第11章 プレトリアの真実 海路による東行⑦
「オヤジ、オヤジィ」
トマスとディーの後について行くと海賊の首領が船の傭兵と船員は全滅していた。死んでいる訳ではないが皆後ろ手に縛られていたのだ。
「なんだ、もう終わったのか」
首領がディーに声を掛けるが後ろに続くロックたちに違和感を覚えた。
「そいつらはどうした?」
「オヤジ、申し訳ありません、こいつら強くて俺たちでは太刀打ちできませんでした」
副首領であるディーとその次に強い筈のトマスの二人掛で負けてしまったのだ、相手の力量が知れる。
「なんだ、負けてしまったのか。仕方ない、そいつらを見てろ、俺が相手をする」
ディーとトマスが負けた相手、というのにもかかわらず首領の自信は揺るがない。
「お前たち、相当強いようだな。確かにさっき打ち合ったそっちの奴は強そうだった。二対三ではディーたちも敵わなかったか。俺が直々に相手をしてやる、光栄に思え。一対一でなくてもいいぞ、全員で掛かってこい」
「オヤジ、違う違う、俺たち二人はそいつ一人にやられたんだ」
「なんだと?そうか、やはりお前が一番強いんだな。判った、じゃあ一対一だ、正々堂々相手してやる」
海賊に正々堂々と言われてもな、とロックは思ったが口には出さなかった。
「元々一対一でやるつもりだったからいいぞ、掛かってきな」
「ロック、そいつ結構強いよ」
「判っている。楽しみだ」
完全にロックは楽しむ方向に舵を切っている。
「俺の名はバルバロス=イーレン。イーレン海賊団の団長だ、お前名は?」
「俺はロック、ロック=レパード。えっと、ルーク、俺たちは今なんて名乗るのが正解なんだ?」
「良く判らないけど修行の旅の途中なんだから、まあ旅人ってところかな」
「旅人か、まあいいや、今度もっといい名乗り方を考えておいてくれよ」
「それって大事?」
「当り前だろ。さすらいの旅人しか」
「ロック」
「なんだ、相手が待ってるよ」
ロックとルークの会話を呆れ顔でバルバロスが聞いている。ただその間切り掛かっては来なかった。ロックとしては油断している振りをしていたので切り掛かって欲しかったのだが、海賊だとしても卑怯者ではない、というところか。




