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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第八章 剣士祭 剣士祭Ⅲ⑧

「いつまでも続けてたら迷惑になるよ」


 ルークのアドバイスというか指令というか、なんとも気の抜けた声掛けで試合は急転する。


「判ったよ」


 ロックがそう答えると動きが急に速くなった。何もかもが二段階ぼど上がったのだ。


「えっ」


 ロマノフが驚愕の表情を浮かべる。ロックの剣を受けるのことが間に合わなくなってきたからだ。


 剣速だけで言うとクスイーの方が速いが打ち込みの角度やフェイント、力の入れ方、逃がし方が絶妙だった。


 ロックの剣は避けられない。そして受けられなくなりつつある。ロマノフからの攻撃は完全に出来なくなってきた。


「よいしょっと」


 ロックが妙な掛け声で上段から打つ降ろす。それを受けたロマノフの剣が下にそのまま落とされた。


「そこまで、ロック=レパードの勝ち」


 ロマノフは信じられない。なぜ自分の剣が手から離れて落ちたのか。ロックの剣はそれほど力を込めた一撃には見えなかった。十分受けきれるはずだったのだ。


「おっ、お前、何をした?」


 ロマノフの問いにロックは答えず、ただ笑い返すだけだ。挑発しているようにも見える。ロックにはロックの考えもあるのだ。


「ロック、いいの?」


「いいさ、俺ならば。ルークも一緒なら一石二鳥だ」


 あとでランドルフ道場の関係者に襲われる可能性を示唆している。少なくともミロさえ標的にならなければ問題ない。


 ランドルフ道場は今回クレイオン道場に雪辱を果たすことが目標だったので、それまで負けるなどとは想定していない。


「ロマノフ!」


 自分が負けたことがまだ信じられないロマノフに対してサーシャの叱責が飛ぶ。聖都騎士団所属のどこかの道場ならまだしも私塾自由道場に負けることなどあってはならないのだ。


「だからあれほど」


 サーシャもそれ以上は流石に飲み込んだ。要するに事前にローカス道場を潰しておけば、ということだろう。

 本来ルトア道場を潰す目的で配下の者を使ってアイリス=シュタインを襲わせたことでローカス道場との因縁が出来たのだ。


 ランドルフ道場の関与もルークやロックが居なければ相手に確証を与えなかったはずだった。


「ロック、一つの目標は達成したね」


「そうだな。クスイー、これでよかったか?」


「ありがとうございます。十分です。来年はきっと自分で勝ってみせます」


 クスイーの決心が顔に現れていた。それは自信ともとれる表情だった。


「次は剣士祭本選準決勝だね。相手はどっちかな」


「ルトア道場に勝ってもらわないとクリフ=アキューズと試合えないからな」


 剣士祭本選の一回戦最後は前回準優勝の聖都騎士団所属メスト道場とマゼランの三騎竜の一角クリフを擁するガーデニア州騎士団所属のルトア道場だ。

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