あなた。
プルルル・・・プルル・・ピー
「はい、高宮です。ただいま留守にしております・・ご用の方は、」
ガチャン
もう、ずっとずっと聞いてない。
あたしが初めて夢中になれた人。
今も記憶の中で貴方の声が響く。
心では分かっていても、その電話をおくことは
できなかった。
何年たっても、あたしの中から消えてくれない
大好きな人。
「やっぱり、でてくれないんだね」
あれからどのくらいたっただろう。
たまに電話を手にとって
かけてしまう。
でない。
分かってる。
分かってるけど、止められなかった。
もう一度、貴方の声をききたくて
笑ってほしくて、名前を呼んでほしくて。
ただそれだけ。たったそれだけ。
だけど私はまだ、少し子供だったみたい。
どうか、どうか貴方が幸せでありますように──
──5年前。
誕生日に買ってもらったノートパソコンを
キラキラした瞳で見つめる15歳のあたしがいた。
パソコンは少し大人な世界。
そんなイメージだった。
そこに飛び込もうとしていたあたしは
期待で胸が熱かった。
不安なんてこれっぽっちも抱かずに。
最初は、ネットサーフィンをしたり、
掲示板を見たり、とにかく色々検索したり
やりたいことが見つからないまま
ふらふらしていた。
だけど、そんな中で見つけたあたしの居場所は
チャットだった。
ただひたすらに会話がリアルタイムで流れていく
そんな素敵な場所だった。
あたしは、毎日のように時間になるとそこへいき
仲間達と話した。
ネット上では、だいたい各チャットサイトに
常連というものができる。
ほぼ毎日、同じような時間帯にくる人達のこと。
あたしはその人達にいろんなことを教えてもらった。
もちろん、ネット上で役立つこと。
自分の経験したこと。恋のこと。仕事のこと。友達のこと。
リアルの世界では話し合えないような世代の人や細かい話は
あたしの心を深く満たしていくものばかりだった。
あたしはどんどんハマっていった。
それから1年。
特に何も変わらず、同じような日々が過ぎていった。
チャットにもだいぶ慣れ、少しタイピングが速くなったと思った。
その頃、友達にネット上で通話ができるソフトを教えてもらった。
あたしはそれにもどっぷりとハマり、毎晩通話していた。
1対1で話せるだけでなく、会議通話といって複数と話せる機能もあった。
いろんな会議にいれてもらい、知り合いが増えて嬉しかった。
そこで、彼と出会った。
名前は慎。年齢や住んでるところは教えてくれなかった。
というより、聞いたらはぐらかされた。
隠すようなとこじゃないのに!と思ったけど
深く追求するようなことでもないな、と思った。
慎は、仕事もきっちりとやっているせいか
なかなかチャットにも来なかった。
しょうがないことだけど、
慎とは出会ったときから気があって
喧嘩友達のように気軽に話せた相手だったから
とにかく話したかった。
くだらないことでも楽しいと思えた。
彼を一言でいえば、大人。
あたしとは同じようでまるで違う。
何でもかんでも隠すし、約束は守らない。
余裕な態度でいつもあたしを困らせてきた。
そんな慎だからこそ、惹かれるものがあったのかもしれない。
正直、あの時のあたしは若かったから
ないものに惹かれたり大人な雰囲気に飲み込まれているのも
間違いではなかった。
だけど他の人とは絶対的に違う魅力を感じていた。
自分の事は中々話さないのに、
あたしの事はなんでも聞いてきた。
あたしも、もっともっと慎を知りたいと思った。
貴方を理解できるようになりたい。
幼いながらに心に決めたことだった。
それから話す回数も増えていった。
忙しい慎に、何度も声をかけて
できるだけ話せる時間を作った。
話していくうちに、慎も教えてくれたことがあった。
一つ一つ聞いていくうちに
あたしの喜びも膨らんだ。
本名は慎也。
北海道に住んでいるらしく、
年齢は21歳。
大きい会社の次期社長で、
子供が好き。
このとき、あたしはネットで誰よりも慎を知っているだろうと思った。
慎はあたしにとって特別なんだ。
そう感じた瞬間だった。
この気持ちは何?
