第9話 次の目標は月基地攻略!?
新たに開発された力でUFO対策を充実させていく地球陣営。
次に問題となるのは月基地への対応となる。
次にUFOが来る前に何とかしたいと、情報収集の為に侵入作戦を行います。
作戦の合間にも色々とハプニングは起こります。
今日も今日とて予定外の行動を強いられるマリアと俺の二人旅です。
アルテミス、ディアナ、ルナ、チャンドラ、ホルス、ツクヨミ等々、古来、月の神の名前は地球上の各宗教関係では数限りなく存在する。
個人的にはアルテミスやルナなんかが好きだけれど、ホルスなんて昔見たアニメの主人公の名前だったな。
日本人的にはツキヨミ様が馴染みかな?
どこの世界でも、結構上位の神様だよね。
もっとも地球に近い天体であることから、よく観察されていて暦にも使われているし、昔から身近な信仰の対象にもなっており、不思議な力を感じることもある。
伝説としては狼男なんて言うのはポピュラーなところで、月の力を受けて超人になるなんて話も多かった。
そんな訳で月は人類にとって無くてはならない存在だろう。
しかし、現在進行形でみんなの友達感覚な天体上に敵の基地が在るなど、目障りでしょうがない。
せめて月の裏側にでもひっそりと作ってくれていれば、無視することもできただろうが、こちらを盗み見るように存在するとあっては、そういう訳にもいかない。
存在を感知できるような知的生物が、地球上にいないとでも思っているのか、傍若無人にも程があるというものだ。
地球自体に影響がなければ最悪、月ごと消し飛ばすなり、昔のテレビドラマのように月軌道から外宇宙に飛んで行ってもらうなりしても良いのだが、そうすると中秋の名月を愛でての月見も出来ないし、月見バーガーも大好きだから、やっぱり月明かりのない夜はちょっと寂しいと思う。
何より、地球の自転や気象状況にも密接な関係が有るので、やはり地球上に生物がいる間位は地球の傍にいて欲しいから、流石にそこまではする事はできない。
そうなると、月基地の無力化一択になる訳だけれど、どの様な方法で行うのが最も良いのか、作戦を決める為にも情報の収集を急ぐ事にした。
味方に引き込めれば問題もなくなるわけだけれど、話が通じるかどうかもわからないから、本当に困ったお隣さんだよ。
マリアが開発を進めていたマイクロスパイドローン(MSD)も完成し、専用のステルス強襲揚陸艦も新規建造が終わったので、今日、早速月基地への侵入作戦を決行する事になっている。
「MSD」を搭載したステルス強襲揚陸艦はLMDと呼称される事になった。
安直だが、「(Landing MSD dock」の頭文字を取って「LMD」だな。
ひねりが無くて申し訳ない。
強襲揚陸艦というと、垂直/短距離離着陸戦闘機やヘリコプター等を搭載し、艦内に上陸用舟艇等を積み込んで、敵地に兵隊を上陸させるための大型艦を思い浮かべるが、LMDは逆に今まで作ってきた艦種の中では最も小さかった駆逐艦よりも更に小型で、元の時代の自衛隊などでは掃海艇クラスに区分される艦種となる。
海に浮かべたら、排水量で600t、全長も100mといった小型艦艇だ。
もちろん全通甲板等は無い。
MSDを船内に500基搭載し、艇体側面から同時に複数を射出することが出来る他、艦内である程度の補修を行う事ができる構造になっている。
また、敵地に侵入したMSDに対して超指向性無線伝送で電力を送って充電することや必要に応じて細かな指令を伝える事ができると共に、MSDからの超指向性送信波を受信し、中継用に設置されるステルス衛星に向けて再送信する母船兼中継基地としての機能も有している。
小型艦だし使用する目的から攻撃能力は持たせていないが、その分ステルス性能に特化していて、電子的にも光学的にも探知する事はほぼ不可能となっている。
元々は無人艦として設計されたのだが、その後、状況の変化に対応する為に現場で新たな指令を発したり、支援が必要になった場合を想定してアンドロイドが搭乗して作戦の補助を行うことが出来るように設計が変更された。
もちろん人間が登場することも出来るようにはなっているが、そうすると生命維持の観点から色々な制限が発生してしまうので、今回の作戦では現場での不足事態対処用に5体のアンドロイドが乗っている。
もちろん、アンドロイドへの指示などはマリアが直接行っているので、距離による通信の遅延を考慮しても大抵の事態には対応することが出来るだろう。
