第10話 2周目の世界一周開拓記:北アメリカの再開拓(その1)
全開の再開拓後はゆっくりと休暇を取りました。
久しぶりに日本でゆっくりとした主人公ですが、
その休暇も終わってアメリカ大陸に上陸します。
前回のアメリカ開拓からどれ位経ったのでしょうね。
また、長い再開拓の日々が始まります。
アラスカ、カナダエリアの再開拓が無事に終わったので、いよいよ北アメリカ中央部の再開拓に掛かれる。
前の北アメリカ開拓には250年掛かったけれど、今回は規模も大きくなるのでもっと時間が掛かると思う。
あの開拓の時から長い年月が経ってしまい、当時を覚えている人が残っているはずもないけれど、きっとあの頑固者の気質は変わっていないだろう。ちょっと楽しみでもある。
因みに、現代ではアメリカ合衆国に50州が所属しているが、その内アラスカとハワイといった謂わば飛び地になっている土地を除くと48州が北アメリカにある事になる。勿論今の段階では影も形も無いがな。
開拓当時はその国土を16州に分割し、開拓が終わった段階でそれを再編して4つのエリアに分けた。
16州の名前は暫定ではあるが、シアトル、サクラメント、ロサンゼルス、ビリングス、ボイシ、カーソン・シティ、ラスベガス、フェニックス、アルバカーキ、デンバー、オクラホマ・シティ、オースティン、アトランタ、セントルイス、コロンバス、シャーロットにして、各州を纏める為のアンドロイドを配置した。
再編後のエリアはカリフォルニアエリア、ワシントンエリア、ニューヨークアリア、フロリダエリアと命名し、それぞれには統括アンドロイドを1体ずつ配置している。
アンドロイドの名前は、カリフォルニアエリアに№11「ワイキキ」、ワシントンエリアに№12「ポトマック」、ニューヨークエリアが№13「シャイアン」とフロリダエリアが№14「アパッチ」だったな。各州のアンドロイドについては割愛させてもらおう。
各州には州名と同じ名前の小都市を州都として築いた。
当時は丸太や岩などで家を作ったのだが、年月が経って大分様変わりして、木と石を組み合わせたような家が多くなっている。それに、どの都市も少しずつ大きくなっているようだ。
開拓完了時は4万人の人口だったが、順調に人口が増えていって、現在は50万人程になっている。それぞれのエリア統括アンドロイドと各州のアンドロイド達が連携する事で、統括するエリアが広いながらもさして問題も無く管理が出来ている。マリアと直接連絡を取り合うのはエリア統括アンドロイドになるが、指示伝達に齟齬は無く、連携も滞りなく行う事ができて良かったと思う。
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それにしても、もう少し人口が増えていれば色々と助かったのだが、大陸の広さに対して人口が少なすぎる。一思いに、古代オリエント地域やエーゲ海地域から移民を募って見ようかな。まあ、あっちも人が余っているほどではないので、少し調整は必要になるのだけれどね。
ともかく、開拓をスムーズに進める為にも、まず東西の移動を活発に行えるように、大陸横断道路を造ってしまおうと思う。
アメリカエリアの北部、中部、南部に平行して3本の国道を作り、そこから各州都に向けて州道を通す。更に州都同士を結ぶ街道を作ってやれば交通の便も良くなると思うんだ。
出来れば大陸横断鉄道なんかも作ってみたいけれど、蒸気機関を教えるのは早すぎるだろう。石炭の採掘や蒸気機関に必要な水の確保の重要になるが、流石にこの時代の人達は運用して行く為のベースになる科学力を持っていないし、蒸気機関から発生する煤煙等による大気汚染が心配だから、まだ進めない事にしようと思う。
縄文時代にSLはやりすぎだよね。
せっかくきれいな空気を吸う事が出来るのに、今の段階でわざわざ汚す事は無いよな。
さて、当初、州都の建設に関しては並行して複数個所で行っていこうと思っていたのだが、よくよく考えると資材と器材を集中活用したほうが確実だし、何より人的資源が限られているので並行作業は難しいと判り(マリアにしっかり注意された)、北のシアトルから順番に進める事にした。
工事の開始に先駆けてワシントンエリアで説明を兼ねた全体的な工程会議を行う事にして、各エリア統括アンドロイドと各州のアンドロイドに集まってもらった。エリア統括アンドロイドにはサポートに女性型アンドロイドを2体ずつ付けているので、28体のアンドロイドが集まると中々見応えが有るな。本格的な工程会議といった感じだ。
