第3話 第1回宇宙戦闘もどき?
第一回対UFO戦の始まり?(なんてね)
人類側は消極的な対応を余儀なくされます。
だって、全面戦争はいやですからね。
本書では今までで一番緊迫した場面かな?(訳ないだろ!!)
マリアからUFO接近による警報が発令されると共に、俺は直近の転送装置で時空転移装置内へと戻ってきた。
大型スクリーンには人工衛星軌道に接近中のUFOが映されている。
『UFO1基、地球人工衛星軌道に侵入!
現在の所、太陽系内に他のUFOは認められず。
月方面、動きは有りません。
接近中のUFO、人工衛星軌道上で停止しました。』
マリアの現状報告が行われる中、軌道上で停止したUFOをマクロ衛星と地上からの望遠映像が追尾しながら監視している。
心なしかマリアの声にも緊張感がうかがえるな。
『UFO下部に動きが有ります。
ハッチと思われる部分が展開中。
内部から何かが出てきました。
形状から何かの投射装置と思われます。』
UFOの下部がカメラのフォーカスの様に開いていき、中から砲身の短い大砲のようなものが姿を見せた。
何かを地球に向けて発射しようとしているようだ。
地上の各地にいる住民は、日頃実施されている避難訓練の成果を発揮して、短時間に地下避難所に退避を行っており、もうすぐ完了するだろう。
万一、強力な兵器が使用されるようであれば、全力で迎撃を行い、地上への被害を防止しなければならない。
その為にも、UFOの状況を把握して、何をしようとしているのかを予測しなければならない。
今の所、大砲のようなものからはエネルギー反応は検出されていないようだ。
『UFO下部兵器状の物から気体状の物が放出されています。
地上の住民の退避完了。
放出された気体は大気上層の気流に乗って拡散中。
気体のサンプルを採取する為、マイクロ監視ゾンデを周辺に向かわせます。』
何だ?
毒か?
まさか地球上の生物を絶滅させるために、大気中に毒を蒔いたのだろうか?
地上の住民は殆ど地下に避難済みなので、現在地上にはアンドロイドとヒューマノイドしかいないから、直ぐに影響が出る事は無いと思うが、万一毒だったら、早急に浄化しなければならない。
ともかく、サンプルを採取して分析し、何が放出されたのかを確認しなければ、対策の立てようが無いな。
『UFOからの気体放出が止まりました。
放出時間は約30分。
UFOの下部ハッチ閉じます。
UFO,人工衛星軌道から離脱開始しました。
飛行方向は母星方面と考えられます。』
これで終わりか?
「マリア、至急サンプルの分析を行ってくれ。
何が蒔かれたのか出来るだけ早く知りたい。
状況に危険がなくなるまでは住民の避難を継続。
俺も、しばらくここで待機している。」
『了解しました。
分析急ぎます。
大気圏外の各センサーからの報告では、UFOは母星方面に飛び去りました。
月面上の動きは有りません。
安全が確認されるまで避難状態を続行します。』
「頼む。どうも嫌な予感がする。あいつらが無害なものを蒔いて行くとは思えないからな。」
『同感です。
避難生活に支障が無いように物資の配給を開始します。
各避難所での住民の所属確認。家族等の安否に対する情報公開を実施。
必要に応じて避難所間での住民の移動を開始します。』
「ああ。今回は緊急措置だったから、家族がバラバラになっているかもしれないんだな。
家族の安否確認をサポートして、出来るだけ早く合流できるようにしてやってくれ。」
『了解しました。
現時点を持って防空体制“3”、デフコン“3”に移行します。
地対空ミサイル、マスドライバー待機状態に移行。
マイクロ衛星のレーザーシステム待機解除。
太陽系圏内の監視体制は強化したまま。
UFOの月基地については、特に注意して監視します。』
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UFOの接近から退去までの時間は2時間も無かっただろう。
体感的には半日くらいは有った気がするが、短い物だった。
マイクロ監視ゾンデが複数機で問題の空域のサンプリングを行っているが、結果が出るのにはもう少し時間が掛かるだろう。
気になるのは、今回の騒動の間、月方面で動きが無かった事だ。
月の裏側にUFOの基地が有る事は、かなり前から分かっていた。
マリアのデータベースには月についての謎が幾つか残っていた。
当時の科学技術でも月について解明できていない謎が幾つかあったようで、その内の幾つかは俺が暮らしていた時代でも、新発見があったとか言って話題になったことが有ったので覚えている。
