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第1話 弓状列島改め日本国の誕生

 3章に入りました。

 世界一周を終わらせて、免疫遺伝子を世界に根付かせる任務は完了しましたが、今度は無事に未来まで残り続けるように見守る必要が有ります。

 相変わらず会話に乏しいお話ですが、おっさんのお仕事に終わりは有りません。

 さあ、2周目に入りましょう。

 南米地域までの免疫遺伝子拡散処置が完了し、一応地球一周が終わったことになる。

 今後は、これまでに回った所が更なる発展をする様にテコ入れを行い、更に開拓と処置から漏れていた地域を開発していく事になるだろう。


 まず、行って来た処置により免疫遺伝子が有効に働いているかを確認する事と、それぞれの地域が健全な発展を遂げているかの確認だ。


 弓状列島は周囲を海に囲まれている。

 謂わば、天然の防壁に周囲を覆われている状態なので、外部からの敵から守られている部分がかなりある。

 更に現在まで一番近い地域である中国地域での開拓、開発などにより、極東地域全体で平和的な発展が行われているので、侵略してくる勢力も無ければ、こちらから攻めていく必要もない。

 大体、海上を軍隊が移動するための手段が、今の所全く無いから安心だという事もある。

 おかげで軍事的に変な方向に進むことは考えなくても良いのだが、逆に言うと国としては外交的な経験が全くなく、外からの文化の流入による柔軟な発展もし難い。

 やはり、生まれた時から隔離状態で外からの刺激が無いと正常な成長は見込めないという事だ。


 逆に、弓状列島以外の地域は平和的な発展を続けているとはいえ、ある程度外からの刺激を受ける事により、一歩間違えるととんでもない道に進み始めたりする。

 国境が陸続きで複数の国と接していると、常に他者の侵略といった事を考えないといけなくなるからだ。

 これは、歴史上いくらでも例がある事で、ユーラシア大陸でもアフリカ大陸でも同じようなものだろう。

 俺が地域の発展に介入していて、他地域との紛争が起こらないように気を使っていても、それとは別に国の為政者は外敵からいかに防衛するかといった事を考え続けなければならないわけだが、それが高じると殺られる前に殺れという殺伐とした考えに至る事は、割と良くある発想なのかもしれない。

 まあ、弓状列島のような狭い島国の中でも、古代から明治維新に至るまで争いの無い時代は殆ど無かったのだから、人類の闘争心という物は救いようが無いのかもしれないな。

誰かが、人は二人いれば喧嘩する生き物だと言っていたが、正しいけれども悲しい真実であるだろう。


*********************************************************


 別の問題としては、この前マリアから報告を受けた事で、地球外からの訪問者についてだ。

 所謂UFOと言った物が最近になって頻繁に飛来している事が監視衛星からの報告で分かったらしい。

 何処から来ているのかは分からないが、彼らは衛星軌道から地球上の観測を行って帰っていくようで、今の所地上への侵入は行っていないようだ。

 場合によっては宇宙からに侵略といった事も考慮しなければならなくなってきたので、少し面倒くさいなと思ってしまった。


 この件は、マリアに継続して監視する様にお願いして、万一に備えて防衛方法の検討も行うように依頼した。


 平和的な来訪だとしても、互いの思惑が合わないと、どんな悲劇が生まれるか分からないから、慎重に対処する必要が有るだろう。


*********************************************************


 さて、弓状列島内の人口は順調に増加しており、既に600万人を超えているとマリアからは聞いていた。

 免疫遺伝子の拡散状況は98%を維持しているため、再度拡散させる必要は今の所ない。

 そろそろ日本国として統一して、中央政権に邪馬台国を据えようと思ってマリアと相談した。

 そして相談の結果、基本的に以下を実施する事にした。


 1.各地域の国単位で、世襲により国首を継がせていたが、邪馬台国国首を最高権力者として、その他の国は郡制に変更し、各国首は郡を収める知事とする。

 2.郡を統治する議会を設立し、議員数は20名。議員は自薦、他薦を問わず選挙により選出する。知事は議員の中から選挙により決める。議員の任期は2年とし、知事も同じ周期で再選する。