この会議を行うにあたって、新しく中央建設工事センターを建設した。その中に作った大会議室で話し合う。作られてから初めての会議だから、新築特有の素材の匂いがするな。勿論壁には大型のモニターが取り付けられていて、マリアも参加している。
改めて、俺から州都を含むいくつかの都市(町?)の建設と、それに平行して国道などの道路の建設を同時進行で行う旨を伝え、詳細についてはマリアから説明を行ってもらう。
都市の建設はエリア統括アンドロイドと各州のアンドロイドが指揮を執り、建設用ドローンとアンドロイドも協力して行うが、主力となる作業力は住民に担ってもらう。やはり、自分たちで住む処は自分たちの手で作って行って欲しい。
道路についてはマリアが全体的な管理を行うが、現場は監督用ヒューマノイドに指揮をとらせて建設用ドローンとアンドロイドだけで工事を行う。
監視衛星からのデータにより道路を通す最適なルートを解析して、いくつかの工区に分割し、地形のデータ等を監督用ヒューマノイドに転送する事で工事の最適化を図り、そのデータに基づいて太平洋側から片側2車線の簡易舗装道路を建設させる。
それぞれの工程調整や資材の調達、運搬等についてはマリアが主体となって行い、俺はその時々で必要になる判断を行いながら、主に都市の建設に集中することにした。
まあ、マリアとアンドロイド達の間で会議を行うと、データ転送によってあっという間に終わってしまうのだが、俺としては何かで話に入りたかったので、時間の無駄かもしれないと思いつつ、こんな形式で会議を行ってもらったわけだ。
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実際に工事が始まれば、後は古代オリエント地域等と同じような感じで開拓が進んでいく事になる。
昼間は俺も頑固者たちに交じって汗を流し、夜になると適当な酒場で騒ぎながら酒を飲んで飯を食い、同じ宿場で眠って、また朝になると作業に出かけるといった、他の再開拓現場でもやっていた事の繰り返しだ。
思いっきり体を動かして、お日様の下で工事を行うのは、とても気持ちが良い。
昔取った杵柄じゃないけれど、やっぱり現場で動いている方が性に合っているようだ。
時々、工事が行われているエリアの統括アンドロイドと話をして、遅れている工程などを確認し、マリアと必要な支援や人員配置について相談しては工程の改善を行って行く。現代でも行ったPDCAの繰り返しだ。
最初の開拓が完了した頃には2000人位だったコロニーが、今では3万人位に増えた所も有って、結構な賑わいを見せるようになっていた。しかし、俺たちが当時作った家も古くなって修理の痕だらけになっているし、それ以後に作られた家は大半が掘っ立て小屋レベルで、すきま風が入るような簡素な家ばかりなので冬はさぞかし寒い事だろう。やっぱり建設技術は覚えきれなかったのだろうか。
周辺には木と岩はいくらでもあるから、あまり労力をかけずに家を建てる事も出来ると思っていたのだが、建設技術が追い付かず、住民が増える方が早くて、住み心地を気にしていられなかったようだ。
まあ、せっかく再開拓を行うのだから、その辺はしっかりと手を加えて、もっと気密性が良い冬でも暖かく暮らせるような家にしてあげよう。
勿論、建築に関する技術もしっかりと覚えてもらい、今後は自分たちの家の維持管理や、新しい住民の家を作る事に生かしてほしいと思っている。
そんな気持ちで次々と改築や建築を行って行くと、昔の様にコロニーの住民たちとも仲良くなって、時々家に呼ばれて寝食を共にする様になった。
相変わらず、懐に入る事ができれば暖かく優しい人々なのは変わっていない。前の開拓の時にも仲良くしてもらえたので、また同じような間柄になれたことが素直に嬉しかった。
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大陸横断道路の工事の方にも2~3カ月毎に顔を出している。
アメリカ大陸の東海岸からスタートした道路工事は3つのルートを設定して順調に進み、交通網を形成していっている。
現代のアメリカに合わせてみると一番北のルートはボストン~シアトルのR90、中央ルートはニューヨーク~サンフランシスコのR80、そして南のルートはジャクソンビル~ロスアンゼルスのR10にほぼ沿うような感じで進めている。
工事に先駆けて、それぞれのルートの起点と終点になる6か所について簡単な基礎工事を行った。まだほとんど人の住んでいない場所だが、曲がりなりにも大陸縦貫道路の両端になる場所だから、それなりの形が欲しいじゃないか。
