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第11話 2周目の世界一周開拓記:北アメリカの再開拓(その2)

前話に引き続き北アメリカの再開拓編です。

これまで再開拓を行って来たそれぞれのエリアは、各大陸の中の一地域といった感じでしたが、このアメリカの再開拓では北アメリカ全体が対象になっているので、他のエリアよりも非常に時間が掛かります。

もう少しの間、再開拓にお付き合いください。

 現代のアメリカでいえば北アメリカの北東部に位置するシアトルから始まった再開拓の日々は、時々発生する小さな事故や、何か問題が起きる度に細かく手順や工程の調整を行いながらも順調に進んでいる。

 現地住民の皆さんは以前もそうだったように、本当に粘り強く、自分たちの住む地域にとって良い事である事を理解して作業に従事してくれている。


 そう言えば、以前からマリアと話していた移民の件で、第一陣が中国エリアからやって来る事が決まった。

 初期のアメリカ大陸開拓は、現地住民に合わせて出来るだけモンゴロイド系の人達で行えるように調整を行って来たが、何とか予定通りに実施する事が出来たようだ。

 本来であれば太平洋を船で渡って来る事になるのだが、この時代に太平洋航路などは無いし、そんな長距離を運用できるような船も存在しない。

 もともといる原住民も氷期のベーリング地峡を徒歩で渡って来た猛者たちの末裔であり、元の歴史ではその後にやって来たのはヨーロッパからのバイキングや探検隊、その後の移民たちである。

 そのような航海技術が無い状態で、大西洋よりも広い太平洋を渡ってこいというのは無茶が過ぎるだろう。

 そこで、いつも通りと言っては身も蓋も無いが、転送機の出番となるわけだ。


 中国エリアで統治用アンドロイドの『孔子』、『老子』、『孟子』とマリアによって選抜された3万人の移民団は、中国エリアの各地から転送機を使用して、一旦、時空転移装置へ移動され、各種検査を行った後にアラスカ地域の「マーク・キャンベル」、カナダ地域の「バーナード・モンゴメリ」、北米地域の「ワイラキ」、「ポクマック」、「シャイアン」、「アパッチ」の下へ、5千人ずつ送られていった。

 それまでに各受入エリアでは住居棟の建設や食料等の確保を行い、受け入れ態勢を整えて行き、また移民団も言語や風習などをしっかりと叩き込まれて即戦力になるようにした上で送り出された。

 第二陣以降も計画されているので、住民不足も解消される事だろう。


 話しは戻るが、今の所仮称として使っているルート90の終点となるシアトルの再開拓を15年掛かりで完了させた。

 最初の5年は町周辺の農地の土壌改良を行いながら未来の化学肥料を惜しげも無く使い、農業に適した土地へと変化させる事に費やした。

 出来上がった農地に最初に栽培していくのは麦類に決めていた。

 広大な大地の地平線まで見える範囲がすべて麦畑となり、金色の穂が風に合わせてうねる様が何とも言えず美しい。

 そこから更にジャガイモなどの根菜類や葉物、トウモロコシ等、食料として栄養価の高い物を優先して栽培し、住民の栄養状態の向上を図る事にする。

 これだけ広い土地が有るのだから、栄養状態が良くなれば自然に人口も増えていくだろう。


 食糧事情が有る程度改善されたころ、第一次移民の受け入れが始まり、力を合わせて町の拡張と開拓を行い次々に住居の建設が始まった。

 出来上がった住居は移民してきた人々に入居してもらい、移民者分の住居の建設が完了後に、元からこの地域に住んでいた人分の住居を建設して順に引越しをしてもらう。

 引越しをして空いた古い家は取り壊して土地を空け、そこにまた新しい家を作るといったルーチンで進め、その結果、元の20倍の人口になっても間に合う数の家を建てる事が出来た。

 移民が入って来た事により作業員も十分な数が集まったけれども、建設用のドローンやアンドロイドを投入しても10年単位の期間が掛かったのは、如何にこのエリアの環境の難しい所だと思う。


