第九章 杜の国 サイレンの魔女Ⅱ③
丁度そこにルークが戻って来た。外でどれだけの時間が経過していたのかロックにはほからなかったが、何かしらの解決策を持ってルークが戻って来たのは確信していた。
「お待たせ」
「いや、それほど待ってないさ」
「そうなんだ。やっばり中と外では違うんだね。結構時間が掛かってしまって怒ってるんじゃないかと心配していたんだ」
「外ではどのくらい経ってるんだ?」
「ざっと1週間」
「えっ、そんなに?」
ルークは外に出て直ぐにアークに頼んでソニーに連絡を付けてもらった。何かいい案が無いか、と頼ってみたのだ。
しかし、ソニーからはよく判らない、という返事が返って来た。
(おい、困り事か?)
「やあ、久しぶり。無事だったんですね」
それはジェイだった。シェラック?フィットとユスティニアス=ローランの後を追ってウラノで別れて以来だ。
(もしかして儂のことを忘れておらなんだか?)
「そんなことある訳無いじゃないですか」
(どうだかな)
「それで、二人はどうだったんですか?」
(まあいい、今二人はルーロの街まで来ているぞ。ウラノからトーアまで行ったんだが、そこで大雪に閉ざされてしまって、元の道を戻らざるを得なかったのだ)
「なるほど、それで今ルーロに。トーアの先を目指していたけれど行けなかった、ということだね」
(そうだな。ただ目的地と目的は判らなかった。あまり近づけなかったからな)
「目的地は一つかな。多分地図で見るとトーアの先にはノクスという村しかなかった筈だし。目的は判らないけれど」
そんな山奥にどんな用があると言うのだろう、と思ったが今のところ答えは見つからなかった。
(多分、そろそろこの街に着くころかも知れんな)
「そうなんだ。ジェイは彼らがルーロを出たからここに来たんだね」
(お前たちが見つからなかったからな。とりあえず街道を進んで来たのだ)
「まあ、一本道だからね。それにしても、ありがとう、ちゃんと無事で戻って来てくれて」
(当り前だろう、儂を誰だと思っておるのだ)
「齧歯類の王?」
(猛禽類の王じゃ)
「はいはい、判りました。彼らにも頼ってみるかな」
(何かあったのか?そういえばロックはどうした?)
「ちょっと面倒なことになっていてね」
ルークはそれから一連の事情をジェイに説明するのだった。




