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虹の戦記  作者: 綾野祐介
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第八章 剣士祭 剣士祭Ⅱ③

「明日の二次予選決勝は順番を変えるか?」


 とうとう痺れを切らしてロックが提案する。中堅までに出れば必ず一回は戦えるのだ。


「駄目だよロック。マコトやクスイーの実戦練習も兼ねてるんだから」


「それはそうなんだが、暇すぎる。何とかならないもんか?」


「何ともならないよ」


「ルークは一回戦ってるからいいが俺はまだ一度も出てないんだ、ちょっとくらい」


「駄目」


 ロックは駄々っ子のようだ。


「ロックは相変わらずね。本当に強いのかしら」


 ロックの強さを十分見聞きしている筈のミロが言う。


「剣の強さと精神年齢は関係ないのかも知れないね」


 ルークは無責任なことを言う。


「なんとでも言ってくれ。とりあえず俺は三騎竜と戦いたいんだ。そこまでは負けないでくれよ」


 ルークまでで3敗してしまうとロックの出番が無くなってしまう。アクシズやルークが負ける所は想像できないが、もっと強い剣士が居ても不思議ではない。


「俺は1敗もするつもりないぜ」


 マコトはいつもは早く寝てしまうのだが今日は珍しく起きている。明日に向けて眠れないのだ。明日勝てば剣士祭本選に出場できる。マゼランでは剣士祭本選の出場者は特別視されている。一種の英雄だ。当然マコトにとっても重要な事だった。


「それは頼もしい。残り試合全勝で行こう」


「そうなれば君の出番はないよ」


「あ、それは、うーん、困った」


「まあ、三騎竜が出てきたら順番をちゃんと合わせてあげるから心配しないで。誰も三騎竜と戦いたいなんて思ってないから」


 ルークの本音だった。負けると判っている試合には出たくはない。もしかしたら勝てるかもしれない、と本気で思っているのはロックだけだ。


 ジェイの情報では昨年優勝のクレイオン道場や2位のメスト道場も当然の様に勝ち残っている。三騎竜の一角クリフ=アキューズのルトア道場もだ。そしてクスイーが戦いたいと待ち望んでいるランドルフ道場も順当に勝ち残っていた。


 二次予選、クリフはルトア道場の中堅で出場していた。試合勘を取り戻すため確実に試合か出来る中堅を選んだのだ。本選では1回戦で当たらなければクリフの出場する順番が確認できるはずだから、ロックと試合できるようにすることは可能だった。


 逆にロックは常に大将であり、クリフが本当にロックと試合うために出場してきたのなら本選は大将で来るかもしれない。


「いずれにしても明日勝たないと本選は無いんだから、明日だな」


「ロックの出番が無いといいね」


「それは、まあ、そうだな」


 ロックの返事は歯切れが悪かった。

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