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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第八章 剣士祭 剣士祭Ⅲ

 本選が始まる。マゼランの街は完全に剣士祭一色になっている。剣士の修行の街らしく武骨で煌びやかではないが大勢の観客が本選会場であるクレイオン道場の周囲に集まっていた。


 道場周辺に集まれない人々はマゼランの中心にある大きな公園に集まっていた。そこで賭けが行われている。


 賭けは一次予選から行われていたが本選は金額が跳ね上がるのだ。賭けはガーデニア騎士団が取り仕切っている公式のものと裏社会の者たちが行っている闇の賭けがあった。


 賭けの倍率は前日に締め切られており、前回優勝のクレイオン道場がなんと1.1倍と圧倒的だった。本選出場道場で最下位はローカス道場の100倍で5人しかいない、ということもマイナス要因になっているのだろう。


 メスト道場が3倍、ルトア道場がクリフの出場で5倍、ランドルフ道場が10倍、カンタロア道場が15倍となっている。後はイプロス道場が25倍、スレイン道場が50倍だった。


「凄い倍率だな、期待されているようだ」


 ロックは皮肉を言う。


「ローカス道場に全財産を掛けてみる?」


 ルークが揶揄うが乗ってこない。


「駄目駄目、それほど過信している訳じゃない。でもいい籤順だったことは間違いないな」


 一回戦でいきなりランドルフ道場と当たる。それに勝てればルトア道場がメスト道場に勝ってくれるとクリフ=アキューズとの対戦が叶うのだ。


「とりあえずランドルフ道場をクスイーの為にもなんとかしないとね」


「クスイーは自分が勝ちたいだろうな。どう思う?」


「アクシズに任せっきりだったから何とも言えないけど、ちよっと間に合わなかったんじゃないかな」


「じゃあ俺たちで仇を打つしかないな」


「そうだね」


 ロックとルークの間でそんな会話が交わされていた頃、会場の外では別の会話が交わされていた。


「本当にここまて来てしまったのね。無茶をするものだわ」


「無茶なのは判っている。でも君のことを傷つけようとした奴らは許せないんだ」


「なんで私が誘拐されそうになってことをあなたが怒っているのよ」

 

 アイリス=シュタインは結局今日まで襲われることは無かった。外出時にはリンク=ザードが常に付き従っていたこともあるがロックたちと公けに敵対したくない、という打算もあったのだろう。

  

「それは」


「まあいいわ、ランドルフ道場はうちが倒すんだから邪魔しないでね」


 アイリスの言う通りにするとローカス道場は一回戦で負けてしまうことになる。


「アイリス、それは駄目だ。例え僕が負けてもロックさんたちは負けないと思う。ランドルフ道場には勝つよ」


 クスイーの目には自信というか確信が溢れている。こんなクスイーを見るのは初めてだった。


「かっ、勝手にしなさい。応援何てしないんだから。それにランドルフ道場に勝っても次はうちの道場だし、今年はクリフが出てくれているから負けないわ」


「確かにクリフさんは本当に強いよね。一度試合ってみたいよ」


「あなたなんて一撃で終わりよ」


「うん、それでもいいんだ。僕は自分でちゃんと強くなって行きたい。いつまでもアクシズさんたちに頼ってはいられないから」


「アイリス様、一回戦が始まりますよ」


 二人の会話を阻むようにリンクが声を掛けに来た。リンクとしては他道場の者とアイリスが話をすることが気に入らないのだ。


 そして剣士祭本選第一試合聖都騎士団所属クレイオン道場とアストラッド州騎士団所属スレイン道場の試合が始まった。 



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