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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
ドロップドハンカチーフ2 第一章 進級
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どちらにせよ、この手紙が届いたと言う事は、今までの経験上、確かめに行かずともこの家の誰かが亡くなっているだろう……。


 そうやって思うだけでも気持ちがいい物ではないし、気味が悪いし恐怖心で心が埋め尽くされそうなのだが、絶対にそうだ (殺害されているに違いない)と思う事が自分でも辛い。


 俺の家には未だに殺人ハンカチと殺害報告書が届くのだろうが、本当に隣の田辺さんの家とかには届いていないのだろうか?


 他人の家のポストだけに勝手に覗くわけにはいかない。


 川嶋さんの親戚の家の人の所はどうなのだろうか?

 

 そうやって思っても、川嶋さんに聞くわけにはいかない。色々とあったから、もう怖い思いなんてさせたくない。


 やはり、黙って闘うしかないのだ。

 

 いつもなら朝ご飯の時には、オカンと何かを話すのだが、今日は何かを話すような気分にはとてもじゃないけどなれそうになかった。


 それは俺だけじゃない様だった。

 

 

 土曜日、午後12時。

 急いで家に帰り、まず靴下を脱いで足の指の間をしっかりと泡立てた石鹸で洗ってから、歯磨きを5回はして、そして服を着替えて自転車にまたがりモールへと向かった。


  もう結構いい時間な為、かなりのスピードを出して向かう。


 待ち合わせ時間よりも少し早く着いたので、まずトイレに行ってから川嶋さんのメールを待った。

いつも大体本屋で立ち読みをするのだが、今日は本を読めるような時間はないので、最初から本屋の前のベンチに座って待つことにした。


 土日だけあって、家族連れやカップルなどで賑わっている。


もう、すぐそこまで日差しが強くジリジリとした真夏が迫ってきているので、みんな薄着で色々と目線が泳いでしまう。


 しか~し、俺様よ!今日は川嶋さんと久々のデート?なんだから、鼻の下を伸ばして女の子を追いかける様な事はしない事!自分の胸に誓う俺。


「やっぱりここにいると思った」そう言いながら私服姿の川嶋さんが立っていた。今日はまた一段と可愛いじゃないか。


 川嶋さんの顔を見ながら、ついデレンとしてしまう。


「すっかり、めがねやめたんだね、可愛いね」そう言ってしまった自分にヒヤッとしてしまう。まさか本人に向かってそんな恥ずかしい事を言ってしまうなんて。

 ハハハハハ。こうなったらもう笑って誤魔化すしかない。


「もうやっだ~そんなこと言っちゃって」そう言って川嶋さんは俺の肩をバシッと叩いた。


 あいたたた。結構痛いですよ川嶋のお嬢さんよ。


 でも、まぁこんなに幸せな事なんて他にないもんな?そう思うとわりとなんでも許せちゃうんだよな。


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