第7話 泣かせてごめん。でもガチャは止まらない!
水浴びでさっぱり、身も心もリフレッシュ。
そのまま朝食は魚や果物、山菜等、意外と食べ物は豊富なようだ。
美味しくいただいた後はお待ちかねデイリークエストにデイリーボーナス! 計算通り、今日のボーナスでチケット3枚、クエストで6枚、昨日の未使用が6枚の合計15枚になるはずだ。
朝食の焼きたての魚の香ばしさと、甘い果物の匂いがまだ残る中で、俺はワクワクしながらガチャの準備を始めた。まだ引いてないし召喚もしてないから6枚しかない。
さて、まずはデイリーボーナスから……。3枚のチケットが空中に現れる。
よし、さっそくガチャを引いていくか!
「さあ、SSSR来い!!」
ガチャチケットが青白い炎につつまれ、3枚のカードになった。
手に取るとそれは、Cレアリティーのカードが3枚だ。SSSRへの思いは届かなかった……。しかし、何も問題はない。どれも美少女ばかりだ。そう、何も問題ないのだ。
1枚目はゴスロリメイド服に水色のショートボブ、ヘッドドレスをつけた少女。
-----
No.0032
名前:マーガレット
種族:ヒューマン
Rank:C
性別:女
職業:侍女
-----
性格:丁寧で控えめ、責任感が強いがちょっぴり天然。
説明:ゴスロリメイド服を身にまとった少女。丁寧な言葉遣いでいつも礼儀正しく振る舞うが、時折うっかりミスをしてしまうお茶目な一面も。掃除・整理整頓が得意で、書類管理や荷物のパッキングなども完璧にこなす。お嬢様育ちの家系で、主に仕えることに強い誇りを持っている。
-----
2枚目は白いワンピースの森ガール的な少女。
-----
No.0041
名前:イリーナ
種族:ヒューマン
Rank:C
性別:女
職業:薬師
-----
性格:おっとりマイペースで癒し系。植物が大好き。
説明:自然をこよなく愛する森ガール。木の実や薬草、きのこの知識が豊富で、調合・簡易回復薬の生成もできる。攻撃は苦手だが、味方の支援には長けている。ふわっとした雰囲気と優しい言葉で、周囲の緊張を和らげてくれる存在。
-----
スキル:[製薬 Lv2]
耐性:[状態異常耐性:Lv1]
-----
そして3枚目は赤いドレスに金髪縦ロールのお嬢様。
-----
No.0042
名前:エリザベス
種族:ヒューマン
Rank:C
性別:女
職業:貴族令嬢
-----
性格:プライドが高くツンデレ気質。言動はキツいが根は素直。
説明:王都名門の令嬢として育った少女。気品と威圧感を併せ持ち、口調も高飛車だが、実は仲間思いで寂しがり屋。戦闘能力は高くないが、知識面ではかなり優秀で、戦術・交渉・マナーなどに詳しい。慣れてくると妙に世話焼きになる。
-----
職業貴族令嬢って……「きっとクソ真面目なポンコツに違いない」。
そんな俺の独り言を、まるで聞き咎めるかのように、俺を見つめてきたのはアリスだった。
「そうなのー?」
しまった! 思わず呟いてしまった。とりあえず召喚してみるか。これでデイリークエストの召喚ポイントも獲得だ。
おっと、コストが上限いっぱいだ。誰か戻さないとダメか……。
カードブックを手に取りながら、俺は一瞬だけ迷った。新しい召喚を試みるには、誰かを一時的にカードへ戻さなければならない。しかし、それはほんの少しの間だ。すぐにまた呼び出せる。それはただのシステム上の仕様だ。そう思っていた。
だが、その瞬間。アリスの瞳が揺れた。
「ずっと一緒に居たいです……」
小さな声が震えながら紡がれる。ぽつり──涙が頬を伝う。
俺はその光景に、まるで心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受けた。何かが、言葉にできない何かが俺の中を駆け巡る。
指が——微かに動きかけていたカードブックを、思わず閉じる。
「私を捨てないで……。もっと役に立つから!」
アリスのか細い声が、俺の胸に突き刺さる。
「……捨てるわけないだろ」
無意識のうちに彼女を抱きしめていた。小さな体が震えているのが、腕越しに伝わる。言葉よりも、温もりが先に反応した。
俺は何をしようとしていた?
