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人類改造記:現代のおっさんと未来の人工知能が人類滅亡回避で2人旅  作者: 東風
第1章 突然の拉致からのタイムトラベル
3/50

第3話 好奇心は猫を殺す!

主人公の好奇心がいかんなく発揮されて、どんどん事態は進んでいきます。

残された家族も大変ですね。

いったいどこまで行ってしまうのでしょうか、

第3回アース・スターノベル小説大賞に参加させていただきます。

 こんな所に隙間がある?


 山の中で見つけた洞窟に入り込み、暗闇の中を300mも歩いてたどり着いた最奥の岩壁に、地面から天井まで続いているきれいな直線で描かれた割れ目があった。


自然に出来るような割れ目には見えない、まるで定規を使って1本の線を引いたような一直線の割れ目だ。

 どう考えてもおかしいだろう。

 世界中に存在する洞窟の写真や調査データを確認したわけではないが、こんな割れ目が自然に発生している場所など、聞いたことがない。

 在りうるとしたら、人工物であり、エジプト等にあるピラミッドのような石造物を構成している石材だろうか。


 これは、いよいよ面白くなってきたと期待に胸を膨らませた俺は、その割れ目の回りを徹底的に調べることにした。

 ヘッドライトではちょっと不自由なので、代わりに胸ポケットに挿しておいたペン型ライトを使って、岩肌をじっくりと確認する。

 岩肌は入口から続いている壁と同じ様に表面がつるつるしている。

 そのまま上から右側へと調べていくと右側の壁に手の形に見えるくぼみを見つけた。

 くぼみの在る高さは地面から1.5m位で、割れ目からも1m少し離れている。

 人間の右手を模しているようで、ほぼ大人の手の大きさと同じに見えた。

 もしかしてと思い、試しにそのくぼみに右手を当ててみる。

 くぼみは少しひんやりとした触感で、一瞬プラスチックのような感じを受けたが、次の瞬間、何かが中指の先に刺さったような痛みを感じた。

 慌ててくぼみから手を離し、ライトの明かりで中指の先を確認したが、怪我はしていないようで血も出ていない。

 痛みはすぐに消えたが、訳が判らずじっとしていると、程なく目の前の壁の中からわずかに何かが動くような音が聞こえてきた。


 何が始まるのかと様子をうかがっていると、徐に割れ目とくぼみの間の壁が幅1m位にわたって壁の奥へと動き出したのだ。

 その壁は30cm位動いて一旦止まり、続いて右方向へスライドし始める。

 壁が止まった頃には高さ2.5m、横幅1mの開口部ができあがっていた。

 移動した岩壁の質量は大体比重2.5~2.9として2t前後になるだろうか。それだけの重量物を動かすためには、電動機に減速機や油圧機構とかといったかなり大掛かりな装置が必要になると思う。

 どんな目的で作ったにしても、簡単にできるものではないだろう。


 驚いて見ていると、開口部の先に見える通路の両側の天井付近が奥の方まで光り出す。

 まるで病院の通路に設置されている間接照明のような、目に優しい光が通路を照らし出した。

 その光に照らし出された通路の様子は、壁や天井、床のどれもが岩や土ではなく、普通のビルなどに見られる近代的な材質で出来ているように見える。

 まさか、洞窟の奥にこんな通路があるなんて、思ってもみなかった。

 俺もかなり混乱しているようで、次に頭に浮かんで来たのは、どこかの国の諜報機関か何かが秘密裏に作った基地かもしれないという、昔のヒーロー物かスパイ物で流行ったようなどうでも良い事だった。

 まあ、こんな山の中に基地を作っても、見つかりにくいということ以外メリットはないと思うし、建設の困難を考えると流石にないだろうと思う。一体、何をしようとしているのだろうか。


 通路の中は空調が効いている様で、清浄で快適な温度の空気が循環し、床には塵一つ落ちていない。

 勿論、靴跡なども全く無いので、生活感というか使用感が感じられなかったが、だからといって誰もいないという事はないだろう。

 これだけの施設を作っておいて、放棄してしまうなどもったいないにも程がある。

 照明も生きていて、空調も働いているのだから昔作られて破棄された施設ではないはずだ。普通、破棄する際には動力は切って行くだろう。


 勿論、UFOの類でやってきた宇宙人が作った施設というのも考えにくい。

 自分で見てきたからよくわかるが、どう見てもこの施設は地球人類の体形に合わせて作られている。

 どことも解らないような遥か彼方の宇宙からやってきた生物が、たまたま地球人と同じ体形をしていましたなんて、今時のSFではまずお目にかかれないほどのご都合主義になるだろう。そんな事は確率的にいってほとんどあり得ないと思って良いだろう。

 中学生の頃、TVアニメでSFに類するものを良く見ていたが、敵対するほとんど全ての宇宙人が人類と同じ体型をしていた。

 今になって考えれば、あれは、かなりレアなケースになるのではないだろうか?


