第7章 マゼランの三騎竜 ローカス道場Ⅲ⑥
ロックとルークは手分けしてマゼランの道場を回った。マコトは道場破りをしていたのだから何かそこに理由があるはずだったからだ。
マゼランに滞在して有名どころの道場はある程度判っていたのでとりあえず各所を回る。目ぼしい所を全部回ってもマコトの姿はなかった。
ロックたちは一度合流して作戦を立てることにした。小さな道場は数知れない。その全てを探すことは不可能だったからだ。
「で、どうする?」
「とりあえず昼間に探すのは無理かも知れないね。あとは宿だけど引き払っている可能性が高いと思う。」
それは直ぐに確認できた。確かにマコトは宿を出ていた。これで宿に戻るマコトを捕まえることは出来なくなった。あとは、あの店だが居なくなった夜に直ぐ割れている店に行くことはないだろう。
「一応念のためジェイに頼んで地下を見て来てもらおう。」
「そうだな。でも、本当にどこに行ったんだ、マコトは。これでは剣士祭に出場できないじゃないか。」
本心から心配している事を認めたくないロックの照れ隠しの言葉だった。ただ、半分は本気だとルークは見ていた。
道場に戻るとアクシズとクスイーが待っていた。ミロも出てきたので報告する。
「ごめん、マコトは宿も引き払っていて今日は見つからなかった。」
「そうか。仕方ないな。もう諦めたらどうだ?どうも最初から胡散臭い奴だと思ってはいたんだ。」
マコト以上に胡散臭いように見えるアクシズが言う。
「そうは言うが、あの腕は中々なものだ。あいつ以上の剣士を今から探すのは無理だと思うぞ。」
「でも居ないものはどうしようもないじゃないか。
それよりクスイーの方をもうちょっと何とかしないと間に合わないぞ。」
アクシズによるとクスイーは今迷いが出てしまっていて何も進まないらしい。自分の剣速は少し理解してきたのだが、その剣速で相手の剣を受けたりすることがいつまでたっても出来ないでいるのだ。
アクシズの剣速に合わせようとすると逆に遅くなりすぎてしまう。自分の剣速で受けようとするとアクシズの剣の前に空振りをしてしまうのだ。そこから一歩も進化していなかった。
「なんとかならないのか?」
アクシズは教えることにはロックやルークよりも長けているように見えた。そのアクシズが間に合わないと言うのであれば本当に間に合わないかも知れない。
「今のところ打開策は無いな。俺以外と真剣で立合う、というのも手だとは思うが。」
「判った。そうだな、明日はとりあえず休んで一緒にマコトを探す、というのはどうだろう。」
「ロック、それはいいかも知れない。クスイーも修行ばかりで全然ソ都に出ていないから気晴らしにもなるだろうしね。」
ジェイの報告では今夜はあの店には現れなかったらしい。暫らくは顔を見せないのかも知れない。
明日はミロも含めて全員でマコトを探してみることにした。どうしても見つからない場合は、ロックではないが誰かもう一人探さないといけないかも知れない。