LMDとMSDの建造はマリアが設計から建造まで直接行っていた為、マリアの母体内の格納庫で建造が行われており、そのまま格納庫から直接発進することになった。
発進のタイミングは月から見て地球の影側に日本列島(マリア本体)が入っている間となり、発進後は地球の影側を通って一度火星軌道まで大きく迂回してから、月基地から感知できない軌道をたどって月裏側へと飛行する事になる。
一連のオペレートは無事に進行し、地球発進から12時間ほどで月の裏側へ到着することができた。
そのまま月基地からは死角となる場所に一旦着陸したLMDから、先発として10基のMSDが射出され、月面の超低空を無重力装置と無慣性装置を駆使し、新しく開発された重力傾斜発生器を併用する事で、外部から観測されそうなエネルギーの放出を行わず、ステルス飛行を行って月基地へと飛行する。
「重力傾斜発生器」は、無重力装置から派生したもので、自分の進みたい方向に重力ポイントを人工的に作り、そこに向かって無限に落下して行くことで進行する装置になる。
ロケットエンジンやジェットエンジンなどの推進器を使用しないので、理論的には無限に加速することが出来るが、当然空気中などでは摩擦により発生する熱や空気抵抗などにより無限に加速することは出来ない。
ただし、宇宙空間では無慣性装置を併用して重力ポイントを自由に変える事で鋭角ターンを行う事もでき、UFOでも出来ないような軌道を描くことが出来るようになった。
SFの中では前方にブラックホールを発生させる事で無限に落ちていく方法も有ったように記憶しているが、果たしてどちらの方法が効率が良いか良く判らないな。
宇宙空間に存在するデブリ等との衝突は、バリアーを使うことで防止しており、開発段階から現在まで事故の発生は一件もない。
LDMから射出されたMSDは、月基地からの死角になっている場所から発進した事や超低空での侵入により最後まで探知されることなく、無事に月基地に到達することができたようだ。
現在は月基地内部への侵入路を調査中で、それの確保次第、残りのMSDも発進することになっている。
今後、どんな情報が得られるのか楽しみだ。
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地球上で殆ど調査や開拓が行われていない場所が海洋部だ。
地球の表面積の7割を占めている海洋部。
マリアナ海溝等の深いところでは1万メートル以上あり、100MPa以上の圧力が掛かっている。
元の時代でも最深部に到達した人類は数えるほどしかいなかったが、海溝などの深海では調査が遅れていた事から、無人調査船などの調査で時々新種の発見が報告されていたと思う。
まあ、太陽光線も届かない暗黒の世界だし、水圧が高すぎて船体の強度等、対策が大変だし、海流の流れは風なんかよりも抵抗が大きいしで、非常に開発のやりづらい場所であるのは確かなんだよな。
その分、海上からは探知し難いという利点があるので、それが宇宙空間からの観測となればまず何が有るか知る事は出来ないわけだ。
そんな事から、UFO侵攻に対抗する為の地下都市を拡大する傍ら、海底都市の建設も視野に入れて海洋探索を実施する為に、海中専用の探査ドローンを開発してみた。
当然、マリアナ海溝の底まで自由に先行できる強度と運動性能を持っていて、マニピュレーターやカメラも装備して資料の採集や映像による記録も行う事が出来る。
完成後、さっそく投入して調査を行っているが、海底火山の熱水噴出孔や写真で見た事のある深海魚などが予想よりも沢山見つかった他、更に思いがけない生物も発見される事になった。
元の時代でも、もっと本気を出して捜索すれば見つかる可能性もあったのかもしれないが、太平洋のマリアナ海溝等のいくつかの海溝部、太陽光も届かない遥かな深海で見つかったのは化石で有名なアンモナイトを始めとした化石時代の生物たちだった。
まさかモササウルス等の魚竜類やプレシオサウルスまで見ることができるとは思わなかった。
ずっと昔に絶滅して化石でしか見ることのできなかった生物が、映像とはいえ実際に目で見ることが出来るという事は、元の時代の科学者や歴史学者たちだったら気絶物だろう。
いったい、どんな適応が起きて生き延びてきたのかはわからないが、居るところには居るもんだな。
シーラカンスは不味くて食べられたものではなかったらしいけれど、魚竜類って食べられるのかな?