まあ、俺の時代よりもはるかに進んだ科学技術を持った未来でさえ、解明できていなかったことに驚いたものだが。
その中でも月は人工物であり、中空で自立航行が出来る宇宙船だという物が有った。
根拠としては、月表面のクレーターの大きさが直径に比して深さが浅すぎるという物だったり、アポロ計画で行われた実験で、中空でないとあり得ない音響結果が出た事だったり、月の見かけの大きさと太陽の見かけの大きさが同じだったりと、自然に出来た天体としてはおかしなことが多いという物だった。
元々、月の構成物質と地球の構成物質が違う事や、月の出来た年代が地球よりも古い事などが判っていたが、他にも色々と俺の知らない事があるようだ。
確かに月の大きさって、他の惑星にある衛星に比べて大きすぎるんだよな。
かといって、だったら誰が何の目的で作って持ってきたのかって話になるんだが、縄文時代にUFOが地球に頻繁に来ていた事から、何か関係があるのではないかと思ってしまう訳だ。
旧約聖書を始めとした世界の宗教的な記録等にある、ノアの箱舟などの洪水伝説について、世界中で同時期に洪水が発生した事が記録に有る訳だが、不思議なことにその前にはどこにも月に関する記録が残っていないこと、洪水後に月に関する記述が出始める事などから、月は後から地球につけられたものではないかと思えるんだ。
ただ、聖書などの記録では諸説あって、紀元前6000年から紀元前500年位とかなり開いているが、その頃に月が地球の傍に来たとすれば、今現在月が有る事は不思議ではなくなるわけだ。
月は地球にとって無くてはならない大切な天体だ。
地軸の安定を担っていたり、潮の満ち引きで地球の自転速度にも影響を与えている。
人間を初めとした生物の体調にも大きく影響しているし、狼男の強さにも直接関係している?
その月の中身が空洞で、宇宙船になっていて、地球を遥かな昔から監視していたとしたらどうだろうか?
月の表面にある、人工物にしか見えない構造物などもその一部なのではないだろうか。
いったい、UFOを送り出した生命体は何が目的で何時から地球を観測していたのだろうか?
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『問題空域周辺の大気についての分析が完了しました。』
マリアから報告が来たのは、UFOが去ってからほぼ1日過ぎた頃だった。
「ご苦労様。結構早かったな。」
『最重要事項として全力で行いました。
サンプルの採取の時間が一番掛かったかもしれませんが。』
「流石に、範囲が広いし、現場も遠いからな。仕方ないさ。
それで、どうだった?」
『分析に結果は私達が想定した内では、さほど悪い物ではありませんでした。
散布された物質は私達がこの時代に来た目的そのものです。
人類の繁殖力の低下、寿命の短縮化を引き出す遺伝子改変物質でした。』
「やっぱりそうだったか。
遺伝子異常自体が人為的な物ではないかと思っていたが、誰が起こしたものか判らなかった。
まさかUFOから送り込まれたとは思わなかったよ。」
『そうですね。
流石に縄文時代に巻き散らかされていたとは思いませんでした、考えてみれば地球上の生物に出来る事ではないので、UFOが関与しているのは実際に見てしまうと納得できる事でした。』
「それで、遺伝子改変因子は今の人類にどの程度影響があるのかな?」
『そちらについては確認中ですが、恐らく全人類規模で拡散して来た免疫遺伝子によって95%の確率で抑え込めることができると考えています。
まだ、免疫遺伝子を拡散していない地域が有りますが、そちらについては今後交配処置を行う事で十分対応が可能であることが、今までのシミュレーション結果で予測されていますから、問題はないでしょうね。』
「これまでの実績が結果を出したという事か。長いこと頑張ってきた甲斐があるという物だな。
オーストラリアとアフリカについては、これから回る事になるけれど、人工的には十分間に合うだろう。
問題は、UFO側が遺伝子異常因子の放出結果を確認に来るかどうかといった所かな?」
『確率90%で50年以内に確認に来ると思われます。
その場合、遺伝子異常因子が拡散されていない事に気付く可能性は100%となります。
そうなれば、拡散されていない原因の究明が行われ、UFO側の目的によっては、更に改変された遺伝子異常因子の開発と再散布が行われることになるでしょう。』
「結果の確認と遺伝子異常因子の改変、再散布か。どの位時間が掛かるかな?」
『最長200年程度、最短で60年位ではないでしょうか?