ガチャを引けば、さらに強力なカードが手に入るかもしれない。レアリティの高いキャラが追加されれば、戦力も、生活の快適さも向上する。ここは異世界だ。システムを最大限に活用して生存しなければならない。それは当然の思考のはずだった。
でも、違う——。
これはゲームじゃない。目の前にいるアリスは、ただの「カード」じゃない。召喚された仲間……いや、それ以上の存在になっている。
俺が彼女を「入れ替える」というその瞬間、彼女の心に不安が生じるなら、それはもう「一時的な処理」では済まされない。
気付けば、ライアとメリーヌも俺の左右にそっと寄り添っていた。
ライアは静かに目を閉じ、俺の腕にそっと触れた。「ご主人様、私は信じています……あなたが誰よりも優しい方だと」
メリーヌは俺の袖をちょんちょんと引っ張る。「メリーもずっと一緒にいるにゃ……。もっと活躍するにゃ」
俺は息を吐き、腕の力を緩める。そして、ゆっくりとアリスを見つめた。
「……泣かせてごめんな。でも、大丈夫だ。これからも、ずっと一緒だ。どんな時もそばにいるから。心配なんてするな」
アリスは涙を拭いながら、少しだけ笑った。
「もちろん、ライアとメリーヌも……ずっと一緒だ!」
そうだ。当たり前に使い捨てにはできない。俺が今こうして生きていられるのは彼女たちのおかげじゃないか。彼女たちへの感謝は絶対に忘れてはいけない。
俺は、俺たちは、ここで──「一緒に生きていく」んだ。
今日のことは心に刻もう。忘れない。絶対に忘れてはいけない。
「ご主人様、私が一時的にカードブックへ戻ることで、新しい召喚者を試す機会を作れます。それは、今後の戦略を考える上でも有用かもしれません。」
言葉の流れはいつものライアらしく冷静で理知的だ。確かに最適解かもしれない。けれど、一瞬。ほんの一瞬だけ、その声の奥に「迷い」があったような気がした。俺が思い過ごしだと思いたかったが、ライアの指先が、ごくわずかに震えた。
そしてその瞳がわずかに潤んでいるのを、俺は見逃さなかった。
「……ライア」
俺は気付けば、ゆっくりと首を左右に振っていた。
「そんなの、ダメだろ」
ライアは微かに目を見開き、何かを言いかけて、でも、それを飲み込んだ。
俺は続ける。「戦略とか、効率とか、そんな話じゃないんだ。お前たちは俺の大切な女だ。この先ずっとだ。」
ライアの唇がわずかに震えた。そして次の瞬間——彼女の表情は、少しだけ柔らかくなった。
「……ご主人様……」
その声は、ほんの少しだけ掠れていた。
「では、一つ提案があるのですが、」
「うん!?」
ライアからの新たな提案は、ダンジョンを探索し、魔物を倒してレベルを上げるというものだ。レベルを上がてMPを増やし、コストの上限を上げていこうということだ。
現状MPが60で3人を維持するコストもピッタリ60だが、Lvを上げて、ついでにステータスボーナスをINTに振っていけば、さらにMPを増やしてコスト上限を大幅に引き上げれるのだとか。
正直、戦闘なんて恐ろしくて想像もつかない。仮に武器があったとして、熊や虎を倒しに行くだろうか?答えはNo!だ。俺はNoと言える日本人なのだ!情けない主人だと笑えばいい。命あっての物種だ。
皆静かに俺の答えを待っている。少々難しい顔を見せただろうか?