もしかしたら、元の時代でもひっそりと生き残っていたかもしれないけれど、水族館なんかで魚竜が泳いでいたらすごいだろうな。
性質が大人しいのかどうかは判らないけれども、幸い、攻撃してくるような事はないようなので、こちらからは手出ししないようにして、海底基地の建設場所を調査していくことにしたけれど、ここなら月基地からどんなに観測しても発見されることはないだろう。
海上と行き来する方法も色々と考えないといけないが、万が一の保険になりそうなので、太平洋や大西洋、インド洋などで海中都市を何か所か作っておきたいと思う。
人魚なんか遊びに来ないかな?
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これまで開拓してきた世界中の拠点は、継続して農林水産業の発展に力を入れる事にし、食料生産力の拡大や、新品種の開発などを行い、各地の気候に合わせた色々な特産品を作っている。
地下都市の拡張などとも並行して、アフリカ大陸やオーストラリア大陸にある広大な砂漠地域の緑地化をさらに進め、既にその80%を穀倉地帯や畜産放牧地帯に変えてしまった。
今では元が砂漠だったなんて思えないような田園や小麦を始めとした色々な種類の畑が、地平線まで一面に広がり、緑や金色のじゅうたんが風になびいている様子に、どこか癒される風景となっている。
どれだけの人口を賄えるかわからない収穫量となっているが、人手だけでは絶対に出来ない風景だろうな。
日本地域では、俺の我儘からリンゴと梨の果樹栽培を行ってもらっているが、品種も元の世界で食べていたものを中心に作っているので味は抜群だ。
地球全体の気候にも配慮しつつ、出来るだけ品質の良い食料の生産を進め、世界の何処かで飢饉などが起きた時、直ぐに食料を送れるように備蓄体制の強化や迅速な輸送方法を確立するなど、出来る限りの対策を行っていく。
地下鉄道網を拡張することで、今では殆どの地域に最短時間で物資を移動する事が出来るようになっているが、何度も言うけれど今は縄文時代なんだよな。
新しく開拓された地域は、直ぐに食糧の自給体制が整うわけではないので、安定して食料の確保ができるようになるまでの間は、各地からの補給によって支援物資を送り生活の保護を行っていく。
今回参入した地域はそれほど人数も多くないので、負担になるような事もないし、新しい開拓地域については、その地域に見合った作物の生産を行うように、指導、支援を行っているので、近いうちに新しい作物の生産を軌道に乗せることが出来るだろう。
観測の結果、今のところ遺伝子異常因子の拡散は防ぐことができているようなので、このまま様子を見ながら、人口が増加していくようにサポートを行っていこう。
今回の開拓により、地球上の人類の殆どが俺たちの体制下に収まったことになるので、再度UFOの遺伝子異常因子の放出が行われなければ、未来の人類破滅は回避されることになるのだが、UFOはまだ来るんだろうな。
一日も早く、月基地の無力化と、UFOの母星に対する対抗手段を確保して、地球に介入できないようにしなければならない。
月基地への侵入調査を開始しました。
地球での開発も色々進展を迎え安定した人類の発展に向けて進み始めています。
これでUFOの問題がなければ、目出度し目出度しになるのですが、やはり敵役は必要なのでこれからも出てくるのでしょう。
次は月基地の制圧に向けて頑張ります。
本文中に出てきた装置などの理論は、御都合主義による妄想です。
呆れずにこれからもよろしくお願いします。