 3.他郡との交流が始まる事で、対外的な交渉も多くなるから、業務に習熟するまでの間、サポートに汎用型アンドロイドを製造して投入する。

 4.邪馬台国と各郡の間に街道を整備する。街道整備は俺が主体となって建設用ドローンとアンドロイドを使用して行うが、状況によって各郡からも作業員を招集する。

 5.各郡内の道路は郡毎に整備する。地形等により困難が予想される場合は、郡→邪馬台国→俺のルートで上申し、建設用ドローンやアンドロイドの派遣を行う。

 6.道路の整備により、人流と物流を活発化させて、日本国内の経済を発展させる。

 7.世界各地から色々な農作物を輸入して、土地に合ったものが有れば国内産が出来るように指導して、農業をさらに発展させる。

 8.地域ごとに発達してきた産業や、作って来た土器等を各郡に運び物産展を開催し、互いの競争心や購買意欲を刺激する。


 大体、こんな事を決めたので、初めての事になるが、各国首を一堂に集めて顔合わせを兼ねた伝達式を行う事にした。


*********************************************************


 この日、各国から軽い催眠状態にした9人の国首を、転送機を使って時空転移装置内のいつもの広い部屋に集めた。催眠状態にしたのは転送方法などを知られないようにするためだ。

全員が集まると催眠状態を解除する。

 一様に驚いて周りを見回している国首達を、マリアに大きなテーブルと人数分の椅子を用意してもらって全員を座らせた。

 国首達は、自分たちがいる場所が判らず、見た事の無い部屋の様子にざわついていたが、俺が手をたたいて注目を促すと、俺に気付いてやっと静かになった。

 そこで、マリアに頼んで壁のスクリーンに日本地図を表示してもらう。

 突然壁に現れた、見た事も無い絵を見て国首達はさらに驚いたが、陸奥国のホムラが、


「ヤマト様ですか?これはいったい何ですか?それにこの部屋はいったいどこなのですか?なぜ、此処に連れてこられたのでしょうか?」


 と、立て続けに質問してきた。


 壁の絵はこの時代の日本列島を表した地図であり、そこには郡制になった場合の区割りが表示されている。今日は、それを基に今後の日本国の予定を説明していく予定だ。


「ホムラよ、まあ待て。」


 そう言って、ホムラを一旦座らせる。改めて、国首達を見渡してから、


「神の使いである私ヤマトが、国首であるお前達に、神からの啓示を伝える。」


 そう告げると、国首達が慌てて椅子から立ち上がり、深々とお辞儀をした。


「礼は良い。頭を上げ、椅子に座るように。」


 国首達が着席するのを待って話を続ける。同時に国首達の前に湯飲み茶わんと菓子盆がせり上がってくる。湯飲みの中身は緑茶で菓子盆の中は煎餅だ。


「気楽に飲みながら聞いてもらおうか。一緒に出したのは煎餅という米の加工品だ。遠慮なく食べてくれ。

 さて、私が神の命によりこの地に遣わされ、お前達に発展を齎す為に各地域で国作りを始めてから700年余りがたった。

 それぞれの国が出来た段階で、俺は他の地域へと移ってしまって、その後は時々しか顔を出していないから、俺の顔を忘れてしまった者もいるかもしれない。これを機会にもう一度よく覚えておいてくれ。」


 催眠状態から覚めても神の使いの前では何と言って良いのか分からないのだろう。緊張からか反応が余りないのだが、気にせず続けよう。


「お前達の先祖から行って来た努力によって、国も大きくなり人も増えた。神は天からこれをご覧になりとても喜んでおられる。

 そこで、褒美に与えると仰せだ。この度の褒美は、私をもう一度お前達の下に遣わし、お前達を導いて更に大きく繁栄させる事になる。

 繁栄させる為に、お前達の国を全て合わせて一つの国家とする。これにより一つの民族として互いの力を合わせ、それぞれの地域の更なる発展を促すとともに、何時か行われるであろう、海の向こうにある国の交易が対等に出来る力を与えるというものになる。

