第7章 マゼランの三騎竜 ローカス道場Ⅲ⑩
「何事だ、お前たちは何者だ?」
戻ってきた一行の中で一番威厳のありそうな男がアクシズたちに向かって問う。
「何事もないさ、ただ友人を迎えに来ているだけだ」
「友人?」
そこで塾生の一人が耳打ちする。事情を説明しているのだろう。
「そうか。で、お前たちも仲間なんだな」
「仲間といえば仲間だな。同じ道場に所属している。そういうのを仲間と呼ぶならそうだろう」
アクシズは完全に相手を怒られにかかっている。クスイーは気が気でなかった。
「となると切られても仕方ないととうことでよいな?」
「何でそうなるんだよ、ただ友人を迎えに来ただけだと言っているだろう」
アクシズの言葉を聞いてはいない。先ほど耳打ちした塾生に中の様子を見に行かせて自分はアクシズたちの正面に対峙する。この道場の師範か師範代だろう、まあまあの腕に見える。
「道場破りの仲間なら道場破りと同様、切られても文句は言えない、と言っておるのだ。丁寧に説明をさせるでない。」
「わかった、わかった。俺が相手をすればいいのか?」
「そうだな。その後ろの奴はお飾りか?」
「こいつは勘弁してくれ。実戦はまだ少し早い。」
「そんな我にも行くまい。二人仲良く相手をしてもらおう」
師範らしき男は外に居た塾生を嗾けた。その全員をアクシズが捌いて行く。この程度では相手にならない。男が一緒に連れて戻って来た一行はまだ手を出してこない。有象無象の塾生とは格が違う、という目で様子を眺めている。
その有象無象の塾生が真剣でクスイーに切り掛かったことでクスイーの剣が覚醒したのだが今師範の横にいる奴らとは戦わせる訳には行かない。塾生あたりなら今のクスイーでも十分なのだが。
「もうそろそろ底を突いてきたぞ。あんたたちのでばんじゃないか?」
アクシズは挑発する。そろそろロックたちが出て来てもいい頃だ。丁度その時、ロックたちが表に現れたのだった。
「クスイーを数に入れて言いってどういう意味だ?」
「そのままの意味だよ。クスイーはちゃんと相手の剣を受けられるようになったんだ。真剣で向き合わないと駄目だった、ということだな。」
ロックは嬉しそうにクスイーの頭を撫でる。
「そっか、よくやった。これでもう百人力だ」
「ありがとうございます、なんとかお役に立てそうです」
そこに物も言わずに師範の横に居た男たちが切り掛かる。但し三人だけだ。師範ともう一人は来ない。三人ではロックたちを倒せない。
「ほう、やりおるな。師範代では三人でも相手にもならんか」
「まあ、そんなとこだ。帰っていいかい?」
ロックはもう興味が無い。
「そうは行かない。中にもう一度もどってくれるかな」
「ええ、もう強い奴が居ないなら帰りたいんだけどな」
「強い奴はいるさ、それでいいか?」
「それならまあいいか」
ロックは簡単だ。




