調律の譜(プロローグ)
君は想像できるだろうか。桜が散り終わり、いよいよ夏が来るという梅雨の時期、雨の中で小学生が学校に登校している。一年生は大きなランドセルを背負い、そろそろ学校に慣れてきている様子だ。そして、六年生は最高学年として最高の小学生生活を送ろうとしている。
そんな大雨の中、六年生の教室では楽しく昼休みを過ごしていた。
「おい、ダイスケ、一緒にトランプしようぜ!」
「を、おう」
本を読んでいたダイスケが、地面で輪っかを作っていた四人ほどの同級生に呼ばれた。本をしまい、そっと彼らのいるところに座った。
「おおい、まだ具合が悪いのか?」
「それは一ヶ月以上も休んでたからそうだろ?」
同級生たちは、彼の少し青白い顔を見てからかっていた。
「今日は、雨が降ってるから少し頭が痛いだけだよ」
「片頭痛か、ま、無理すんなよ。とりあえず、ババ抜きにする、それとも大富豪?」
同級生の一人がトランプをシャッフルしてると、急に廊下からドンと言う音がなった。
「わぁ、なんだ?」
「雷か?」「ひえぇ、怖えぇ!」
「違う、いまのはワタナベのやつだ。多分、他のやつと戦ってるんだろうな」
輪っかの中で怖がってる中、ダイスケだけ、冷静に答えを出した。
「なんだ、ワタナベの電気ショックか」
「なんだかまだ慣れないんだよね、あの力を持ってるやつらに」
「そうそう、最近なんか、さっちゃんもあの力を手にして、なんか毒を扱える〜っだってよ」
「えやば、それ強すぎるやん」
輪っかの中では、トランプより、特殊な能力を持つ他の同級生の話で盛り上がってる。
「ダイスケは、どんな力を持ってるんだ?」
「俺は言わない」
「ええ、どうして」
「・・・なんとなく」
同級生たちは彼に問い詰めるも、ダイスケはその状況に呆れて立ち去ってしまった。
「どこ行くのよダイスケ!もうトランプやらないの?」
「ワタナベを止めに行く、これ以上戦い続けたら多分この学校に雷が落ちる」
そのまま、ダイスケは廊下に出て歩きだした。
「はぁ、校庭にいるのかよ、寒いっていうのに、とりあえず急ぐか」
速歩きを始めたダイスケが、一歩一歩踏み出すたびに、いろんな思い出が彼の頭に蘇った。
「にしても、本当にこれでいいのかな?たくさんの幻想人達が出てきて、この地上で問題は起きないのかな…いや、大丈夫だ」
心配してると、一人の男の顔が思い浮かんだ。その時、ダイスケは少しホッとしたように少し笑顔を見せた。
「…いや、大丈夫だ。あいつのような人は多分一人じゃない。地上が壊れても、大丈夫だろう。その時は、あいつのような人が、この世界を変える。この世界は、変わる」
そうこう考えてる内に、校庭に出てきた。そこでは二人の同級生が戦っていた。一人は炎、もう一人は雷を使っていた。
「よし、止めに行くか」
ダイスケは、手から矛を出現させた。