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人類改造記:現代のおっさんと未来の人工知能が人類滅亡回避で2人旅  作者: 東風
第1章 突然の拉致からのタイムトラベル
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第5話 緊急対応と豪華なディナー

主人公の行方不明に大慌てな子供たち。

その頃、主人公は目に見えない相手と意思の疎通を図るために色々試しています。

外と内の温度差が大変なことになっていますが、さてどうなります事やら・・・

第3回アース・スターノベル小説大賞に参加させていただきます。

 さて、ここでまた子供たちの方に視点を変えてみよう。


 長女の連絡を受けた長男は、取る物も取りあえず父の行方不明となった地へ移動を開始していた。

 実は、彼女とデート中だったのだが、緊急事態のため彼女に謝ってその場から移動を始めたのである。

 結婚するつもりはないが、結構ルックスも良く財政的に余裕がある事もあって彼女はしっかりいる長男だった。(良いのかそれで?)


 次女は連絡を受けると、直ぐにいつも旅行する時などに飼い犬達の面倒を頼んでいる友人に連絡して、父親遭難の事情を説明し、これから現地に出発するので、いつも通りお願いしますとお願いした。 この家の鍵なども予め預けてあるのでこういう時は話が早くて済む。

 3頭の室内犬を買っているのだが、結構な頻度で旅行に出かけるので頼まれる友人も慣れたものだ。

そして犬たちに行ってくるねと話しかけ、簡単な荷物を持って家を飛び出した。

 次女が結婚できない原因は、何時も回りに犬や猫を飼っている為に彼氏が近づきにくいといった事にあるのだが、本人は全然解っていない。

 さすがに父親はその原因を理解していて、初めのうちはそれとなく注意していたのだが、全く改善されないので諦めたという経緯がある。


 警察への捜索願を出し、続けて兄弟たちにも状況報告と集合連絡をした後、長女もすぐに家を出てマンションの駐車場に止めてある車に乗り込んで現地へと出発した。

 国産車ながらも高性能な車を可能な限りかっ飛ばし、道交法ギリギリ、時には少しオーバーしながら一般道から高速へと突き進んでいく。


 兄弟揃って仕事も順調で、それなりに高給取りであるから、こういう時は惜しげもなくお金を使う。

 その結果、父親が5時間かけてきた距離を、3人共が2時間程度で踏破して現地の警察署前に集合したのであった。


*********************************************************


 一方、捜索依頼を出された警察は、長女から送られた父親の最後にロスとした位置のデータを基に、地元の猟友会等と連絡を取り合って捜索態勢を整える。

 準備が出来次第、直ちに地上からは猟友会を中心とした救助隊を出発させ、同時に警察署のヘリポートから救助ヘリを飛び立たせた。


 この段階で警察は、行方不明の原因は熊に襲われて、獣道などに引き摺り込まれ、その際に携帯が破壊された為と考えていた。

 行方不明となる直前までの位置情報がはっきりしている上、天気も快晴で風もほとんど無い状況だから、現在無事かどうかまでは判らないが、少なくとも発見まで時間が掛かるとは誰も考えていなかった。

 しかし、初動対処も早くて近年では珍しい位に理想的に進んでいた捜索にも係わらず、上空からも地上からも父親の痕跡を発見する事は出来なかった。


 ここまでで、父親の信号が途絶えてから1時間くらい掛かっている。


 その頃主人公は、すでに洞窟を発見して中に侵入していたが、普通なら上空を飛ぶヘリの音くらい聞こえていただろう。

 しかし、長女のパソコンから信号が消えたことから、主人公が入り込んだ分かれ道は何らかの方法で空間が切り離され、音も電波も全く通さなくなっていたと思われる。

 その上、光学的にも元々の風景しか見えないように欺瞞がされているか、はたまた、分かれ道自体が主人公を導くために一時的に現れただけのものなのか判らないが、誰にも分かれ道を発見する事が出来なかった。

 その為に、主人公も捜索隊が来ている事に気が付かないし、捜索隊の方も主人公が入り込んだ分かれ道を発見できず、当然、洞窟を見つける事も出来なかったのだ。


 主人公が踏み込んだ分かれ道の場所は、最後に信号が消えた場所を地図に落とし込む事で特定する事が出来たのだが、地上からの捜索隊が辿り着いたとき、そこには熊が現れて人が襲われたような跡は見つからず、まして獣道なども無い事が解った。