それをずっと考えて眠れない日もあった。
友達に話すことは慎のことばかり。
「もうその話はいい」といわれるくらいだった。
それでも、あたしの中から溢れ出す感情は
慎への気持ちでしかなかった。
だけど、本当は気付いてた。
言葉にするのが怖かっただけ。
言ってしまったら、想ってしまったら
崩れてしまうんじゃないか。
冗談だと笑われるんじゃないか。
不安は募る一方だった。
でも、もう遅いよね
あたしは、慎が好き
────────────────・・・
その次の日も夜中まで慎と話していた。
初めて声を聞いたときのことは
忘れもしない。
緊張して上手く声がだせなかったあたしを
優しい声で笑ってくれた。
暖かくて、安心するようなそんな感覚だった。
チャットとはまた違う、慎の声。生活音。
全てが愛しくて、耳に残る綺麗な音。
時間はいくらあっても足りなかった。
あたしはどちらかというと積極的なほうで
慎への想いを自覚してからは
止められなくなっていた。
最初は笑って冗談ぽく、「好きだよー!」とか
言っていた。
その度に慎は「子供に興味ねえよ(笑)」と
笑って返した。
きっと本当のことだろうけど、
私は慎が考えているよりも真剣な想いだった。
このままこんな感じで伝えていたら
何も変わらずに終わってしまう。
それは絶対に嫌だった。
少し前、ネットの友達が言っていた。
「ネットでは新しい出会いが多い分、別れだってすぐ来るんだ
しょうがないことかもしれないけど悲しいよね」
いつ、慎と話せなくなるかなんて分からない。
だからこそ、きちんと伝えたいと思った。
───────────────・・・
「ねえ、慎」
「ん?」
「あたし、本当に慎のこと好きだよ。
恋とかちゃんとしたことないからあんまり分からないけど
あたし本当に本当に、慎のことが好き。一生愛せる自信あるの!」
「何言ってるの(笑)急にどした?」
「別に!ただ本当のこと言っただけ。冗談とかじゃないから!」
「あーありがと・・!」
「っうん!」
よかった。伝えてよかった。
ありがとうっていってくれた。
これでどうこうなるわけじゃないけど、気持ちを伝えられたことに
あたしは嬉しさを感じていた。
だけど
「まあ、お前はモテモテだから、誰にでも言ってると嫌われるぞ!(笑)」
「え?・・・あたしが誰にでも言ってると思うの?」
「違うの?」
「違うッ!違う・・そんな、あたし、そんな簡単に好きっていったり、しない、よ・・」
「おい、どうしたの?なんで泣くんだよ・・」
「ッどいよ・・」
「え?」
「ひどいよ・・本当に好きなのに!あたしの気持ちどうして真面目に聞いてくれないの!
あたしは子供なんかじゃない!誰よりも好きな気持ちは負けない!」
「・・・」
「もう、いい。通話きるね・・!あたしが悪かった。それじゃあ」
ブツンッ
逃げるようにして通話を終了させた。
そのあとに、慎から「ごめん」とチャットがきていた。
あたしは涙を溜めて画面を見つめたけど
そのチャットに返信することなく
枕に顔を埋めた。
─────────────────・・・
それから、なんとなく話す気が起きなくて
声を掛けることはできなかった。
このまま、終わってしまうのかな。
そんなことを考えると
呼吸さえ辛くて、涙は止まらなかった。
そんな時、チャット音が聞こえて
画面に目をやった。
慎からだった。
何だろうと思い開いてみると
そこには心を大きく揺さぶることが書いてあった。
「この間はごめん。もっと真面目に話を聞いてやればよかったな。
急な話で、正直びびった。
俺もお前が好きだよ。ありがとな」
好き?
慎があたしを好き?
あれ・・・?
