第7話 2周目の世界一周開拓記:その3
世界2周目のヨーロッパエリアに突入です。
ほとんど人のいないエリアになるので、開拓も大変ですが、現代ではとても発展している所なので、期待値は大きいでしょう。
頑張っていきましょう!!
結構かかったエーゲ海文明地域の開拓もやっと終わり、次は東ヨーロッパ地域の再開発へと続く。
この地域は前回の開拓当時にマリアが予測した人工増加率よりも、人の増え方がかなり少なかったようで、生活圏は全然拡大していない。
しかし、ヨーロッパ全域でただ一つの開拓エリアなので、今後は人口が増える事を期待して、大規模な再開拓を行う事にしたのだ。
このエリアを抑えておけば、エジプトエリアや古代オリエントエリアから極東へ向かう人の流れを監視できるし、反対方向の古代オリエント地域から中央・西ヨーロッパへの人の流入なども確認できる事から、結構重要なポイントとなっているのだ。
東ヨーロッパエリアに建設した都市は『ヴォルグラード』、統治用アンドロイドは№8の「アレクサンドル」を配置していた。
この都市は開拓開始から完成までに20年掛かっており、完成時の人口は20万人まで増えていたが、建設当初から人工が少なかった為に開拓と建設に時間が掛かって大変だった事を覚えている。
特にこのエリアは冬季に気温がかなり低くなる事から、住民を凍死から守る事が最優先事項となり大変だった。
暖房を備えた住居が必要な数だけ出来るまでは、冬になる度に住民を偽ガッチナ宮殿やその周辺にある公共用の建物に避難させた。
当時は宮殿の執務室以外は冬季の避難を考えて、体育館のような大部屋がいくつも作られていて、使う時は現代で災害が発生した時に開設されるような避難所をイメージすると判りやすかもしれないが、避難した住民に出来るだけストレスが掛からないように工夫を凝らし、みんなで協力して、まるで運動部の合宿所を思わせるような日々を送ったりしていた。
出来上がった一般用の住宅は建売住宅のような感じになってしまったが、外壁は石作で断熱効果を強め、ドアや窓もしっかりとした物を付ける事で気密性が高くなった。
石の断熱性により一度暖まれば冷え難いから、冬場の住環境としてはかなり良好だったのではないかと思う。勿論夏場は反対に温まりにくく、内部は結構涼しい家になっていた。
食生活について。
地域的な特性として海から離れた内陸部なので、海産物はテッサロニキ城塞都市からの輸送頼りとなる。川産物も獲る事が出来るが人口を賄うほどの量は取れないので、どうしても地中海産の魚介類は貴重なものだ。
獣肉などは逆に輸出できるほど取れるので、テッサロニキへ送って、代わりに魚介類を送ってもらう、謂わば物々交換だ。
農産物に関しては気候の関係で、麦類が多く作られている。
特に小麦の生産によるパン類の開発が盛んだった。
未来の技術を使っても余り広範囲で気候コントロールを行うのは好ましい事ではないので、主として土壌改良と環境に合う作物の選定、未来の高品質肥料の使用などで、小麦の他にジャガイモ、玉ねぎ、蕎麦、ダイコンやカブ類などの栽培を行って、食生活の向上を行う事にした。
トウモロコシやビートなどを栽培しても良いと思ったが、今回は先の5品目を順番に試していこうと思う。
こうして農作物の栽培を促進し、猟によって取れる獣肉を合わせて栄養面を改善する事で、住民の平均年齢を上げる事に貢献できればと考えている。
その為にも農地の再開拓を行い、耕作面積を必要十分に広げて、この先人口が10倍に増えても対応できるようにしたい。
合わせて、周辺に新しい都市や村を建設して住環境も拡大し、テッサロニキ等からの移住希望者の受入れができるようにもしておきたい。
今回、各地の再開拓で聞こえてきたのだが、結構、エーゲ海文明などから北に移住しようと思っている人たちが多いようなので、その対策を兼ねている訳だ。
いずれはこの地から更に西側に開拓を広げて、ヨーロッパ全体に人が住めるようにしようというのが長期的な目標になる。
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さて、ヴォルグラードは前回の開拓から現在までに、約2倍の40万人程度まで人口が増えているが、都市自体の規模はほとんど変わっていない。
建設当時、将来の人口増加率についてマリアが十分なシミュレーションを行い、算出した数値に基づいて都市全体の規模を決めたのだが、予測したほど人口が増加しなかった事で、結果として余裕のある都市になったという結果オーライな状態で、素直に喜べないのが本音といった所か。