それに6か所とも海に面している土地なので港湾としても重要な場所になるはずだから、将来を見据えて簡単な港湾施設も作ってある。最低限の維持管理が出来るようにアンドロイドを配置しておくが、いずれ人が集まって発展しくれば、都市として再開拓を行い、港も漁港から初めて拡大して、何れは太平洋航路や大西洋航路も開いていく事が出来るだろう。
何時になるか分からないけれど、遠い未来日本との間にも航路が開設される事だろう。
ペリーの浦賀来航は無いと思うけれどね。
工事についてはマリアから逐一報告されているけれど、大陸横断道路の建設なんていう壮大なプロジェクトはやっぱりじかに見ておきたいじゃないか。記録映像でも残しておけば、その内某国営テレビのプ〇ジェ〇トXなんて放送にも使えるかも知れないし、ぶっちゃけ、ちょっとした好奇心だよ。
移動はコロニー側の開拓現場にある転送機から道路工事側の簡易拠点にある転送機への移動で行えるので時間も掛からないから楽だしね。
そんな訳で何度か行ってみたのだが、あちらの工事現場には人間の作業員が一人もいないので、普通の工事現場で聞こえるような上長が指示を叫ぶ声や作業員同士の話し声などが全く聞こえ無くて、工事中の機械の作動音や障害物を撤去する為の破壊音だけが響く不思議な現場だった。
働いている建設用ドローンやアンドロイド達は統括アンドロイドからのデータの送受信で指示を受けているから話をする必要が無いからね。
見ているとちょっと不気味な感じもするけれど、隅々までコントロールされているから事故が起きる事は滅多に無いし、万一事故が発生しても人的被害が無いので気分的には楽だと思う。
コロニーの開拓現場では小さいながらも何度か事故が起きているから気が抜けないよ。
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マリアからの連絡で、月の裏側に基地のような建造物が発見されたそうだ。
接近して確認する訳にもいかないので詳細は解らないけれど、恐らく飛来してくるUFOの基地と思われる(他には考えられないよな)。仮設的なものか恒久的な物かは判らないようだがね。
UFOの飛来数は増えているので、何れ基地位は作るだろうと思っていたが、月の裏側とは随分とオーソドックスな場所を選んだものだ。
今の所、月面上の構造物しか見えないので地下の規模などは解っていないが、使用目的はある程度推測できるよな。
以前観測した飛来方向から考えられる出発地が、リゲル方面で間違えなければ、860光年も離れているので、太陽系内に基地を設置した方が効率も良いし、いつまでもUFO内部で生活するより快適だろう。
まあ、メンタルが人間と同じようなものだと仮定しての話だが。
姿かたちが違っていても、同じような価値観を持っていれば話をすることは出来ると思うから、メンタル的に似ているようなら歓迎できる。
何時になるか判らないけれど、何れは話をする機会が出来る事だろう。
第一種接近遭遇から第九種接近遭遇まであると聞いた事が有るが、その内のいくつかは平和的な物ではなかったように記憶している。こちらからケンカを売るような真似はしないから、せめて平和的な会話を行ってもらいたいと切実に思う。
今現在、地球上では戦争と言えるものも無いし、他の星の文明から見て特に危険視される要因は無いと。この状況ならば、たとえ銀河連盟のような機関が宇宙に存在しても、地球を排除するような話にはならないと思うし、万一の場合でも先に調査が入ると思うので、無警告でいきなり攻撃されるようなことにはならないと考えている。
今来ているUFOが調査員のW3とかでは無ければ良いな。
マリアの時代でも実際にエンカウントが有ったかどうかは記録にないので、少なくとも公には地球上に飛来して来た事は無いのだろう。個別の目撃情報は結構な数が有るようだが、実際に宇宙人と話をしたと確認されているような事件は無かったはずだ。当然宇宙人相手のインタビューもされていないから、それでは地球に来る目的も判らないよな。
やっぱり広すぎて1話で終わりませんでした。
北アメリカの台地は広大で、道路の建設はルート選定が大変です。
地形も難しい所が多いので力づくで工事を行っている所もありますね。
コロニーの数は多いけれど総人口はそれ程ではから作業員として使える人数も少なくてなかなか工事が進みません。
何はともあれ再開拓には着手する事が出来ました。
住環境は飛躍的に向上するから、これから人口は増えていく事に期待しましょう。
アラスカやカナダとの間で交流が進むことを期待しながら再開拓工事を行っています。
次回もアメリカ再開拓編の続きとなります。
それでは、今後も宜しくお願い致します。




