溢れる涙
〜登場人物〜
朝方雛。
ひつじ・加絵。
ヒック・・・。
グスン・・・。
私は家に帰るなり、自分の部屋に入った。
そしてベッドにうずくまり、今泣いている。
・・・あの人美人だったな・・・。
いいな。
私も晃君とお似合いの女になりたいよ・・・。
「雛ちゃん」
ひつじの加絵さんが静かに部屋に入ってくる。
私は目を拭い、加絵さんの方を向く。
「どうしたんですか?」
私は無理して笑顔を作る。
そんな私を見た加絵さんは、険しい顔をする。
「なんで泣いてたの?」
私は黙り込む。
「おしえて?」
加絵さんはまた泣きそうな私に、優しく問い掛ける。
「・・・好きな人の彼女見たんです」
私は下を向きながらボソッと言った。
「そっか・・・。ほんとに彼女なの?」
「だって・・・本人に聞いたんですから・・・」
「彼女の名前とか顔知ってるの?」
「知りません」
「じゃぁ違うかもしれないじゃない!」
加絵さんの顔はパァッと明るくなった。
「頑張って」
加絵さんは私の肩をポンッと叩き、部屋から出て行った。
頑張れって・・・。
何を頑張るのよ・・・。
彼女に決まってる・・・。
だって、2人とも幸せそうな顔してたんだもん・・・。
頬を伝う一粒の涙。
あ。また涙出てきちゃった。
バカな私。
泣き虫なんだから・・・。
元気付けてもダメだった。
涙が止らない。
どうしても不意に涙が出てくる。
・・・どうして?
どうしてこんなに悲しいの??
ただ・・・晃君に彼女がいたってだけなのに・・・。
私はバカだな。
ホントバカ・・・。
涙が溢れる。
床が濡れちゃうくらい溢れる。
・・・止らない。
本当のことを知らなきゃ止らないよ・・・。
私はムクッと立ち上がり、部屋を出て、家を飛び出した。
向かった先は・・・
晃君の家。