そこで、開拓から現在までの人口増加のデータを基に再計算を行い、500年後の人口の予測数値で、ヴォルグラードを拡張すると共に、周辺の農耕エリアや酪農エリアをその人口が賄えるように広げていく事にした。
今のヴォルグラードは10㎞四方の大きさで、その周辺5㎞程度が農耕エリアと酪農エリアになっている。
再開拓の規模はヴォルグラードを南北50㎞、東西30㎞で1,500㎢の面積まで拡張する。東西方向は東側の城壁はそのままの位置で西側に20㎞広げて東西30㎞になるのだけれどな。
農耕エリアと酪農エリアも都市の外殻に合わせて移動させた上で南北それぞれ50㎞、西側に50㎞広げる。
全体の大きさは南北150㎞、東の城壁を起点に東西80㎞、面積にして12,000㎢だ。
日本の面積が38万㎢位だったから、3,15%といった所か。新潟県か秋田県位の広さだな。うん、結構な広さだ。
今回の再開拓で東側の拡張を行わないのは、ロシア側の土地は今の段階では環境的に開発しても旨味が少ないので、ヨーロッパ側からイギリス側への拡張を重点的に行う事にしたからだ。
この辺はマリアと色々話し合って決めた事だが、予定した人口まで増えない内はロシアから極東方面への開拓は行わない方が良いだろうと判断した事による。
環境的に厳しい地域だし、無理に開拓を行って住民に被害が出るような事にはしたくなかったからね。
開拓には現在のヴォルグラードの住民の他に、エーゲ海文明地域等から移住を希望している人達や出稼ぎ労働者を募って充てる。
前回よりも人を多く使って開拓を行うが、再開拓の範囲が広大なので働ける人は多ければ多いほど良いと思う。
もちろん建設用ドローンとアンドロイドも可能な限りの数を投入し、作業効率を上げると共に、指揮用のヒューマノイドも複数配置して、同時進行で工事を行って行く。
他のエリアでも同じように工事を行って来てが、此処では人口が少ないので、より大掛かりにしていこうと考えている。
幸い、東側には狩りの獲物が多くいるので新鮮な肉の提供に問題は無く、それ以外でもエーゲ海文明エリアからの海産物の供給も得られるので、作業員の食事は十分なものに出来るだろう。
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まず、地図を基にエリアを面積が均等になるように10の工区に分割し、それぞれの工区の責任者にヒューマノイド№1から№10を配置する。
全体で凡そ12,000㎢になるから、1工区は大体1,200㎢、約35㎞四方といった所か。かなりの広さだな。
各工区は更に100個の小工区に分割される。この為、1つの小工区を表すと、例えば第1工区の第1小工区であれば1-01区となる。
各工区には1-01区から1-99区まであり、中央に位置する小工区は1-00区となって、ここに工区を管理する司令部が置かれる。
この司令部に工区を統括するヒューマノイドが区長として1体専属で配置され、各小工区毎に配置された工事担当のアンドロイドに指示を出して工事を進めて行くシステムだ。
小工区の大きさは1.2㎢。約1.1㎞四方位になる。
農耕エリアではこの小工区がそのまま1区画になり、区画ごとに住居を建てて農民が住に農業を営む事になる。
それに対して酪農エリアでは25個の小工区で1区画になり、酪農家の住居と厩舎などが作られる。
全体の工期は概ね30年を予定している。多分、これ位で完了すると思うが、必要が有れば途中で工期の見直しを行う事も考えなくてはならないだろう。
余談だがヒューマノイドやアンドロイド達には特に固有名を付けなかった。
始めは名前を決めようと思ったのだが、色々と指示を出すときに名前が混同しやすく混乱する恐れが有ったので、工事区画の責任者として第1区長、小工区の担当者は101班長といった呼称を使う事にした。
この時代の慣習からヒューマノイド達は10体とも男型にしている。
女が指揮を執ると作業員に舐められてしまい、言う事を聞かないものがどうしても出てくるからだ。
俺としては能力さえあれば男も女も関係ないのだけれどな。
まあ、30年の工期を通して働ける女性はそれ程いないとは思うけれど。
代わりという訳ではないが、ヒューマノイドには副区長として、それぞれ3名ずつの補佐を就け、その補佐の半数以上は女性だ。
補佐はヒューマノイドの仕事を一番近くで見て、工事の指揮や工程の組み立て方などを学んでもらい、時には実際に指揮させることで経験を持たせる。
開拓が終わった小工区から順に、入植が行われるが、その際に必要になってくる営繕作業を自分たちで行ってもらう為で、一応OJTになるのかな?
