロスが諦めて殊勝なことを言いだした。どうも海賊らしくない。
「それはまあ、元々命まで取ろうなんて思っていなかったからいいが、なんだよ、あんた海賊にしてはいい奴なのか?」
「いい奴かどうかは知らんが部下たちは俺に従っていただけだ。それも海賊しか出来ない状況に追い込まれて仕方なく海賊に身を窶した奴らばかりなんだ。手荒なことはしないでやってくれないか」
「理由や事情はよく判らないが、逆の立場ならお前たちは船員たちを皆殺しにしていたんじゃないのか?」
「いや、俺たちは荷は取るが命は取らない主義なんだ」
確かに船員や傭兵はただ縄で縛られていただけだった。殺す気なら殺せたはずだ。
「お客さん、確かに海賊の中で誰も殺さず積み荷だけ奪っていく奴らかいる、と聞いたことが有ります」
船長がロックにそう告げる。そんな海賊もいるんだ。
「へぇ本当なんだな。まあだからと言って海賊行為が正当化される訳ではないから捕縛されるのは仕方ないと思ってくれよ」
「それは判っている。俺たちも命は奪わないと言っても、どうしても奪わない場合は躊躇していからな」
バルバロスたちは剣の腕は確かだし簡単に命を奪わない海賊っていうのがロックは引っかかった。
「何か事情があるんだな。話してみないか」
海賊の話を聞いて情状酌量の余地があったとしてもプレトリア州の法に照らして有罪であればそれ相応の罰は受けざるを得ない。
ただロックたちの助言で罪一等を減じることができるかも知れない、とロックは考えた。剣を交えたことで少し情を憶えてしまったらしい。
「船長、このまま船は目的地に向かってもらっていいけど、こいつらの船も曳航できないものかな」
「判りました。なんとかしてみましょう」
船長は二つ返事で受けてくれた。話が早くて助かる。