 なぜ、主人公が尾根の一本道から、地図上でも、捜索隊が現地を確認しても獣道すら無い、本当に樹木ばかりで進入する事が難しい方向へと進んでいったのか理由がわからないまま、結果として、主人公はこの世界から突然消えてしまった事になる。

 この日は夕暮れにより捜索は一時中断となった。


*********************************************************


 そんな事とは知らない主人公に視点を戻す。


 壁の隅みに点った緑色の明かりの下に立ち、壁を触ってみると、音もなくドア1枚分のスペースが横に吸い込まれていき、中には白で統一された綺麗なトイレが見えた。


 これで問題の一つが解決したようだ。


 せっかくなので用を足してから元の場所に戻る。

 便器は温水式暖房便座が使用されていて、消臭機能も付いた某社から販売されている最新式便器といったところか。大変良い使用感だった。

 温風式の乾燥機もついているが、トイレットペーパーも備えられているのが嬉しい。


 大体ここのシステムが判ってきたので落ち着いたが、ここから出られない状況には変化がないので余り楽しんでもいられない。

 今時の日本では大抵の場所から携帯電話で通話することが出来るので、予定通りに山小屋で宿泊していれば、夜には子供たちの誰かから連絡が入る可能性がある。

 しかし、先ほどから確認しているが俺の携帯は完全に圏外になっている。

 地下深くに潜って、こんな施設に紛れ込んでいる状況では仕方のないことだが、山に登って連絡不能になれば当然捜索願が出されるだろう。

 そうなると地元の警察関係者やその他大勢の人に迷惑が掛かってしまうだろう。(すでに捜索隊が出されている事には全く気がついていない。)

 そんな状況は何とか回避したいのだが、今のところ何も解決方法が見つからない。

 遠からず、遭難という判断の下に、捜索隊が出動する羽目になるだろう。(だからもう手遅れだ!!)


 今まで見てきた状況から特にこの施設に不具合があるような感じはないので、ますます本来の使用者はどこにいるのか気になってくる。

 まさか完全に無人化されている訳でもあるまい。

 もしもそうだとしたらコーヒーなどの備品が用意されていることに説明がつかないような気がする。無人化された施設に来客があるというのは想定されていないと思うのだが。


 腕時計を確認すると、すでに午後4時近くになっている。

 1時に昼食を終えて出発して、道を間違えて(?)から洞窟に入ってと考えると、だいぶ時間がたっているので、山道ではもうすぐにも暗くなってくるだろう。

 この分では今日予定していた山小屋にはとても行けそうにない。

 それどころか、ここから出られなければいつまでたっても目的地に着くことは出来ないし、家に帰ることも出来ないのだから、そっちの方が大問題である。


 試しに、この施設を管理しているのではないかと思われる存在に届くことを期待して、


 「どなたかいませんか?いたら出てきて話をさせて下さい。」


 と、メッセージを念じてみたが、返事はなかった。

 聞こえないのか、聞こえても答える気がないのか判らないが。


 この施設を管理している存在がいれば、どこかでモニターしているかもしれない。

 此方の状況は解っている事だろうが、向こうから出てきてくれないことには挨拶のしようがないし、出してくれるように、若しくは家族に連絡してくれるように頼むことも出来ない。


 壁の画面は相変わらず縄文時代だし、どうせなら何か別の番組を見たいと思うが、TVの受信は出来るのだろうか?


 「TV番組を見させて欲しい。」


 これにも反応がない。


 まあ、縄文時代の映像が映っているだけで音声や回りの音と行ったものが入っていないので、スピーカーがあるのかどうかすら判らないから、TVが映ったとしても音が聞こえる保障はなかった。

これでは期待しても仕方がないのかもしれない。


 しかし、こうなると本当に出来ることが無くなってしまった。

 せっかくベッドが出ているが、寝てしまうには早すぎるし、まだ晩ご飯も食べていない。


 元々山小屋で泊まるつもりだったから、風呂に入る事は考えていなかったから問題にはならないし、ここは雨風をしのげて、立派なトイレまであるのだから山小屋よりも遙かに上等な宿泊場所であることは間違いないだろう。

