第3章 放浪の二人 秘密の森②
第3章 放浪の二人
2 秘密の森②
(我は偉大なる魔女の使い魔ブラウン=ジェ
ンキン、猛禽類の王だ。)
「それはさっき聞いた。」
(我は、我は、我は。)
「なんだ、どうした?話を続けろよ。」
「待ってロック、なんだか話し難そうだよ、
理由があるんじゃないかな。」
(そうなのだ。話したくとも話せない理由が
あるのだ。だから話せない。)
剽軽なネズミの印象から、少し変わってき
た。何か本当に困っているようだ。
「どうだろう、ブラウン=ジェンキン、何か
困っているのなら僕たちでよければ力になる
から話してみないか?」
少しの間をおいてブラウン=ジェンキンが
決心したように話し出した。
(実は我が遥か遠い時代にお仕えしていた偉
大なる魔女キザイア=メイスンの縁者ステフ
ァニー=メイスンというお方が今のご主人様
なのだが、先日この森の主に捕まってしまっ
たのだ。それから我は森の主の言いなりにな
っておるのだ。)
「人質に取られているってことか。」
(そうだ。彼の者は千の仔を孕みし森の黒山
羊の眷属にしてこの森の主であるナグという
恐ろしい怪物なのだ。彼の者は我が主を騙し
討ちにして森の奥深くに閉じ込めてしまった。
そして我は彼の者にこき使われておるのだ。
我が彼の者に逆らえば我が主の命は無い。お
前たち、ここまで我が話をしたのだから我が
主を助ける手伝いをするのだ。)
「なんだ、命令か?」
(いや、お前たちが話せというから。まあよ
い。というか、お願いだ、我が主を救っては
くれまいか?)
「最初からそう言えばいいんだよ。」
「ロック、あんまり虐めたらかわいそうだっ
て。ちゃんと助けに行くから安心してよ。で
も本当に僕たちの連れのことは知らないかな
?」
(女二人のことか。)
「知ってるじゃないか。」
(確かに知っておる。但し、我が主と同じよ
うに森の奥深くに連れていかれるのを見ただ
けだ。多分同じ場所に幽閉されているのでは
あるまいか。)
「それを早く言えって!」
二人と1匹の目的が一致したのだった。