営繕を行う頃にはヒューマノイドも建設用ドローンやアンドロイドもいないからな。
それに、縄文時代と言っても、今後、女性もどんどん現場に出るようになると思うから、この機会に色々と覚えてもらい、同時に男達にも女性が指揮を執る事に慣れてもらう事にしたんだ。
実際に現場に出て働く女性がどれだけいるかはわからないけれどね。
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そんなこんなで始まった再開拓工事。
まず、アリアが作った精密地図を基に、拡張後の都市外殻部の位置を確定して縄張りを行い、その外側に農耕エリアと酪農エリアを作っていく。
食べる物を先に確保しなければ工事なんてやっていられないからな。
同時作業でヴォルグラードから南北と西方向に複数の街道を整備し、更にそれぞれの街道を繋いで碁盤の目の様な道路を作っていく。
全ての道路は簡易舗装で整備し、雨対策に両側に傾斜を持たせ側溝も完備させた。
基本的に南側と西側が農耕エリアで北側が酪農エリアだ。
南側と西側は道路と畦道と用水路で囲まれた畑が広がり、必要な箇所に橋を架ける。
農地には未来製の肥料なども使い、建設用ドローンの重力制御でかなり深い所まで掘り返して水はけをよくして、作物を育てる事に適した土壌に改良していった。
その後、麦、ジャガイモ、ダイコン、玉ねぎ等の栽培エリアを決めて開拓の終わった所から順次農民を入植させて栽培を始めた。
これで最初から結構な収穫量が期待できるようになる。
北側も開拓を進めると共に、住居と家畜用の厩舎、家畜用の水飲み場や牧場の柵などを作っていく。
人だけではなく家畜も一緒に暮らすので同時進行だ。
完成した所から野生の猪を飼いならしたものや牛の先祖に当る動物、鳥類等をエリア毎に導入して買い始め、希望者の中から酪農家に向いていそうな人を選んで、飼育を任せて行った
農業も酪農もそれぞれ適性が有ると思う。
農業なら天気や気温に作物の成長度合い、害虫や病気の対策を行いながら畑の草取りとか水の管理なんかも動物相手とは別の感覚が有るだろう。
酪農は動物が相手だから24時間勤務時間になる事も有る。繁殖から育成、病気の対策に餌の管理、怪我への注意。放牧して運動をさせたり冬に備えて干し草作り等々。
他にも色々あると思うが、農業も酪農も大変なのは変わらない。
現代でも思っていたが、趣味で園芸をやる事やペットを飼う事なら俺でも出来るが、仕事として農業や酪農を営むのはとても無理だ。そんな根性は俺には無いだろう、農家や酪農家という人々は本当にすごいと常々考えていた。
漁業も同じ様に大変だと思うが、あちらは嵐などでの命の危険が常に付きまとっているので更に大変だと思う。もっともヴォルグラードでは海が無いので漁業の開発はないが。
因みに、俺は船に弱いので釣りでも磯釣りとかが専門で、船釣りはやったことが無い。
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食糧自給の目途が立ったところで、ヴォルグラードの拡張工事が開始された。
拡張後の面積は浜松市と同じ位になる。
農耕エリアや酪農エリアの拡張工事の応援に行っていたヴォルグラード開拓チームを呼び戻して工事に係らせる。
拡張エリア内にあった元々の農耕エリアや酪農エリアの土壌改良を行い、地盤が沈下しないように整備を行って行く。
その後、区画整理を行いながら上下水道を設置して、碁盤の目のように道路を整備した。
政庁を置いた偽ガッチナ宮殿を中心にして、いくつかの支局を設置し、住民がサービスを受ける為の移動時間を最小限に抑えると共に、緊急時の退避場所にもなるように設計、建築を行う。どの支局も地下にかなりの広さの待避所を作っている。
一般的な住居は標準として2種類を用意する。
単身用のアパート型式の住宅と家族用の住宅をそれぞれにある程度の庭を設けて、土地が無駄に空かないように配置計画に従って作るが、防火帯を一定間隔で設けたり、公園を配置することも忘れずに行う。
それぞれの区画をカバーしあえるように現代でいう所の警察署や消防署、病院も配置したり、町内会のような組織を作って集まれるような集会所も作った。
何か所か、噴水を設置した広場も作り、市場を開設する事が出来るようにもした。ベンチなんかも設置して、散歩やデートにも良いかな?