あたしの瞳から、涙が消えた。
花が咲いたように笑顔になり、
チャットを返した。
そしてまた、時間があれば話すという日常を
繰り返していた。
あたしは相変わらず、好きを連発しては
慎に気持ちをぶつけていた。
幸せな時間。それは悲しみも同時に運んできた。
「好きだよ!結婚してよね!」
「結婚ですか(笑)」
「え、嫌なの?」
「何歳離れてると思ってるんだよ」
「歳なんて関係ないでしょう?」
「あるから、ね。犯罪ですよ犯罪ー」
「じゃあ、大人になったら。」
「はい?」
「あたしが大人になったら。
ちゃんと恋愛できる歳になったら。
結婚してくれますか。」
「どうだろうね(笑)」
「はぐらかさないでよ」
「その頃には、お前も俺も
違う奴のこと見てるよ」
「なんで?なんでまたそんなこというの?」
「事実でしょ」
あたしには、
「そんなの分からないじゃない!好きっていってくれたのに、
どうしてそんなことばかりいうの?」
貴方の気持ちが、
「好きとか言ったっけ?」
分からなかった。
「え・・・?」
「え?(笑)」
「好きって・・いってくれたじゃん・・・」
「俺そんなこと言ったっけ」
「は・・ぁ・・?」
「覚えてない」
「も・・いぃ・・ッ!もうッ・・いいよぉおッ!分かった・・!あたし、が・・悪かっ、た・・ッ!!」
「だからなんで泣くんだよ」
「どうして・・傷つけることしか・・ッしてく、れないの・・?」
「俺が何したの」
「そ、うだよ、ねッ・・・あっははッ・・何にもしてな、い・・何にも・・してくれないよねッ!!」
「なんなんだよ」
「ごめんね、気をつかってくれて、ありがとう。」
「はい?」
「あたしの気持ちに付き合ってくれて、ありがとう。」
「いやいやいや・・わけわから」
「ばいばい」
ブツンッ
───────────────────・・・
もう、やっと。
嫌いになれそうだよ、慎
今まで何度だって、もうやめにしようって思ったこと
あったけど。
何度も貴方を好きになった。
けど、もう終わりだね。
あたしの気持ちは伝わらない。
ごめんね。
あたしには無理だった。
好きだったのに。大好きだったのに。
さよなら。
ばいばい。
─────────────────────・・・
ここにいても、何も変わらない。
ここにいるから忘れられないんだ。
もう辛いのは嫌。
せめて楽しかったときのこと
ずっと心にしまっておきたいの。
だからね、あたし家をでます。
いつか、貴方に恥ずかしくないくらい
綺麗な女の子になる。
今度は貴方から、たくさんの好きを
聞けるように。
あたしはそうしてネットから離れた。
そして、18歳。
家の中ではあたしの縁談の話で
盛り上がっていた。
うちの家は、病院を経営しているため
後継ぎを選ぶのは慎重だった。
そしてその当日。
あたしはそれを面と向かって断った。
両親は唖然としていた。
これで家族とはさよならかもしれない。
それでもいい。
あたしは一人で生きていく。
親には突き放され、家をでていくのに
時間はかからなかった。
わざとこうしたのではない。
自分が生きたいように生きる。
それはあたし自身が決めていることだった。
ネットで知り合った長い付き合いになる友人の家へ行った。
しばらくは住まわせてもらうことができた。
そして、あたしはある人に電話をかけた。
メールは何度かしていたことがあったけど、
電話はこれが初めてだった。
でるのかな。
もう、使われてなかったりして。
そんなことを思いながら、通話ボタンに手をかける。
そして──
プルルル・・・プルル・・・プルルル・・・
「やっぱ、でないよね」
プルルル・・プルル・・
もう切ろう、そう思ったときだった。
「はいもしもし」
鼓動がはやくなった。
あの時のあの声がこんなにも鮮明に蘇ってきたから。
「慎?」
「柚・・?」
「元気?」
「お前こそ、急にいなくなって、びびった」
「大人になろうと思って」
「え?」
「あたしね、誰かさんに約束したの。
あたしが大人になったら、結婚してねって。」
「お前・・」
「えっへへ・・ッだからね!あたし家をでたの」
「まじかよ、今はどこ住んでるの?」
「友達の家。ずっとは居られないけど、とりあえず、ね」
「そか・・・これからどうするの?」
「正直、考えてない。どうなるかも分からない。
でもあたし、大人になるまでは絶対死ねないんだ。