「戦闘なんて無理だろう。武器も無いし、熊ですら無理なのに、魔物なんか絶対に!」
「大丈夫にゃ、ご主人様は後ろで見てるだけにゃ」
「まじか!?といってもメリ―ヌは危なくないのか?」
「ご主人様、低レベルのダンジョンなら比較的弱い魔物しか出てきません。加えて相性の良い相手とならメリーヌなら楽勝といっても良いです。ご主人様は私がしっかりお守りしますので心配はありません。それに私たちは万一の時はカードに戻せます。」
ライアに守ってもらうとか、情けなすぎる……いやレベルを上げれば少しはカッコいいとこ見せれるだろうか?って、あれ?再度召喚?全滅しても再度召喚可能だとしよう。おれはどうなる……!?壁役を常に入れ替え続けろって事??これは酷い話だ。本当に情けない主人になってしまう……
「比較的」というのがどれくらいかわからないが、弱い魔物の弱さに期待しよう。
「そうか、ちなみに近くにダンジョンはあるのか?」
「森の妖精の話では南に1キロほど進んだ場所にあるそうです。それと、ダンジョンの傍にコボルトの魔窟があるみたいで。こちらはもっと攻略が簡単かもしれません。」
「メリ―ヌは平気か?」
「もっと攻略が簡単かもってそんなに弱いのか?」
「コボルトですから、小型の犬型亜人と言った感じでしょうか」
それを聞いて、俺はゲームで見たコボルトのイラストを思い出す。
かわいらしいマスコットキャラみたいなものだったが……ふと、想像の中のコボルトが赤い目を光らせ、牙を剥き出しにした気がして、背筋が寒くなる。
「……まじでゲームとは違うんだよな?」
「何の事にゃ!?」
日帰りは無理そうだということで、必要な食料や水の確保、拠点をどうするかを話し合った。そしていよいよ本格的な冒険の旅に出る事になる。っといっても近所だし、後ろでみてるだけなんだけどね。
「狩りをしてくるにゃ」
「私も食料の調達に行ってきます。」
「アリスは拠点の整備と水くみをしておくね」
デイリークエストの報酬でさらに4枚のガチャチケットを手に入れた。やる事も無いしこのガチャも引いてみよう。
「さあ、SSSR来い!!」
ガチャチケットが青白い炎につつまれ4枚のカードになった。
最初の3枚は今まで通り正八面体のホログラムが現れCとRのカードになったが、4枚目は正十二面体のホログラムが現れた。これまでにないパターンだ!
回転し始めた瞬間、空気がピリッと震えた。まるで雷が微かに走ったような、静電気のような違和感。その周囲に金色のエネルギーが渦を巻く。
「……えっ、待って……これって……?」
思わず後退って距離を取ったが、俺が固唾を呑む間もなく、正十二面体のホログラムから天へと光柱が立った。直径はみるみる大きくなり10メートルはあろうかという巨大な金色の光だ。
やがて光が薄れ、正十二面体が回ってるのが見えてくる。若干早めに回っているのかもしれない。かと思うと定期的に変な角度に回転したりする。あれだ、ジャニベコフ効果のような動きだ。しかし正十二面体なので慣性モーメントは全ての方向に均一ではないのだろうか?いや、そもそもホログラムなのだ……そしてワイヤーフレームの様な状態となって周囲に飛び散るように霧散していった。
やがて中に、1枚のカードが光輝き、まるで雷が空間を裂くような音が響く。カードがゆっくりと回転し、金色の光をあたり一面に放つ。
「……まさか、SSSRか!?」
緊張で息を呑む俺の手に、静かに一枚のカードが収まった。
SSSRだ……カードの背景はジルコニウムカラーでオーラのようなエフェクトが描かれている。豪華すぎて、つい角度を変えながら見てしまう。
コスト160なので召喚は無理だが、思わずガッツポーズだ。こぶしを握り直して3度ガッツポーズ!