 諦めて、こうなったら持久戦の構えを取るしかないと、フレームザックの中から持参した本を取り出す。

 2日前に以前から読みたいと思っていた本が手に入ったので持ってきたのだ。

 ついでにコーヒーをもう一杯カップに注ぎ、クッキーも近くに持ってきておく。

 どういう作りなのか、コーヒーは全然冷めていない。

 時間をおけば酸化して味が落ちるものだが、全く味が変わらないのに驚いた。

 是非、自宅にもこんなコーヒーサーバーが欲しいものだ。


 その後は読書をしながらコーヒーを飲んで、クッキーを食べるという、山の中にいる事を忘れそうな贅沢な時間を過ごすことになった。


 コーヒーをさらに2杯お代わりし、30頁ほど本を読み進んだ頃、ぼちぼち夕食にしようかと栞を挟んで本を閉じた。

 画面の方も夕方になったようで、見えていた集落は薄暗い森の中に埋もれ、見えなくなってきている。

 見ていても飽きるだけなので、どうでも良いのだが、時間が此方と同じように経過しているのはやはりリアルタイムの映像なのだろうか。


 さて、ここで少し考える。

 夕食には持参した食料を使うのがこの山歩きの予定通りの行動となる訳だが、この先どれくらいこの遭難状態(?)が続くか判らない以上、非常食の類は取っておきたい。

 もしかしたら食料も出して貰えるかもしれないので、ここは一つやってみよう。


 「夕食、ディナーが食べたい!!」


 これが叶えられれば食糧問題は心配しなくても良くなる。

 そう思って念じたところ、大成功だった。


 目の前のテーブルの中央部分が開いて、迫り上がってきたのはなかなか食欲をそそるような匂いの料理の数々だった。

 献立はビーフステーキ(200g位)、付け合わせにはマッシュポテト、ブロッコリー、レタスにキュウリとプチトマトのサラダ・チーズ入り、コーンスープといった洋食風と、肉じゃが、刺身の盛り合わせといった和食風、ついでに飲茶的な物もあったりして、一人分としては多すぎると思う。

 ご飯まであるのは俺的に嬉しいのだが、絶対食べきれない物量を目の前すると食べる前からお腹が一杯になった気がして困った。


 それでも、せっかく出してくれた物だからと、順番に箸を進めていく。

 俺好みのちょうど良い味付けに食も進むというものだが、さっきのコーヒーと同様、どうやって俺の好みを調べているのだろうか?

 しかも、これだけの献立がほとんど待ち時間もなく提供されたのは、人が調理していてはとても無理だろう。

 どんな設備があれば出来るのか想像も出来ないが、少なくとも現在の科学力で対向できるとは思えない。

 ここまで来ると心配というか、不気味な感じもしてくる。


 いい加減腹一杯まで食べてしまい、もう入らないと感じたところで料理がテーブルの中に沈み込んでいった。

 残してしまって申し訳ないが、もう食べられないので、


「ご馳走様でした。」


 と手を合わせてお礼を言っておいた。


 食事も終わって、さてこれからどうしようかと考えていると、トイレの隣に新しいドアか開いたのに気が付いた。

 今度は何があるのかと覗きに行くと、中は洗面所になっていて、棚の上には包装されたままの歯ブラシと歯磨き粉にコップ、髭剃りとシェービングフォームが有り、その上の段には何枚かのタオルが置いてある。

 まるでホテルに泊まっているかのような錯覚すら覚えてしまう準備の良さに、苦笑しながら歯を磨いてからテーブルに戻ってきた。


 もうやる事もないので、又本を読みながら時間をつぶすことにした。

 コーヒーをもう一杯飲んで、ほどほどに頁も進んだ頃、眠くなってきたので腕時計を見ると9時を回っていた。

 後はベッドに入って眠るしかないので、フレームザックをベッドの横に移動させると、欠伸をしながら服を脱いでベッドに潜り込んだ。

 すると、それを待っていたかのように部屋の明かりが暗くなって、やがてすっかり消えてしまう。

俺が何時も明かりを完全に消して眠る事まで知っているようだ。

暑さにめげて、熱中症になり掛けました。寸での所で復旧しましたが、危うく救急車でしたね。

皆さまも気を付けてください。

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