大人になって・・今度は、ちゃんと・・貴方の瞳をみて好きって
愛してるっていいたいの。抱きしめてほしいから。
今度は、貴方から愛してほしいから。私はまだ死ねない。」
「・・・・・」
「だから大丈夫。どんな方法だって生きていける。
甘くみてるつもりはない。これはあたしが決めた道なの」
「そか・・それがお前の答えなんだな。
正直、もうお前には嫌われたと思ってた」
「あたしも、慎を嫌ったと思った。
だけど考えても考えても、憎むことなんてできなかった。
好きだから。」
「好き連発する癖は治ってないな」
「治すつもりないっす(笑)」
「そうですか(笑)」
「別に私を待っててなんていわないよ。
あたしはあたしのしたいことをする。
慎は慎のしたいことをする。」
「ああ、分かったよ
俺は俺のしたいようにする。
お前に言われなくても、俺はそうするしかできない」
「そうだね。
じゃあそろそろ切るから」
「また連絡して」
「じゃ、また」
───────────────────・・・
何も変わらずに話せたこと。
それが一番よかったと思う。
きっと向こうも新しい道に進んでるはず。
もうあたしを見ることはきっとないだろう。
そのままの慎が好き。
ありのままの彼が好き。
それだけは変わらなかった。
───────────────────・・・
今あたしは歩いている。
やっと、やっと会える。
もうすぐ貴方に会える。
もう、待たない。
今度こそ本当に、絶対の約束だよ─
「高宮会長、本当にお願いだ」
「申し訳ありません。お断りします」
俺はこの2年間。
いや、もっとだ。
ずっと馬鹿みたいに断ってきた。
「安西様と結婚しなければ、経営も持ちません」
「俺がなんとかしますんで」
「できないからいってるんです」
「俺は俺のしたいようにやるし、やれるといったらやるんで」
「高宮会長・・・!」
「亜由のことは、ずっと断ってきたつもりです」
「お願いします・・!ご無理をいわずに!」
「亜由をつれてきてください。話をしますんで。」
「分かりました」
俺がどうしてずっと縁談を断っているか
理由は一つだった。
たかがネット。みたこともない
馬鹿みたいなガキが告白してきたこと
それだけのために自分の人生に関わることを
棒にふっているのか。
だけど、信じたかった。
信じてみたかった。
あいつがいったことを、俺は嘘だと思わなかった。
まっすぐな言葉は俺には真似できないほど
眩しいものだった。
素直になれない。
本当のことさえ何一つ知らないふりをして。
それでも俺を愛し続けた少女を
見捨てるのは、
好きじゃない奴と結婚することよりも
馬鹿だと思った。
道はどれだけだって切り開ける。
だからこそ、賭けてみようと思う。
今度は瞳をみて、愛してると言ってやれるように──
「慎也?どうしたのボーっとして。」
「いや、なんでもない」
「結婚、前向きに考えてくれた?」
「だから俺はお前とは─」
「知らない。」
「おい・・亜由・・ッ」
「どうして?断る理由は何?貴方の会社だって
私のところとうまくいってるほうが有利なのに」
「それは本当に大事なことだけど、俺はお前とは
結婚しない」
「慎也の意志がどれだけ通るんでしょうね?お父様はそんな理由もなしに
許したりしないわよ。目を覚まして。会長なのよ?」
「人の意見に流される奴は会長なんてできない」
「もう知らない」
バタンッ
強く扉を閉めて出て行った。
それでも俺の答えは変わらない。
「はぁ・・・」
───────────────────・・・・
プルルル・・・プルル・・・
「はいもしもし?どした?」
「あ、慎?」
「おう」
「あのね、会いたい」
「あ、うん」
「住所教えて・・ほしい」
「だな」
「ごめんね、仕事中だったかな・・」
「いやいいよ。住所は、○○-■△-●◇」
「おっけい!分かった」
「こっちついたら連絡して、迎えにいく」
「わかった、それじゃ」
・・・やっと来る。
やっと会える。
もう随分待ったんだ、お前も俺も。
だから、もう幸せになってもいいんじゃないかな。
───────────────────・・・
「着いた・・・」
あたしはやっと新しい空気を吸った
「これが北海道・・てか寒ッ」
本当は電車とかに乗ったほうが
よかったけど、面倒だった。
タクシーを拾って住所を見せる。
「ここッ!ここまで行ってくださいッ!!」
運転手さんは笑顔でわかりました、といってくれた。
