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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 上進
144/149

28

そしてオトンは居間のソファーに腰を深く沈めて日本茶を啜って「この味がのみたかったんだ。あぁ日本、我が国よ」そんな風に言った後に、お土産だと言ってオカンと俺にそれぞれ渡してくれた。


 早速開けてみるとハワイアンの格好をした男か女かまた子供か大人か分からないような黒人の人形を四体が入っていた。


 なんだ?これ?

 うーむ。


 オカンの方のお土産はランコムとかいう化粧品セットでオカンはウハウハと喜んでいた。

 なんかさ、この差。オカンはブランド物で俺はただの人形……。


 まぁ、ありがたいと思わないといけないよな。

 そして姉貴がやっと帰ってきて、「お父さんおかえりー」と嬉しそうに言った後に「お父さん千絵のお土産は~?」と言って土産の催促をし始めた。


 姉貴の場合は多分オトンお帰りではなくて、お土産お帰り的な感じだよな。

 しかし、そんな余計な事を決して口に出さない賢い俺。


「はいこれ」オトンが渡すなり姉貴はやったーと言いながら包みを開け始めた。

 そして出て来たものは、シャネルの化粧品セットであった。


 ふぁ?!なにそれ、なにそれ?!

 オカンは分かるよ?だってオカンは奥さんだからさ。でも姉貴は?姉貴は俺と同類項だろ?


「オトン、なんか姉貴だけ贔屓してない?」俺だってオトンになら言えるのさ!フッ!


「何言ってんだお前にはもっといいもんやっただろう?飛び立つ前に」


「えーなにそれー千絵訊いてないよ?亮介に何あげたのー?」

オイオイオイ、オトンそう来たか!


「……そうだよな」そう言ったまま俺はもう何かを言う事はやめることにした。

 確かにオトンに物凄い大金を出して頂いたのだから。つまるところ文句を言えるような立場ではないって事だ!


 それからオカンが張り切って料理を作り始めて、久しぶりに一家団らんを楽しんだ。

 オトンは俺のバイクに跨り、そして記念に、と写真まで取った、ヘルメットまで被っていた。

 いい年をして何やってんだか。


 それから一週間もしないうちにオトンは再び海外へと飛び立って行った。

 


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