一日のはじまりは
1ページの作品を作りたくて書いてみました。
物語の始まりを予感させるような内容になってればよいなと。
ミーちゃんの朝は早い。
と、言っても6時起床、7時に家を出るから、そんなには早くないかな。
けれど、いつも遅刻ギリギリだったミーちゃんにとっては早い。
ここ、3ヶ月程続いている。
「いってきますぅ」
半分眠たそうな顔で出かけるミーちゃん。
彼女には目標がある。
下駄箱で靴を履き替えて、チラリと斜め下、左から3列目をのぞき見る。
そこには、まだ内履きズックが置かれている。
「やたっ!」
小さくガッツポーズをして、急いで階段を駆け上がる。
けれど、教室の前では静かに、そしてゆっくり扉を開く。
部活動に出ている人のスポーツバックがチラホラ。
チラリと横目で教室内を確認しながら、最後の視線は一番前の窓側。
教室に入るときは、必ず教壇側の前扉から。
そのまま窓際まで歩いて。
「おはよ」
そっと、左手で机を撫でるように触りながら、その後ろの自分の席へ。
ガラガラッ!と勢いよく開いた教室の後ろの扉。
「やっべ!遅刻したっ!」
周りの机にぶつかりながらジグザグにやってくる。
彼の席はミーちゃんの前。
「おはよ。今日も早いのな」
早口な挨拶。
投げるように放り出されたかばんと、学生服。
ミーちゃんが『おはよう』の『お』を口から伝えようとしたときにはもう遅い。
彼はすでに教室にはいない。
顔を上げて、視線を合わせるだけで精一杯。
でも、視線が合えば幸せ一杯。
だから、ミーちゃんの朝は早い。
彼の視線を独り占めするために。




