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「だろ?俺と比べて不安に思ったんだろ?俺と比べなくっていいの、俺もだけど、他の人と比べなくっていいの、川嶋さんは川嶋さんでいいんだよ今までの自分はやらなかったのに、今日はそれ以上にできた事が素晴らしい事なんだから。だから俺はすごいねって言うにきまってるじゃん」
川嶋さんは、ん?と言う顔をしながらも人差し指を顔の前で突き出して「え、ありがとう、なんだかすっごく嬉しい」そう言いながら満面の笑顔を浮かべた。
「じゃあこの問題解いてみな?」俺は川嶋さんのノートの白紙部分を見つけてそこに問題を書いた。
「えーちょっと待ってー?」右手で髪の毛を耳に掛けながら川嶋さんは嬉しそうにしている。
俺は川嶋さんが問題を解いている間に、鞄の中の教科書類を机の中に入れた。
「でーきた」
そう言いながら川嶋さんはシャーペンを机に置く。
どれどれ……?俺はその答えがあっているか確認する。
「正解!すごいじゃん」
「でしょ、でしょう?もうね本当に頑張ったんだからね?」
俺は川嶋さんの笑顔を見て、更に嬉しい気持ちになるんだが。こんなの普通の事なのか?
その夜俺は川嶋さんを思いながら眠りについた。このところ、俺の時間の多くは川嶋さんの事を考えているんだが……俺ってこんなに特定の女子をずっと考えるようなやつだったっけ?
しかしまぁそれはいいんだが、実際川嶋さんは俺の事をどう思ってんだろ。ただの都合のいいやつとか……?
でも、都合がいいやつとか言っても、俺そこまで使われてねーよな。
休日の朝俺は、またも姉貴によって早く起こされるのだった。
「なんだよー休日位、早めに寝かせてくれよな?」
バシン――――。
「いってーなにすんだよ……」姉貴は俺の頭をポカリと叩いてきた。結構いい音がしたぞ。クッソー好き放題しやがって。
「いいから起きなさいよ、これ、また入っていたのよー」そう言いながら姉貴は赤いハンカチをベットの上に投げつけてきた。
「なんで休日に限ってなんだよ……勘弁してくれよ」
「私だって知らないわよ~でもお母さんに知られる前にどうにかしなきゃいけないじゃない、こんなハンカチお母さんがいつ気が付くか分からないじゃない……」
パタンという音と共に、物凄い勢いで扉が開いた。
「それ、一体どういう事なのよ?」
「オカン……」




