第3章 放浪の二人 放浪の始まり③
第3章 放浪の二人
1 放浪の始まり③
「ううっ。」
最初に目を覚ましたのはロックだった。
「みんな大丈夫か?」
「ええ、僕は大丈夫。ロックは怪我してない
?」
「俺は大丈夫。あちこち擦り傷とか打ち身と
かはひどいけど。あれ、馬車は粉々に壊れて
しまったな。馬も居ないし。」
「ロック、ロック、そんなことより、レイラ
とフローリアさんの姿がないよ。」
「ええ、何だって。どうりで静かだと思った
よ。」
「そな冗談言ってる場合じゃないって。二人
を探さないと。」
ロックとルークの二人は何とか無事だった
剣と手持ちの荷物をもって周辺を探し出した
が、やはり二人の姿は見当たらない。
「どうしようか。そもそもここは何処なんだ
ろう。ロスの町に近づいたんだろうか。」
「全然判らないよ。近くには民家もなさそう
だし、街道もどこにも見えない。あの森に行
ってみるしかないね。」
「夜が近いぞ、ルーク。知らない森に夜中に
入るのは自殺行為じゃないか。」
「そうなの?森って危険なんだね。」
「喰種や魍魎たちがわんさか居る
森もあるんだ。」
「剣でなんとかなるものかな?」
「まあ、ある程度はなんとかなるだろう。魔
道を使うような奴らもいるから、ルークが一
緒じゃないと俺だけでは無理だ。」
「当然行くなら一緒に行くさ。二人を探すの
が最優先だからね。」
二人は夕暮れが深まってきた中、遠くに見
えている森へと向かうのだった。