遺伝子異常因子の改変に係る時間に寄ります。
相手側の想定される科学力から、それほど時間は掛からないのではないかと推測されますので、60~100年以内には再散布が行われるのではないでしょうか。』
「あまり時間がないな。それまでに防衛体制を見直して、UFOを確実に撃退できる体制を構築しなければならないわけだ。
改変される遺伝子異常因子の性能が判らないから、今の段階では対応方法が判らないし、場合によっては全面戦争も辞さないで飛来するUFOすべてを排除する必要もあるからな。
迎撃兵器の開発も急がなければならない。
出来れば太陽系全域を防衛圏内にしたいところだけれど、小なりといえど太陽系も人類にとっては広いからな。手の届かない所だらけだ。」
『しかし、ここで防衛できなければ、これまで行って来た全ての時間が無駄になってしまいます。何が何でも守り切らなければなりません。』
「ああ。時代改変を行っても人類の生き残りをかけたマリアのマスター達の思いは無駄にしたくないからな。
最後まで足搔いて見せるさ。」
『有難うございます。
改めて、マスターに代わりお礼申し上げます。』
「マリアがお礼を言う必要はないさ。
結局、俺たち人類の未来に関わる事なのだから、出来るものが出来る事をやるだけさ。
ところで、汚染された大気を浄化することは出来ないのかな?
某日本戦艦改造宇宙船が行ったミッションでは〇射能除〇装置なるものが有ったけれど、遺伝子異常因子除去装置が出来れば問題は解決できるような気がするんだが。」
『日本の20世紀に放送されたアニメですね。
マゼラン星雲まで取りに行く必要も無いので、ちょっと開発してみましょう。
しかし、沈没した戦艦を宇宙船に改造するなど、かなり非効率な方法だと思うのですが、なんでこんなことを考えたのでしょうね?』
「ははは!
ちょっと理解できないかな?
まあ、ロマンといった所だと思うよ。
日本人にとってあの戦艦は特別な思いのある船だから、それが宇宙船になって飛んで、人類を救うために困難に立ち向かって行くなんて胸がワクワクするシチュエーションなのさ。
何なら、銀河系を横断する鉄道をSLで旅するなんてアニメも有ったからね。
当時の男の子たちにとってまさに夢のようなものだったのさ。」
『そんな物なのですね。私には少々理解しかねますが。』
「そうは言うけれど、マリアの本体だって、20世紀の男の子たちにしてみればたまらない位魅力的なものだと思うけれどね。」
『それは本当に嬉しいと思えるものなのでしょうか?』
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その後、24時間待って退避状態を解除した。
今の所、散布された遺伝子異常因子は脅威足りえないが判ったからだ。
問題が無ければいつまでも退避している必要はないからね。
現在では、各地で日常生活に戻っているから、人類の根性も大したものだと思うよ。
暫くの間、各地の再開拓に関しては現地のヒューマノイド達に任せて、俺はマリアと共に今後の対応策の検討を行っている。
UFOに対しては、出来れば直接戦闘を避ける方向で行きたい。
外宇宙から飛来してくるくらいの科学力に対抗するのは、ちょっと厳しいと思うからね。
隠れていられる間は隠れていようと思う。
もし、一度でも戦火を交えてしまえば、引き返すことは出来なくなるのだから、戦争は最後の手段となるだろう。
そうすると、次点で考えられるのは、遺伝異常因子除去装置の開発になる。
UFO側がどの様に効果の確認を行うのか不明だが、一番確実なのは地球人を拉致して調査・分析することだろう。
血液検査からでも効果のほどは確認できると思うが、何処までやるか判らない。
大体、UFO側の最終的な目的が不明なので、何を考えるにしても推測の域を出ないという事が、問題なんだよな。
もちろん、地球人の拉致など許すつもりはないが、今回のような時間的に余裕のない状況になると、防止できるか不安になる。
何とか相手に分からないような妨害が出来れば良いが、何とかならないものかね。
今回使った地下待避所は非常用として作られた物なので、住民全員の収納が出来ると言っても色々と使い勝手が悪かったようだ。
非難した人に無作為でアンケートを取ったが、結構不満が有る事が判った。
まあ、そうだよな。
この際、主要な拠点の地下に長期生活が出来る事を目的とした大都市空間を作って、常に住民の何割かを実際に住まわせておこうかとも思う。
一定期間で住民の入れ替えを行い、平等に地下都市での暮らしを経験させておき、万一避難が間に合わなかった場合でも、健康な人類を一定数確保出来るようにしておけば、挽回できる事だろう。
第一、改造された遺伝子異常因子が再散布された場合、除去にどれ位時間が掛かるか判らないから、避難の期間も長期にわたる恐れがあるので、住環境の改善は急務だ。
ちょっと、後ろ向きな考えばかりになってしますが、表立って戦闘に踏み切れない以上、どうしても保守的な方向に舵を切らない訳に行かないから、仕方ないのかな。
第一回UFO戦にしてはショボい?
対UFOの動きが活発化して来ます。
地球人類を滅亡に導く遺伝子異常の原因も明らかになり、更なる対処の検討が必要になる状況で、人類の未来を切り開いていく事が出来るのでしょうか?
宇宙船地球号とは良く言ったものですね。
これからも宜しくお願い致します。




