第20話 美少女温泉百景 俺の隣を争奪戦
「ご主人様、もっと欲しいにゃ♡」
メリーヌの寝言で目を覚ました。
「そういう寝言は、起きて言え」
結局、戦闘狂の聖女は来なかった。来そうな気配もない。
いや、毎回当たり前に来てたまるか!!
左にメリーヌ、右にライア、上にアリス、毎日が
美 少 女 三 昧 !
この幸せを脅かす奴らは御退場願いたいものだ。もちろん俺は戦わないけどさ……
とりあえず大丈夫そうだし、みんなで拠点に戻ろうか。
いっぱい召喚したSSSRの子達も
俺を警護しながら交代で見張っててくれたようだし、
ねぎらいついでに今日はみんなで……
温 泉 だ !!
* * *
小鳥のさえずりが心地よく響く。
木漏れ日が差し込む静かな山奥の拠点——その近くに、堂々たる天然温泉があった。
天然温泉……それは、この異世界に存在する数少ない“最高の幸福装置”である。
湯の表面には小さな泡が立ち、誰かが入るたびに輪のように広がっていく。
石造りの湯船の縁に手をつきながら、俺は、しばし世界を忘れた。
「よし、今日の一番風呂は俺のもんだ!」
俺は裸一貫、勇躍ダイブした。
じわぁ~~っと熱が広がる……ッ。染み渡る……ッ!
最初は地面のくぼみにお湯が沸いていただけだった。
それは熱い泥水だったわけだけど、うちのリリーにちゃんと整備してもらったからな。 今じゃ立派な岩風呂だ。お湯も割と綺麗だし深さも丁度良い。
周囲も広く岩を敷き詰めてある。とても密林のジャングルとは思えない風景だ。
見るからに温泉、これぞ温泉、日本人が愛してやまない温泉そのものだ!
——そして俺は確信した。
これぞ最強の保養施設だ!
だが——油断してはいけない。
このゆったりした楽園にも、必ず“やつら”がやってくる。
しかも今日からは人数が増えてやたらと騒がしくなるはずだ。
「ふふ、ご主人様ったら、覗いてほしい顔してる♡」
湯気の向こうから優雅に現れたのは、踊り子のマリポッサ。
腰まで伸びた黒髪を片手で持ち上げ、片脚ずつ湯へと沈めていくその仕草は、まさに舞踏のようだった。
「……どうだ、マリポッサ、これが温泉だ!」
「はい、ご主人様。ならこの“幻影のヴェール”、脱がないとね♡」
バシャァン!
「マリポッサったら大胆ね。」
タオルで厳重に隠して入ってきたのは、魔女っ娘フローラ。
生真面目な仕草が愛らしい、メイド服が似合いそうな清楚ヒューマン女子だ。
だが見た目に騙されちゃいけない、仮にもSSSR、メイドな訳がない。
「あ、ご主人様、ちょっとタオルが──きゃっ!?」
ツルッ!
ドシーン!
「ご、ごめんなさい!ご主人様の上に……って、どこ触って……ひゃああああ!?」
……これは事故だ。完全に事故である。全く問題ない。
「ご主人様、あの、視線が……」
「気にするな。ここは温泉だし、俺しか見てないから大丈夫だ。」
「もう……やっぱり裸族ばっかりだと落ち着かないの」
そう言って転がり込んできたのが獣戦士、犬っ娘のクレマリーだ。
犬人族の彼女は、頬を赤くして垂れた耳はいかにも恥ずかしそうといった感じだが、尻尾をブンブンふって大興奮だ。
「ほらっ、私の方が先に来てたんだからご主人様の隣は私なの!」
「犬人族は、語尾が『ワン!』じゃないのか?」
「私はそんな事いわないの!」
クレマリーはしっぽをバシャバシャさせながら、湯の中でくるくる回っていた。
「ふふ、しっぽってね、気持ちいいと勝手にふわふわしちゃうの♡」
嬉しそうな顔と恥ずかしがる態度が同居していて、逆にこちらが照れてしまう。
「しっぽもふもふしても、いいけど……内緒だよ?」
「ふふふ……賑やかねぇ」
湯船の端にスルッと入ってきたのは、艶やかな赤髪と艶かしい微笑みのアサシン、ローズ。
肌をなぞるようにお湯を撫でるその仕草が、全員の警戒を引き起こす。
「はぁい、悪戯はしないわよ。ただ——ご主人様を“味見”くらいなら♡」
いや、ローズ、お前ほんとに“味見”って言ったよな?
