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「うん、まー他の洗濯物に色移りしなくてよかったわよ。でもなんで?」
「あ、それ私処分しておくわ」
「千絵もしかして……あなた心当たりがあるの?」
「うんまぁそういうわけでもないけど、家に置いとくのも…なぁと思ってさあ」
そう言って赤いハンカチを受け取り、そのままカバンの中にポンっと放り込んだ。
翌朝、学校に行って教科書を取り出した時に昨日入れた赤いハンカチが見えた。すっかり忘れていた、さてどうするかな。
学校帰りいつもの道を通り家に帰っていると、A団地の角にある家から出てくる恒例の女性が大きなカバンを抱えて出かけている姿を見たのだった。
私はその人が見えなくなる迄少しだけ待ってからその家のポストに赤いハンカチを放り込んだ。
表札を見ると「伊藤」と書いてあった。
そんな事は忘れて一か月が経とうとした時、この前ハンカチを入れた家の伊藤さんが亡くなっていた事が分かった。
赤いハンカチのせいかも……そう頭を過ぎったが、まさかね……。
そう思いながら、ポストを開くとまた四つ折りになった白い手紙が届いていたのだった。
『伊藤家に赤いハンカチを入れてあったが26日が経過したた為、タヒにました_。再開として、前回鬼だった関谷さんの鬼です。マイナスポイント計2点です。さぁがんばりましょう※赤いハンカチを洗濯してはいけません。次回洗濯をした場合はマイナスポイント3点になります』
その手紙を見て気味が悪くなってしまうのだった。
色が薄くなっていたはずの赤いハンカチは新しい物と差し替えられているようだった。
気にしないようにするものの、夜自分の部屋で一人でいると、ますます不安になった私は亮介に相談することにした。
コンコンッ____。
しかし、亮介の返事はない。
「亮介____?」名前を呼びながら今度は扉をもう少し強く叩いた。
「はい、なに?」亮介はやっと気が付いたのか部屋を開けた。
「ごめん寝てた?」
「ううん、ちょっとゲームしてて。で、何?なんか用?」
「あのさぁ、実はさあ……赤いハンカチ……出したんだよね」
「出したってどこに?」
「伊藤さん家に……」
「伊藤さん?誰だっけ……」
「ほら、東側の家の一番端の家の……」
「え?あそこの人って確か…この前亡くなった?」
「……そう、ちょっと気になってね」
「気になるって何が?」
「……うんだからさあ、赤いハンカチのせいで亡くなったんじゃないかなと思って……」
「ぜってーそのせいだろう」
「やっぱり……」