 もう、元の歴史のようなヨーロッパから大西洋を越えて来る移民による白人支配のような事は起こらないだろう。

 その代り、アジアから移動して来たモンゴロイド系の住民による、黄色人種が主体のアメリカになるかもしれないけれどね。

 その内、世界中のエリア間で移民のやり取りが活発に行われるようになれば、肌の色など何の問題も無いような世界になると思うけれどな。

 いっそ一思いに世界共通言語(エスペラント語)でも普及させてしまおうか。

 言葉の壁が無く、宗教的な拘りがなければ、元の時代であったような争いの原因もかなり無くなるのではないだろうか。

 それに、言語が統一されれば世界中を自由に移動して、好きな所で暮らす事が出来るようになるから、人の移動について問題になるのは、旅費を工面出来るかどうかだけになるかもしれないな。

 現代では日本語以外ほとんど使う事のなかった俺でも、どこに行っても同じ言葉で話が出来るのなら、旅も自由に出来て良いと思ってしまう。


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 シアトルの開拓が終わると、パシフィックハイウェイのルートをなぞるように、南下しながら5年掛かりで道路の建設を行ってサクラメントへとやって来る。続けてロサンゼルス、カーソン・シティと西海岸エリアの開拓を行って行く予定だが、州道を含めて必要な道路なども作りながらになるので、進行状況はかなりゆっくりとしたものになった。

 地主がいない時代、地権などというものは無いし、騒音問題も発生しようが無い。

 作りやすい所を自由に選んで道路を造れるのは良いが、下手に最短距離を行こうとすると、山も谷も力業で突き抜けて、直線100kmなんて道路が出来てしまう。

 遥か将来の安全的にも問題が有るし、無理に直線にする必要も無いので、地形に合わせて適当にカーブを作って単調にならないように気を付けている。

 結構風光明媚な所が有るから、適当にサービスエリア的な所を作って、旅人が野営しやすいようにしてやれば、何れはそこにも町が出来るのではないだろうか。


 さて、一旦、カーソン・シティまでパシフィックハイウェイルートで南下してロサンゼルス、カーソン・シティ―と建設し、その後、中部エリアのボイシ、ラスベガス、フェニックス、アルバカーキ、ビリングス、デンバー、オクラホマ・シティとジグザグに州道を作りながら東に向かっていく事になる。

 それとは別にシアトルから東海岸に向けての開拓もルート90が開通すれば始まるだろう。

 東海岸が遠いな。


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 アメリカ大陸の東海岸からスタートした3本の道路工事は北側のルート90が先行して進められている。

 3ルートとも工事はほぼ同時に開始されたのだが、資機材の投入量を各ルートで意図的に変えており、進捗状況には差が出ていた。

 別に大した理由が有る訳では無いが、マリアと相談した結果、ルート90を先行して完成させたいと考えたからだ。

 何しろ未だに時代的には氷河期が終わったとはいえ、まだ寒冷状態が続いている事から、アメリカ大陸の北側では冬期間が長く厳しい。その為にどうしても工事を行える期間が限られてしまうので、北側のルートを重点的に進めようとしているのだ。

 まず、ルート90に全体の3/5の資器材を投入する事で他ルートより3倍速く工事を進め、残り1/5ずつの資器材を中央のルート80と南側のルート10に使う事で、2ルートについても工事を進めて行こうと考えたわけだ。

 そして、冬季間でルート90の工事が出来ない間は、資機材を他の2ルートに振り分けて工事を行い、冬季が終わるとまたルート90に資器材を戻して工事を進める。

 この調子で工事を行って行くとルート90が完成する頃には、他の2ルートも有る程度工事を進める事が出来るので、ルート90完成後は使っていた資器材をルート80に移動して同じように工事を行って行く。

 そしてルート80が完成したら全資器材をルート10に集中させて一気に完成させる予定だ。


 また、先行してルート90を建設しでボストン~シアトル間を繋ぐ事で、アメリカ北部の移動にかかる時間を短縮し、住民が東へと向かう事が少しでも楽になるようにする。

 こうすれば、西部開拓時代よりも楽に移動する事が出来て、開拓の難易度も下がるだろう。

 元の時代ではアメリカは東海岸から西海岸に向けて西部開拓史を綴っていったが、この世界では真逆になって、東部開拓史となってしまうな。


 中央のルート80や南側のルート10の工事を行いながら、その合間に各ルート間を結ぶ州道を作っていく。

 船を使ってヨーロッパから清教徒たちが移民して来るような状況は起きないだろうから、仕方のない事だと思うが、テレビ放送初期に日本でも人気だった西部劇が出来るような素地は無くなるんだろうと思うと、ちょっと寂しい。