「どうよ俺!そうだよ、集めて行かないと。メリーヌ カードブックを全て埋めてフルコンプするんだ!」
今回のガチャ4回
1枚目はまたアリスだ。合成用に使えるので重複も問題ないだろう。一応アリスにも見せてみる。
「アリス、もう一枚引いたぞ。」
「私ですね、なんか不思議な気分……合成するとパワーアップできるのですっごい楽しみ!いっぱい合成したらね、もっともーっとご主人様のお役に立てると思うよ!」
自分のカードを見て少し照れていたアリスだが、どうやらいつもの元気で前向きなアリスのようだ。考えなしに見せてしまったが結果オーライか。
2枚目はドワーフの少女だ。オーバーオールを着たいかにも職人って感じの……感じの!?……子供だ。いや、小さいだけか。
-----
No.0062
名前:リリー
種族:ドワーフ
Rank:C
性別:女
職業:鍛冶師
-----
性格:仕事の時は無口で職人気質。日常は甘えん坊の構ってちゃん。そして酒豪。
説明:見た目は幼く見えるがれっきとした熟練の鍛冶師。金属加工と道具作りの腕は一流で、武器や装備の強化も担当できる。道具の扱いに関しては非常に情熱的。
-----
3枚目はダークエルフだ。小麦色の肌に黒っぽいドレスを着ている。妙に大人を感じるエレガントな感じだ。ドワーフとの対比が凄い。
-----
No.0279
名前:レイナ
種族:ダークエルフ
Rank:R
性別:女
職業:黒魔術師
-----
性格:クールでミステリアス、たまに毒舌。
説明:小麦色の肌と切れ長の瞳が特徴のダークエルフ。魔力を操り、主に闇・幻術系の魔法を得意とする。感情をあまり表に出さず、常に冷静だが、皮肉めいたジョークを飛ばすことも。興味を持った相手には意外と構いたがる一面もあり、照れ隠しに厳しい言葉を使うクセがある。
-----
スキル:[奈落の囁き Lv1] [影縛 Lv1] [魂喰らい Lv1] [虚空瘴気 Lv1]
耐性:[魔法耐性:Lv1]
-----
そして4枚目は……記念すべき初のSSSR、トリプルスーパーレアだ!これが狼人族か……これは凄すぎる、スキルも凄そうだけど、加護も称号も持ってる、絶対に強キャラだ。しかも麗しさまでSSSRとか破壊力抜群かよ!
-----
No.0555
名前:ジェシカ
種族:狼人族
Rank:SSSR
性別:♀
職業:月牙戦士
-----
性格:戦闘中は獣のように凶暴だが、中二か天然か、やや不思議な性格をしている。
説明:月の加護を受けた狼人族の中でも“戦女神の血”を引くとされる伝説的な存在。銀髪に金の瞳、引き締まった肢体を持ち、爪と牙を武器に俊敏かつ高威力の連続攻撃を繰り出す。戦闘中は理性を抑えた本能的な戦い方をするが、主への忠義を何よりも重んじる。普段は口数が少ないが、主人が危機に陥った際には本性をあらわにし、 あらゆる敵を容赦なく狩り尽くす。
-----
スキル:[武術 LvMax] [狼爪 LvMax] [獣爪裂破 Lv9] [疾風狼爪 Lv7] [影爪乱舞 Lv8] [豪裂爪破 Lv8] [蒼狼瞬影 Lv5] [牙狼拳 Lv4] [銀狼の咆哮 Lv5] [血怒覚醒 Lv4] [獣王の連爪 Lv1] [獣王の狩猟眼 Lv1] [月影狼舞 Lv1] [月光再生 Lv1]
耐性:[物理耐性 Lv5] [打撃耐性:Lv3] [精神支配耐性:Lv3]
加護:月の加護
称号:銀狼の乙女舞
-----
「すっごく豪華なカードだね。しかも見る角度で色が変わるの!それに強そうなのにとっても綺麗な人……レベル上げて一番に召喚しないといけないね!」
って俺、この先ハーレム増やすには、もしかして馬車馬のように働いてレベル上げなきゃいけない?
いや、今回働くのはメリーヌで、この先も……つまりアレだ、
俺の職業が全てを物語っているではないか。
「なるほど、つまりそういうことだ」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
感想・レビュー・ブクマ、超励みになります!
「面白い!」
「もっと続きが読みたい!」
そう思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、
「全財産ニキ」の応援お願いいたします。
『全財産ニキ』は、毎日22時に更新予定です!
ぜひ明日の投稿も、お楽しみに!