全てに胸が弾んだ。
着いたのは、夜8時くらい。
だいぶ疲れて足がふらついた。
一つのマンションが目の前に立っていた。
そこで気付いたことがあった。
・・・連絡してない。
・・・・・・忘れちった。
しょうがないからここから電話かけよう。
プルルル・・・プルル・・・
「でないじゃん」
一瞬迷ったが家は分かってるんだから、
外で待とうと思った。
傍の花壇に座って携帯をいじっていた。
すると、タクシーから一人の男の人が
降りてきた。
このマンションの人なのだろう。
寒いのでロビーに入りたい一身で
その人にちょこまかとついて行った。
ちょうど扉の内側に入りきったところで
よかった、と安心した途端、
前の男がいきなり立ち止まったせいで
あたしは思いっきりぶつかってしまった。
「いっでッ!!!!」
変な声をだしてしまい、痛む鼻をおさえた。
すると相手は少し焦った顔で
「ああ、すいません・・!」と
手を貸してくれた
「こちらこそすいません、ありがとう」と
笑顔を見せると
びっくりした顔で
「名前聞いてもいいですか」
といわれた。
まさかとは思ったけど
あたしは「え、あ、はい」とか
いいながら本名を言った。
「嘘だろ・・・」
「慎?」
「あ、うん」
「まじか!(笑)」
「なんで笑うんだよ」
「意外と紳士だなと思って!」
「うっせえ」
「背、高いんだね」
「お前は小っさいんだな(笑)」
「うっせぇ!」
「とりあえず立ち話もだるいし来い」
「あ、うん」
───────────────────・・・
ドキドキしながら慎のあとを
ついていく。
とてもかっこよかった。
イケメン・・とかそういうのじゃなくて、
大人っぽい雰囲気があたしの想像を
超えていた。
背が高くて細いけどしっかりしてるところが
男だと表現していた
「はい、どーぞ」
扉を開けられて、あたしは小走りで中に入った
「あ、おじゃましますッ!」
「おう」
二人で靴を脱いで、廊下を歩く。
一歩一歩がすごく重く感じる。
お互い無言だった。
リビングに入って
あたしと慎が荷物を置いた途端
糸が切れたように抱き合った
思ってることは、
溢れだして
考えてることは、
一瞬で消えて
今までの全部が
二人を触れさせたんだと
思った。
熱が伝わって
全身で感じて
止まらなくなって。
ああ、これが愛するって
ことなんだ。
愛しいってことなんだって
心で、体で感じることが
できた。
傷つくことも喜びも
幸せも悲しみも
それは全部、
貴方が教えてくれた。
貴方でよかったと
本気で思った。
もしもあの時、
貴方に出会ってなければ
きっとあたしは
死ぬほど後悔した。
どんな苦しいことがあっても
貴方がいてくれるだけで
それだけで大丈夫な気がするの。
本当に、そう思ったんだよ?
───────────────────・・・
後から慎、いや、慎也に聞いた話。
何年にも渡って、結婚の話がひきずられたこと。
亜由さんのこと。
あたしとネットで話してたときのこと。
そして、慎也自身のこと。
たくさんたくさん話をきいて、
たくさんたくさん夜を過ごして
お互いを隠さず見せた。
だからこそ、もっと貴方を好きになった。
亜由さんの気持ちは痛いほど伝わってきたと
慎也は話してた。
それでも、あいつは思った以上に大人だから
きっと大丈夫だって。
人の幸せをどれだけ願っていても、
自分の幸せを取ってしまうのは
人間だからしょうがないこと。
だけど、どんな幸せでも
その人がどれだけ幸せだと思えるかで
価値は変わってくると思う。
だからこそ、誰にも負けないくらい
堂々と胸を張って
とても幸せだと言えるあたしで
いたいと思う。
慎也と一緒ならいつだって
幸せだと言える自信がある。
一生に一度の大恋愛だから!(笑)
「なあ柚花」
「ん、なに?」
「愛してるよ」
「馬鹿ッ!あたしも愛してるんだから!」
「ガキ(笑)」
お父さん、お母さん
私は来月に結婚します。
───────────────────・・・
─終わり─
長いのによんでもらってありがとでした!
嬉しいです!
最初のプロローグ的なのは亜由ちゃんの言葉なので
ご了承ください(*´ω`*)
体験談だったりちがったりそうだったり・・・笑
お楽しみいただけたでしょうか!
いつも読んでいただきありがとうございます!
これからもあたしをよろしくお願いします。