それフツーにやべーやつだぞ。
……でもちょっとだけ、それはそれで、アリかもしれない(いやダメだ)
「「「「だめですうううううううううう!!!」」」」
ドボォン!!
「クォン!? ゆ、湯が熱ちちだコン!」
勢いよく飛び込んできた狐っ娘リンクスは、狐人族の元気っ娘。
耳がぴくぴく震え、尻尾からしゅうしゅうと湯気をあげている。
「だってね~、こっちの匂いすごく気持ちぃコン!……ご主人様もふもふしてもいいコン?」
「いや、俺がされる側じゃね?」
そのとき、後ろから何か圧……いや、視線?を感じ取った。
「……!?」
ちらっと後ろを振り返ると、アラクネのシャルルだ。
腰から下はクモのような8本の足。腰の位置が低いので誰よりも背が低いが、
足を延ばしたら、多分2メートルくらいはありそうだ。そこまで伸ばしてるの見たことないけど。でも足一本一本がカマキリのカマみたいで怖いんだよね……言えないけど。
「ま、また来てしまったわ。……ご、ご主人様……わたし……その……」
恐ろしそうだけど、内気な少女だ。もちろん乱暴された事なんてない。
巨大な蜘蛛脚と恥じらう乙女というギャップが、ある意味一番危ない。
「シャルル!その足、湯をかき回しすぎ!熱いってば!!」
最後に——風が一陣吹いたかのように、気配もなく現れたのは、ヴァンプのキュリナだ。
「こんな騒がしい場所に、貴族たるヴァンパイアが来るとでも?」
「えっ、来てるよね?」
「ふっ、来たのではない……見下ろしているのだ。湯煙の中、夜の女王は孤高に立つ」
「つまりそこに突っ立ってるだけで入ってこないの!?冷えちゃうよ!?!?」
「キュリナはお湯が苦手なんだよねぇ。こっそり夜中に水浴びはしてるみたいだけど。」
「おだまり、マリポッサ」
ザブン、と湯に飛び込んだのはジェシカだ。そして豪快に入ったと思うと、さっと立ち上がって頭を振る。
ぷるぷるぷるぷるっ!!
「うわっ!?ちょっ、お前、それ水しぶきがっ!」
「あっ……!? 主殿、これは失礼した、ついいつもの癖で。」
そしていつもの、アリス、ライア、メリーヌ、それからリリーも入って来る。
「ご主人様の隣はメリアーにゃん♡」
「じゃあ私は正面からだっこね」
「だーめ、ご主人様の隣は私なの!」
「ぼくもたまには甘えたいよー」
ツルッ……ズデーン!
「ちょっ、ぼくの作った風呂で転ぶとか!むしろ技術の勝利!いや敗北!!」
「ご主人様の目の前で、リリーったら大胆ね。」
——こうして、今日も俺の入浴タイムは、
美少女たちによって平和に(?)乱されていくのであった。
——そして俺は確信した。
これぞ最強の目の保養施設だ!
なーんて、世界はとんでもないことになってたりしてね。
* * *
その頃、王都ファルミナでは——
「報告します。聖女アリア・セレスティアが……死亡しました。勇者が勝ったようです。」
王国は静まり返った。誰もが、耳を疑った—— あの聖女アリアが、人類最強が敗れた……
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
感想・レビュー・ブクマ、超励みになります!
「面白い!」
「もっと続きが読みたい!」
そう思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、
「全財産ニキ」の応援お願いいたします。




