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あ~それにしても川嶋さんまだゲームショップにいるだろうな~仕方ない今日は諦めて家に帰るとしますか。
家にライターあったっけ?お香立ても持ってねーな。いーやオカンにいらない皿もらってその上で焚こう。
玄関のドアを引き、靴を脱ぐと靴下まで脱げそうになるのを手で引っ張り、帽子を脱いで玄関に置く。
置かれたナイロン袋を見て俺は思い出す。
やべ、俺オカンに頼まれた買い物すんの忘れた。
ハァ~なんか今日は調子が狂う日だな……まったく。
俺はスーパーまで戻り、店内へと入って行く。
えーっと何を買えって言ってたんだっけ。財布の中に入れた白い紙を出す。
みりんと……料理酒……ポン酢と、めんつゆと、あと白菜?えっと、白菜ってどんな野菜だっけ?
確か、この緑色のやつ?あれ?キャベツって書いてあるし……。白菜はと…あった、あった。はっ、こんな重い物を持って帰れと?
俺は可愛い子ちゃんがいるレジにわざわざ並んで、重たい荷物をせっせと家まで持って帰る。調味料はなるべくカゴに入れたが、白菜なんてオカンに手渡されたナイロン袋では到底収まりきらないので、大きめの袋を5円程出して買いハンドル部分にぶら下げるが、白菜が重すぎてバランスが悪い。仕方なくカゴの一番上に乗せて落ちないように手で押さえながら運転する。
荷物を玄関の前に置いて、自転車を停める。まずポストを確認する……。良かった何も入ってねー。
「ただいま…」
「亮介~早いじゃない、買い物は?」
「ごめん忘れた」
「も~亮介ったらお母さんあれだけ頼んだのに」
「…んなわけなくて、買って帰ったよ。重すぎて玄関の前に置いた」
「あらまぁ、さすが亮介ちゃん」これだから…まったく女っていう生き物は…。
「オカン、重すぎるから俺に頼んだろ?」
「あらったまたまよ~。亮介、悪いけど台所まで持って入ってくれる?お母さん掃除の途中なのよ~よろしくね」
「ちょっ……まっ……」オカンは自分が言いたいことを言うとササッと部屋に入っていった。
俺は仕方なく、野菜たちを台所まで運んだ。
そうだ、皿……。
「オカ~ン要らない皿ない?」
「なに~?」
「だから~要らない皿ないかっって~」
「え~何?皿がどうしたの~」
うわっ全然聞こえてねーし。もういいや面倒くせー。適当に沢山ある皿持って上がろうと。あ、ライターどこあったっけ?
「オカ~ン、ライターない?」
「なに~」
「ライターない?」
「何~ナイターがどうしたの~?野球がなに~?」
全然違うし。
「ライターなら私持ってるけど?何に使うのよ。煙草吸うって言うんじゃないでしょうね」ちょうど階段から下りてきた姉貴がジロッと睨みながら言う。