 各ルートの起点と終点には小さいながらも港を作っておいた。

 現状では漁村と言った方が良いと思うが、必ず発展するだろうから、拡張性を持たせて基礎工事を行った。問題は住民がいない事だが、しばらくはアンドロイドに常駐してもらって維持管理を任せよう。


 マリアによる中央からの直接管制で工事が行われており、現場の隅々まで監視されているので、工事上の間違いや損失などは今までほとんど発生していない。

 台風などによる災害も小型気象衛星からのデータにより早期に対策が行われている為、大きな損害が発生する事も無く、工事は想定の範囲で進捗率をキープしている。

 どちらかというと地震の方がいつ発生するか判らないので怖かったりするのだが、北米大陸の中央部などではほとんど地震が発生しないので、ある程度は安心できている。


 都市などの開拓地域は統括アンドロイドの管理で工事が行われているが、道路等のマリアが直接管理している工事も合わせて、工事記録は全てマリアによって行われている。

 その一部は石板に彫り込まれたり木簡に記載されたりして、各エリアの拠点に保管され、何らかの理由により人類としての記録が途切れた場合、後の歴史学者などが発掘して調査を行う事で、少しでも実際の歴史が残るようにと考えたのだ。


 大した事ではないのだが、開拓現場と大陸横断道路建設現場の間を行き来する場合、通常開拓中のコロニー側にある転送機から道路工事側の転送機へと移動し、帰りは逆の手順で戻ってくる。

 この方法は時間が掛からないが、実は時差による混乱が起こるのだ。

 アメリカ大陸の東海岸とハワイ諸島間では約6時間の時差が有るから、東海岸と西海岸の間でも5時間近くの時差がある事になる。

 この間を何度も行き来していると場合によっては昼ごはんが2回になってしまったり、逆に食事の時間を逃してしまう場合も出てくるのだ。

 現地で数時間過ごしていれば時間調整が出来て、体調も調整できるのだが、何かの弾みでとんぼ返りなどしてしまうと、時差の為に睡眠不足に陥る事も有った。

 休みの日に日本に戻ったりした場合は、一旦マリアの許に寄る事になるので、時間をかけて体調を整える事が出来るのだが、こういった拠点間を直接行き来する場合はちょっとしんどい思いをする事になる。

 アンドロイド達には関係ない事で俺限定の問題なのが、対策が後回しになる原因なのだろうな。

 これも今後の課題としてマリアと相談しようかな。


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 通信傍受網を充実させたおかげでUFOが電磁波を用いる形式の通信を行っている事、及び、送っていると思われる方向が判った。

 まあ、電磁波を使用している事が判っただけで、その通信内容の解読までは出来ていない。かなり特殊な電磁波で、地球上ではマリアの時代でも使っていなかった事から、解読にはしばらく時間が必要になると思われる。

 それに通信が送られる方向は解ったが、返信された通信は傍受できていないので、実際にそちらの方向にUFOの母星が有るかどうかはわからない。

 今の状況ではある程度の目安にしかならないだろう。


 これでは、相手の目的も友好的かどうかも判らない。希望的観測に頼るような事も出来ないので、実態が判るまでは何事も起こらない事を祈るしかないようだ。

 あれから更に地球に接近するUFOは増えていて、もう少しで降下を始めそうな雰囲気も感じられる事からちょっと、俺もちょっと焦り始めている。

 地球外生命体とのファーストコンタクトは何としても友好的なでありたいものだが、迎撃システムも考えた方が良いかもしれない。

 地上に影響を及ぼさない事が大前提になるけれどね。

北アメリカ大陸は広い。

この話で完了できると思ったけれど、次話迄引きずってしまいました。

移民の導入で開拓速度も少しずつ早まって来る事でしょう。それでも東海岸を見るのはいつの日になる事か。

人が増えて食糧事情が改善され、住環境も良くなれば後は自然に発展しそうなのですが、そう簡単にはいかないのでしょうね。

早く西海岸から離れて西部開拓史ならぬ東部開拓史を始めたいところです。

次回はアメリカ再開拓編その3と続く事になりますが、もう少しお付き合いください。

それでは、今後も宜しくお願い致します。

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