表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第一章 始業
14/149

14

「宛先:川嶋さん


差出人:####44A


件名:Re:ありがとう


今ゲームしてる また明日 お休み」


「差出人:川嶋さん

 宛先:関谷くん


 件名:おやすみ


 たまには関谷くんからメールくれるの待ってまーす♡


 では、また明日ね~おやすみなさい♡♡」


なんかさ、返信してくるの早いよなぁ。


もしかして教科書みたいなマニュアルがあってそれに従って書いているのかと思う程の速さだよな~。で♡マークとかさ……。でも姉貴からのメールでも♡マーク使って送られてきたりするからなぁ……でも嬉しいよな。


翌朝、パトカーのサイレンの音で目が覚めた。眠い目をこすりながら下に降りる。


「おはよう」


「亮介おはよう、珍しいわね、あなたが7時前に起きてくるなんて」


「いや、サイレンがうるさくてさ」


 ガチャン____。


 姉貴と父親が帰って来た。


「亮介、ちょっときて___ 」


 ……いてっ。

 姉貴が無理やり俺の手を引っ張る。なんだよ…何事だよ。

 姉貴は俺の部屋に入るとバタンッと扉を思いっきり閉めて「大変なの」と言った。


「朝っぱらからどうしたっていうんだよ」


「今、お父さんと見に行って来たんだけど…すぐそこのビルの人山本さんって言う人亡くなったらしいの。自殺だろうって言ってたんだけど…その人二ヶ月前位に越してきたばかりの人らしいのよ」


「2か月前……」


「そうよ。赤いハンカチとかそういう事は何も聞けなかったんだけど……」


それを聞いて俺は直ぐに階段を駆け下り、ポストを開いた。


……あった。赤いハンカチが……。すぐにそれをポケットに入れて家の中に入った。


「オカン、今日新聞取ったの何時だよ?」


「新聞?朝の5時くらいかしらね?」


「その時、新聞だけしか入ってなかった?」


「入っていなかったわよ。な~に?亮介最近どうかしたみたいよ。彼女がいても構わないけど、お願いだから間違いだけは、ないようにしなさいよ」


「だからそんなんじゃないって……行ってきます」


「亮介、ごはんは?」


 俺は自転車に跨り亡くなった山本さんのビルの前を通った。ポリカブが2台停まっていた、特別、野次馬の様な人はいなかったが、背後から視線を感じて振り向く……しかし、誰もいない。正面に戻る瞬間に、隣の一戸建ての山口さんの家でカーテン越しに動く人影が見えた。


 しかしまだ視線を感じて振り向くと、山口さんの家の目の前の家の人が窓越しから俺を見ていたのか、目が合うとその人は慌てて目を逸らした。表札を見ると「山田」と書いてあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