その周りには商店や飲食店などを配置して、買い物も良いし外食にも良い環境にしてやろう。
移動する為の車が欲しくなるな。せめて自転車が欲しい。
都市部の開発を行っている間に、農耕エリアや酪農エリアの開拓が済んだところから作業チームが都市開発の応援に入って、開発のスピードも上がり、さほど工程の遅れも発生しないまま、31年半でヴォルグラードの再開拓が完了した。
天災や戦争が無ければ、この先500年は手を入れなくても大丈夫だろう。
中々良い街が出来たと思う。その内遊びに来ても良いだろう。
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さあ、アメリカ大陸の再開拓を始める前に、休暇だ!
久しぶりに日本に帰って米の飯を食って、のんびりさせてもらおう。
マリアとも対面で話がしたいし、何より日本語で会話がしたい。
日本の再開拓から大分年月が経ったので、江戸の町もさぞかし発展している事だろう。
散策して旨い物を食って日本酒を飲みながら、周りの人達とくだらない事でもしゃべって時間を潰すなんて最高だね。
それから改めてアメリカ大陸に行こう。
東ヨーロッパ地域の再開拓は終了だ。
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マリアから太陽系の外惑星(地球軌道よりも外側を周回している惑星)に探知衛星を送った事を聞いた。
特に飛来してくるUFOが太陽系に侵入してくる方向を重点的に観測できるように配置を行っておいた。
これでより正確に飛行方向が判るだろう。
相手の母星が判ったからと言って、こちらから訪問することは出来ないが、何処から来るか判ればそれだけでも親近感がわいてくると思えた。
現在判っているのは、シリウスの方向から太陽系に侵入して来ているUFOが多い事くらいで、実際に飛来してくる方向を判断することは難しいから、より正確な進入方向を観測出来れば良いと思う。
まあ、彼らも只の観光できている訳でもないと思うが、直接会話を行わない限り本当の目的などは解らないだろうな。
これもマリアに頼んでいる事だが、地球の技術でアダムスキー型宇宙船が出来るか検証を行ってもらっている。
SF的には重力制御や慣性制御、燃料の問題に目的地までの飛行時間に関する問題など、難しい問題が山積みになっているように思うが、マリアが作られた時代ではある程度解決されていたらしい。
もっとも、光速の壁はかなり強固だったようで、タイムマシンのような時間航行装置は作られたけれども、超光速航行技術までは研究段階で、実用化には至らなかったそうだ。
出来る事なら飛来してくるUFOの内部構造などを教えて欲しい物である。
太陽系内の探知網を充実させることで、母星との連絡を傍受できれば使用している言語なども解読できるかもしれないし、通信方法や出力なども判ると、色々なことが判明するだろう。
そうすれば、こちらから信号を送って、意思の疎通を図れるか試す事も出来ると思う。
少なくとも、こちらから攻撃を行うような意図はないので、ぜひ、平和的な会話を行いたいものだ。
UFOに乗っているのが生物か探索機器だけなのか、目的も判らないので推測も出来ません。
相対性理論を克服していないと生物ではかなり厳しい旅でしょうね。
コールドスリープかな?
さて、次はアメリカ大陸です。
話が進まないけれど、こんな感じで進むので、諦めてください。
よろしくお願いいたします。