 統合された国家の名前は“日本国”とする。」


「そう致しますと、私ども国首は如何なりますのでしょうか?」


 恐る恐るといった感じで邪馬台国国首のサルタヒコが発言する。


「安心せよ。お前達の事もこれから話す。」


「ははっ!申し訳ございませんでした。」


「良い。気になる事が有れば、発言せよ。それではこの絵を見て貰おうか。」


 そう言うと、俺は壁に映し出されている日本国の地図を指示した。


「この壁に映されているのが“日本国”全体を表した絵だ。700年前、お前達の国を作る時に、それぞれの地の長にはこの“日本国”を含めた世界の地図を見せていたが、この地図はお前達が初めて見るものだろう。

 この様に“日本国”は北の一部と南の一部が大陸と陸続きになってはいるが、それ以外を海で囲まれている。それにな、今は大陸と繋がってはいるが、やがて繋がった所は海に消え、完全な島国となるのだ。

 この海の向こうには沢山の国が有る。そこに住む人々はお前達とは容姿も言葉も違うが、話が出来ればわかりあえる同じ人である。後程、お前達にこの度の褒美とは別に、土産として地球儀という物を下賜することになるが、そこにはこの“日本国”だけではなくあらゆる国が描かれている。持ち帰りじっくりと見るがよいだろう。」


「有難うございます。私どもがこのような島に住んでいるとは全く知りませんでした。頂いた地球儀という物も大切に致します。」


 やっと一言言ったのは渡島国国首のホロカだった。かなり緊張しているようだが、何とか御礼の一言でも言わないといけないような気がしたのだろう。

 その一言には軽く頷いて答えとしておき、話を続けた。


「“日本国”の首都はこの島国の概ね中央に位置する邪馬台国に設ける。

 これから先、長い時間をかけてゆっくりと気候は暖かくなる。それに合わせて海が陸に上がってくるだろう。その為、あまり海の近くに町を作る事が出来なかったので、各国も丘や高台に作って来たという経緯がある。此処で設ける首都も内陸の高台に作る事になるが、あくまでも暫定的な物となる“日本国”の首都として邪馬台国の北東部に“江戸”を建設する。

 暫定的と言ってもおそらく5千年程度使う事になる首都だ。俺は結構大きくなると考えているがな。

5千年先には、また気候が寒くなって、それに伴い海が沖に戻っていき、“江戸”よりも南に広大な平野が生まれる。その時はもっと南に新しい首都を建設するからそのつもりで置くように。

 その他の国は“郡”と改称し、お前達をそれぞれの“郡”を統治する知事とする。“郡”の行政府は各地方の行政を司ると共に、各郡間の繋がりを強化して、互いの良い所を学んで己の力と為し、力を合わせ、また時には競争して“郡”を発展させよ。」


 その後、壁の日本地図を使って細かい説明に入っていく。


「今、壁の絵で緑色に光っている部分が陸奥国である。陸奥国はこの絵赤い線の所まで広げ“東北郡”と改称し、郡の行政府は陸奥国三内に設置する。」


 地図上の青森県の部分が緑色に表示され、それが現代の福島県の南端県境に引かれた赤い線まで拡大される。同時に青森県三内に赤い点が表示された。

 参加者が確認するのを待って、一旦表示の輝度を下げる。


「次は長岡国だが絵の中では黄色の部分になる。この国は紫色の線まで拡張し、“上越郡”と改称する。郡府は長岡国長岡に設置する。」


 “東北郡”と同様に色を付けて表示して確認させる。

 この様に目で確実にわかるように表示すると、理解しやすくなる。また、実際に自分たちが治めなければならない領域がどれくらい大きくなるかも解りやすいだろう。


「どんどん行くぞ。大和国は白い部分が黄色の線まで拡張し、“近畿郡”と改称、郡府は大和国大津に設置、出雲国は茶色の部分を青い線まで拡張して、名称はそのまま“出雲郡”として、郡府は出雲国出雲に設置する。」