閑話休題。


 おそらく、こんな状況に陥ってしまった場合、怖じ気づいて一目散に逃げ出す(君子危うきに近寄らずともいう。)のが一般的で御利口な反応だと思うが、ここでも、好奇心という生まれながらの癖が押さえきれず、逆にせっかくこんな所まで来たのだからと内心で言い訳をしながら、通路の中へと入っていってしまった。


 一見するとツルツルして滑りやすそうに見えた床だが、どんな加工をされているのか、全く滑らないように出来ていた。

 灯された照明は眩しすぎず、一直線に続いている通路が奥のほうまで見通せるので、あまり警戒することなく普通に歩くことが出来る。

 ちょっと不思議なのは、通路の両側に全くドアの類が見られないことで、何のための通路なのか判らないことだ。

 もしかして、俺が入ってきた扉に通じているだけの非常用の通路なのだろうか?

 実際にはドアがあるけれど、見ただけでは判らないように作られているのかもしれないが。


 そんな風に調子に乗って歩き出し、20m程進んだところで何かの気配を感じてふと振り返って驚いた。

 お約束というか、当たり前と言えば当たり前なのだが、入口がいつの間にか閉まっていて、開口部がどこに有ったのかすら判らない。

 慌てて入口が有った所まで戻りその回りを調べるが、洞窟側にあったような手形のくぼみのような物は見当たらず、ノブやその他のスイッチ類も見つけられなかった。


 本来、入った時にすぐ調べておかなければならない事だったが、やはり浮かれていたのだろう。そんな事は全く思いつかなかったのだからどうしようもない。

 要するに閉じ込められたわけである。

 まあ、昔親にも言われたように、ドアは開けっ放しではいけませんということだろうと、自分を変に納得させる。

そして、このままここにいても仕方がないので、奥へと進むことにした。


 通路を先ほど引き返したところまで戻り、さらに30m位進むと右に直角に曲がっている。

 角から目だけ出すように覘いてみると何もないのは今までと同じだったが、15m位先で突き当たりになっているように見えた。

 何かあるのではないかと期待して歩いて行くと、突き当たりの左側にドアらしいものがあった。

 ノブのような物はなく、その代わりにノブのあるはずの場所に銀色のパネルがあり、ここにも右手の形が線で描かれている。

 洞窟の壁にあったくぼみと似たような感じなので、これも同じ仕組みなのだろうと無造作に右手を当てて後悔した。

 また、右手中指の先を刺されたような痛みがあったのだ。

 年のせいにはしたくないが、そんなに時間もたっていないのにすっかり忘れてしまうのだから困ったものである。

 仏頂面で指先を見つめている間に壁が左側に吸い込まれるように開いて、普通のドア位の開口部が出来ていた。


 開口部から中を見ると、中は明るく長辺50m、短辺20mくらいの広さがあり、天井の高さは5m位になっている。

 この開口部は長辺の真ん中辺りにあるようで、首を左右に振るだけで隅々まで見渡すことが出来たが、柱の一本もない本当に体育館の方な殺風景な部屋だった。

 天井全体が光っているような不思議な照明で、通路と同じように眩しくはなかったが、少しこちらの方が明るいようだ。


 開口部から一歩中に踏み込むと、右側の壁がうっすらと光り始める。

 横20m、高さ5mの壁全体で何かを映し出そうとしているようだが、スイッチを入れたばかりのTVのように映像がはっきりしない。

 それでもしばらくすると落ち着いたのか、どこかの風景が映し出された。

 屋外であることははっきりしているが、見たことがない風景で音も聞こえない。

いったい何処を映しているのだろう。


 移されている場所は原生林のようなで、遠くに煙を上げる火山が見える。

 原生林の一角には少し開けた空間があり、そこには何かがあった。

 小さくうごめいているのは人のように見えるのだが、何か違和感があって今ひとつピンと来ない。

 いったい何だろうと見つめてみると、こちらの考えに合わせるように画面がズームアップされた。

 何と、そこに見えたものは竪穴式住居といわれるタイプの建築物で、その周りにいるのは現代人とはとても見えない人類、つまりは原始人(?)だろうか?そんな風に見える。

 何でこんな物が映し出されているのだろうか?

 以前見たことのある映画に似たような物があったと思うが、こんなところで映画鑑賞をしているとは思えない。

 画面が大きいこともあり、ズームアップされた事で、そこに見える人たちの様子がよく判るようになった。

 衣服は麻のような植物繊維を織って作ったと思われる簡単な服をまとっていて、草を編んだような物を足にはいている。

 土器を使っているようで、簡単な竈を作って煮炊きをしている人や、何かを運んでいる人がいる。

 もう少し細かいところをみたいと考えたら、さらにズームアップされて色々と判ってきた。

 肌の色は少し浅黒く、少し彫りが深いように見えるが、おそらく黄色人種系だろう。

 使っている土器は縄のような模様がある。


 自分の少ない記憶をひっくり返して思い出してみるが、このような環境と生活様式は縄文時代辺りではないだろうか?

 歴史や考古学の専門家ではないので自信はないが、竪穴式住居があり土器を使って煮炊きをしているのだから、さほど大きな誤差はないだろうと思う。

 ただ、どうしてそんな時代の映像を見ているのかはさっぱり判らないままだが。

出来れば週1回は更新したいと思いますが・・・。

ゆっくり、のんびり、お付き合いください。

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