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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第八章 剣士祭 剣士祭Ⅲ⑤

「後は任せておけ」


 アクシズはクスイーに言い残し中央へと向かった。


「中堅戦ローカス道場アクシズ=バレンタイン対ランドルフ道場スミノス=モンドラ、始め」


 今までの二試合とは違い、開始の声を聴いても二人は動かない。少しずつ、ほんの少しずつ二人が右に円を描くように動く。


「相手も相当なもんだね」


 ルークが話しかけるがロックは特に気にしていない。興味がないようだ。だがマコトやクスイーの相手と比べてもスミノスの方が一枚上なのは間違いない。


「何をやっているスミノス、早く決めてしまえ」


 ランドルフの名を持つ副将シューア=ランドルフが声を掛ける。


「何をやっているアクシズ、早く決めてしまえ」


 ロックが真似て声を掛ける。態と相手を揶揄っているのだ。隊商であるロマノフ=ランドルフの顔が歪むほどロックを睨みつけてきた。ロックからすると大将戦で本気を出してもらうための布石でしかない。


「そう簡単な相手じゃないぞ」


 アクシズが応える。


「出来ないとは言わないけどな」


 スミノスの顔色が変わった。見下されているのが判ったからだ。


 静から動へ、いきなり切り替わった。スミノスがアクシズに袈裟懸けに切り掛かる。アクシズは受けずに躱す。スミノスの剣はそこから鋭角に跳ね上がる。それもアクシズは躱す。


「ちょっと余裕を見せている場合じゃないな」


 スミノスは強い。アクシズが今まで戦った中でも指折りの強さだ。アクシズがロックと出会う前ならもしかしたら勝てなかったかも知れない。ロックと言う化け物(

アクシズ曰く)に刺激を受けてアクシズも一段成長できたのだ。


 そのアクシズをして余裕がない、と言わしめるスミノスは確かに強かった。


「ちょっと本気出してもいいかな」


 アクシズのギアが一段上がる。


「最初から本気で行かないと出し惜しみしている場合じゃないよ」


 ルークも今までの経過でアクシズに分があるとは思っていたが何が起こるか判らない。


 ルークに言われてかアクシズの動きが変わった。今までスミノスの剣を躱していたのだが、一旦受けてから返す。


 アクシズが返す回数が増えていく。そして、スミノスの振り下ろす剣の回数をアクシズの剣が返す回数が超えた時勝負が決まった。


「そこまで、アクシズ=バレンタインの勝ち」


 スミノスはアクシズを殺すかのような視線を送る。相当悔しいようだ。それはランドルフ道場の事情もあった。ランドルフ道場では選抜式で本選出場者を決めるのだが一度でも負けると道場内の予選に一から出ないといけなくなるのだ。相手の強さは関係が無かった。


 そしてローカス道場はこれでやっと1勝2敗に持ち込んだのだった。

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