第3章 放浪の二人 秘密の森⑦
「助かったね。」
「ルーク、魔道をそのままはね返せるなら、
そう言っておいてくれよ、突然怒らせるから
吃驚するじゃないか。」
「ごめん、ごめん。本当にはね返せる程度の
魔道かどうかも判らなかったし、相手に気づ
かせる訳にもいかなかったからね。まあ上手
く行ってよかった。」
「自信があった訳じゃないのか?」
「そりゃないよ、ナグとも初めて会ったんだ
から。ある程度は魔力も図れたけれどもね。」
(我の助力を忘れるでないわ。」
自分の主とロックたちの連れを伴ってジェ
イが戻ってきた。
「わかっているさ、ジェイの助けがなかった
らナグを倒せなかったかも知れない。本当に
感謝しているよ。」
そこへレイラとフローリアが合流した。あ
と一人も。
「なんなの、この大きなネズミは。頭の中に
変な声が聞こえてくるのはこいつなの?」
(命の恩人に向かってこいつ扱いとは失礼な
女子じゃな。我が主とは大違いじゃ。)
「そう言うでないブラウン=ジェイキンよ、
わらわも助かったわ。油断しておらなんだら
ナグあたりに引けを取るわらわではないが迂
闊にも魔道拘束を受けて身動きとれなんだで。
お前たちにも世話になったようじゃの、助か
った。」
見た目はうら若き乙女にしか見えないが、
実は恐ろしい魔女の一員であるステファニー
=メイスンは素直に二人に謝意を述べた。打
つ手がなかったのは間違いなかったようだ。
「とりあえず外に出よう。ここは何だか瘴気
に満たされているようで息苦しいよ。」
ルークの提案に全員が賛成した。