 話しながら見てみると、国首達はみんな驚いて声も出ない様子だった。やはり領地が大きくなりすぎて理解が追い付かないのだろうか。ともかく、最後まで伝えきってしまおう。


「伊予国は水色で黒い線まで拡張し、“瀬戸内郡”と改称、郡府は伊予国新居浜に設置する。豊前国は橙色で紺色の線まで拡張。“博多郡”と改称し郡府は豊前国大宰府に置く。隼人国は桃色で白い線まで拡張し“熊本郡”に改称、郡府は隼人国人吉に設置する。渡島国は灰色で表示されているが、北側の黒い線まで拡張して“南蝦夷郡”と改称する。郡府は渡島国函館に置く。そして最後になったが邪馬台国は色が着いていない部分で北は東北郡、西は上越郡に接する所まで拡張し、“関東郡”と改称する。郡府は日本国の暫定首都となるが邪馬台国秩父に設置する。」


 よし、最後まで一気に説明する事が出来たぞ。

 まあ、全部を覚えることは出来ないと思うから、後で資料を渡す必要が有るだろうな。


「ここまでが、各国の拡張とそれに伴い改名、行政府となる郡府の設置場所になる。無理に覚えなくても良いぞ。後で資料を渡すから、それを持って帰って確認する様に。」


 そう言うと、あからさまにほっとした雰囲気が出された。心配になるのは良く判る。この時代ではメモも取れないからな。


「次の話になるが、各郡間の往来を活発にする為に街道を整備する。街道はそれぞれの“群”間に最低1本、出来れば2本以上整備し、途中概ね歩いて1日の距離毎に宿場町を建設して、行き来する人々の寝泊まりが出来るようにする。街道のルートと宿場町の位置については太い白線で表示された場所を考えている。」


 そう言うと、地図上に郡同士をつなぐ白の太線が表示され、その線の途中に白丸で宿場町の位置が示される。


「街道と宿場町を整備する際は、必要な資金、資材、道具については私が神から頂いて賄うものとする。基本的には俺が神の力を用いて工事を行うが、場合によっては、それぞれの郡から人夫を選出する様に命じる事も有るが、その場合も充分な物資を用意するので、お前達の生活面での心配は必要ないと伝えておく。

 それとは別に、“群”内の町を繋ぐ道はそれぞれの“群”で整備を行う事。領域が広がって開拓が進むと、住民も広範囲に移動して住むようになる。その住民間でも活発に交流が出来るように、十分気を配れ。道を整備するときに問題が発生した時は、知事は首都の知事を通して俺に上申しろ。俺が調査を行い、必要な措置を講ずることにする。」


 国首達も、自分の損にはならないからか、今のところ落ち着いて話を聞いているようだ。


「次に漁村についてだ。各漁村に、それぞれ2隻ずつの新しい船を授ける。この新しい船の建造方法も教えるので、しっかりと覚えて自分たちで建造できるようにせよ。また、新しい漁網と漁の方法を伝授する。漁獲量が増えることを期待する。

 ああ、船については自分たちで好きなように改造しても良いぞ。そこから更に新しい船を作り出す事も出来るかもしれない。いろいろ工夫して頑張って見ろ。

 農村については、現在作付けを行っている稲よりも気候や虫に強く、収穫も多い品種を授ける。また、麦、そば、根菜類、葉物、その他果実についても新しい種類を授けるので、良く考えて自分達の土地に適した作物を選択して栽培を行うように。こちらも漁村同様、作物の品種を改良するなど、好きなように試してみろ。」


 こんな風に、第一回国首合同伝達式は進んでいった。

 久しぶりに会話多めの回でした。

 日本を纏めて一つの国にしていきます。

 こんな時代から邪馬台国や江戸が出来たら、歴史学者も頭を抱えるでしょうね。

 しかし、この世界ではこれが正史です。無視して突き進みましょう。

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