episode 5 「デート準備 part 1」
明日がデート本番
僕は遊びになんてほとんど行かないから
服が中学2年生辺りで止まってる。
しかもちょっと買い物行くくらいのやつ。
なので僕は明日に向けて服を買いに遠出しないといけない。(遠出というほど遠出でもないが)
「今日ちょっと買い物行く」
遅めの朝食を食べながら萌に言う。
「お兄ちゃんが買い物って珍し!」
「誰と行くの?友達?」
箸でつかんでいた卵焼きを落とし
目を見開きとても驚いた顔で聞いてきた。
「一人だけど…」
苦笑いしながら答える
「まーそりゃそうだよね笑」
必死に笑いを堪えて言う
「ところで何買うの?」
不思議そうに聞いてきた。
「服」
あんなに笑わなくてもいいのに
ちょっとイラッときてしまった。
「えっお兄ちゃん服ちゃんとしたの選べるの?」
たしかに...
人生で一度も出掛けるための服という服を来てこなかったこの僕がデートのための服など買えるのだろうか…
「うーんか、買えると思うけどな」
自信無さげに答えた
多分ちゃんと服がえらべないいや選べるはずがなかろう。
「私がついて行ってあげようか?」
自信満々に拳を握りガッツポーズをした。
正直高校一年生にもなって妹と一緒に買い物なんて恥ずかしい。
けれど僕一人でちゃんとした服を選べるなんて自身は欠けらも無い。
やはりここはお願いするべきか…
「うん。じゃあおねがい」
ご飯を口に運びながら答える。
「そうと決まったら早く準備するよ!」
ご飯をさっそうと食べ終えて自分の部屋へ向かってしまった。
僕もそのあと朝食を食べ終えると服を着替え出かける支度をして玄関で萌を待っていた。
「ごめん お兄ちゃんお待たせ!」
やっぱり萌は服のセンスがいい。
おしゃれ下級者の僕から一言言うとしたら大人っぽい服装だ。
母替わりとしてやってきた萌にとってはやっぱりそれ相応の大人っぽい服を着たいのだろうか。
「ゲッ...お兄ちゃんの服ダサッ」
そこまで言わなくてもいいのではないか。
そう一瞬思ったが、改めて自分の服を見てみるとそうもいかないみたいだ。
私服すらほとんど着ない僕が精一杯選んだ服だったが
ジャージみたいなズボンにパーカー一枚。
どうあがいてもおしゃれとは言えないだろう。
「いいから早くいくぞ」
靴をちゃんと履かずに玄関のドアを開け外に出た。
「着いた〜。お兄ちゃんと買い物なんて何年ぶりだろう」
懐かしそうに目を閉じ頷きながら言っている。
今日来ている家の近くの少し大きめのショッピングモールは電車で学校方面と反対側に3駅行ったところにある。
萌はたまに生活用品を買いにそこには行くらしいのだが
数少ない友達もみんなインドアだったためここに来ることなんてほとんどない。
「えっとー確か服が置いてあるのは2階だね。早く行くよ!」
自分の服を買う訳でもないのにとても嬉しそうに言った。
「そんな急がなくても時間はあるから大丈夫だって!」
まだ11時だし今日は服をだけなのだから多分1時間もかからないだろうからゆっくりで大丈夫だろう。
と思っていたのだが…
「お兄ちゃんこれ似合うんじゃない?」
「うーんなんかビミョー」
店内のどこからか持ってきたちょっと地味めなシャツを合わせてきた。
萌は僕がまるで着せ替え人形かのようにいろんな服を合わせたりして何ヶ所も服屋をまわっている。
未だ1着も買えていない。
もう1時を過ぎた。そろそろお腹がすいてくるころだ。
「萌、そろそろお昼ご飯食べないか?」
流石に我慢できなくなってきた。
お腹のすき具合もそうだがファッションなんか1ミリも興味のない自分にとってはずっと服を見るのは少ししんどい...
「そーだね 私もお腹空いてきたしフードコートでも行く?」
萌は相変わらず買い物を全力で楽しんでいる。
久しぶりの買い物だしそりゃそうか笑
我々一行はフードコートへ向かった。
人々の騒がしい話し声が聞こえてくる。
やはりこの時間帯、フードコートはほとんど満席だ。
「全然空いてないねー」
萌が言う。
「あぁそうだね」
ぶっきらぼうに返す。
空いてる席を探すためにフードコート内をうろつく。
フードコート内を一周しようとしたその時
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おーい。悠」
低く太い声で僕の名前を誰かが呼んでいる。
声の聞こえた方向を見て見ると二人前のたこ焼きを持った翔太がいた。
中途半端ですが全部書くと長くなってしまいそうなので
区切りました。