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ありがとうってメールでも送ってみるか。
でも、メールって結構めんどくせーよな。メールよりも電話がいいんだろうか。いや、やっぱりやめた。面倒だし。
「亮介―亮介~」姉階段をドタドタ足音を立てて姉貴が俺を呼ぶ。
なんだよ~、休みの日ぐらいゆっくりさせろよ~と思うがそれを口にする勇気は無論ない。
「亮介、大変」姉貴はノックもせずにドカドカと遠慮なく部屋に入ってくる。
「ノック位しろよな」
「それどころじゃないのよ」
「何だよまさか」
「赤いハンカチが入ってたの……」そういうと持っていたハンカチをひらりと床に落とした。
床に落ちていくハンカチを見ながら「なにっ」と答える。
「あんたどこかに入れたんでしょう?」まるで責めるかの様に聞いてくる。
「清水さんの家に入れたんだよ、くそっ」
「清水さんって誰よ?」
俺は、午前中に作成した簡単な地図と名前を姉貴に見せる。
「B団地の清水さん」
「これ亮介が調べたの?」驚いたようにして目を見開いて聞いてくる。
「あぁ」
「午前中に……買い物行くときに、ハンカチ入れたの?」
「いや、その前には入れていたんだけど、一応入れた後確認していたんだけど」
「じゃあなんでうちに入っているのよ」納得いかないという顔だ。
「そんなこと俺に言われても。ただ」
「ただ?ただなんなのよ?」
「これで、清水さんも確実にこのハンカチゲームの事を知っていると言う事だよな」
「本当に私、もう無理。なにここの町。なんなの、私お母さんに言ってくる」切羽詰まったようにして言う。
「待って」オカンの所に行こうとする姉貴を必死に止める。
「なによ」
「言うのはまだ早い、それにオカンに今話したところで益々怖がらせるだけで混乱するだけだから」
「でも…」
「今はまだ黙っていよう…な、姉ちゃん」宥める様にして言う。
「じゃあそれどうするの?いっそのこと全然別のこの辺じゃない家に入れてしまえば?」
「それでもし、俺ら家族の身に何かあったらどうするんだよ」
「……」
「とにかく、これは俺に任して。ハンカチを見つけたら今後も俺に一番に知らせてほしい」
俺はそう言うとお香を水に濡らして火を消した後ハンカチを握りしめ地図を持って家を出る。
誰かこのハンカチの事を知っている奴はいないだろうか……。その時携帯の着信音が鳴り響いた。
ポケットから携帯を取り出し見てみる。
「差出人 川嶋さん」川嶋さんからのメールだった




