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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第一章 始業
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2

もし俺が隣の家の奴だったら、絶対そんな事はどうでもいいのだが……分からん。


父親がビニール袋に沢山入った洗剤を持って4人で回り始めた。


右隣の家に行き、インターホンを鳴らす。


「はい」中から優しそうなおばさんが出てきた。


「隣に引っ越してきました関谷と言います」


「えぇお隣にね。私は古川です」


「これから色々とご迷惑をお掛けする事かと思いますが、よろしくおねがいします」オカンがそう言って頭を下げるので、俺らもオカンに続いて頭を下げる。


「わざわざありがとうございます。こちらこそよろしくね、貴方、体力ありそうね高校生?」


「高校一年生です」


「そう、お姉ちゃんは」


「高校3年生です」


「あぁそうなの、なにかあった時はよろしくね、この辺は全力疾走が合言葉だから」


「これ、もしよかったらどうぞ」そう言って洗剤を父が渡した。


「まぁわざわざすみません」


「お忙しい時に突然失礼しました、今後ともよろしくお願いします」


この調子で、俺ら家族は、左の隣の田辺さん宅、それから前と後ろの家に挨拶をしに回った。


 まぁ留守で居ない家もあったのだが、留守の所は後日、回ることにしたのだが、な~んだか、ここの街の人ら「全力疾走」とか決まって言っていたのだが、なにか意味があるのか?


  開放的な未来が俺を待っているのさ、そう思うと自分の部屋の片づけが進むのだった。


 まぁだけどアレだな……閉ざされた空間に夜一人で居るっていうことは……、まっそれから先は勝手に想像してくれたまえ。勘のいい奴にならきっとすぐにわかるだろう。


間違いなくそれ、正解だ(だから誰に話しかけてんだ?)。


 しばし平穏で輝かしい日々を送って来たのだが、学校から帰るとオカンの様子がどうもいつもと違う。


 いつもなら帰るなり「お帰り」と玄関先までオカンがすっ飛んでくるんだが、今日は話声がするだけだった。


「亮介、あんた学校でなんかあった?」オカンが心配そうに聞いてくる。


「ないけど……なんで?」


「今日、帰ったらポストの中に真っ赤なハンカチと一緒にこんな物が入っていたのよ。子供のいたずらかしらね、それとも町内会でのお祭りかしら……」


俺は、一枚の紙切れを手に取り読み始めた。



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