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「え?ヤクザ?魔女?でも今まで作らなかったのが急に料理をするようになるっていう事は好きな人が出来たとかそういう時が多いと思うよ、だって私もそうだったから分かるもん」そういって川嶋さんは頬を赤く染めた。
それを見て俺まで急に身体が火照りだし顔が赤くなっていくのが自分でもよく分かる。
「私たちの関係ってなんだろうね?友達かな?」マンゴージュースをゴクリともう一度飲んで俺の顔を見てくる。
「まぁ、そのなんていうか……と」そこまで言ったときに調度パスタが運ばれてきた。
「来た来た来たー本当にここのアボカドクリームパスタ美味しいの。もうこれ食べたら他の所でアボカド使ったパスタ食べられなくなるって程だよ?」
川嶋さんの目は直ぐにそのパスタに釘付けで、お蔭で気まずくなるような話をしなくて済んで助かった……のか?
そして俺の注文したペペロンチーノも届いて、食べ始めた。
「やっぱりもうこの味最高。これ本当にすっごく美味しいから食べてみて?」そう言いながらフォークでクルクルと巻きつけたアボカドのパスタを俺の口の前まで持ってきてくれた。
俺は、ゴクリと口の中のペペロンチーノを飲み込んで、川嶋さんのくれたパスタをガブリと口の中に入れた。
「あ、間接キス」そう言って川嶋さんか笑って「ね?本当に美味しいでしょ?」と感想を俺に訊いてきた。
間接キス……その言葉に相変わらずドキンとときめきながらも。口の中に広がるパスタの美味すぎる味わいに「うんまっ」と言った。
「でしょ~?ねぇペペロンチーノも食べてみたいな、ここ来たらいつもこれしか食べないから他のも食べてみたい」そう言って川嶋さんは俺の返事待たずしてあーんと口を開けた。それはまるでツバメが親に餌をねだっているときのようで、「ちょっと待ってね」とまるで親鳥の様な気分になりながら、ペペロンチーノをフォークに巻きつけて川嶋さんの口の中へと運んだ。
もぐもぐとしっかり噛んで飲み込んでから「ニンニクが凄いきいているけど、美味しいね」と、そう言った。




