第12話 メキシコからパナマを渡って南米大陸に上陸!
北米大陸の開拓と措置に約280年掛かって弓状列島の開拓から約510年が経過しました。
もう半世紀が過ぎた事になるんですね。見た目は全く変わらないけれど。
現代から数えると、俺の年齢は580歳といったところかな。
遡って来た1万1千年という時に比べると、本当に微々たるものなんだけれど、5世紀って人の一生としては長いですよね。
いよいよ中米、メキシコエリアに入った。
「マリア。この辺りはアステカ文明のエリアかな?」
『そうですね。この先の一帯、パナマ地峡に掛けて、アステカ、マヤ、テオティワカンといった文明が興ったエリアとなります。』
「それじゃあ、それぞれの遺跡をモデルにして拠点や都市を作っても、それほど目立たないってことだよな。」
『この時代にそんな都市が出来ていたら、目立たない訳がないとは思いますが、言っても無駄でしょうね。』
その通り。それぞれの遺跡をモデルにして、思いっきり開拓と町作りを行うとしよう。
太陽のピラミッドや月のピラミッド、ティカルやウシュマルの遺跡等を基にして、より規模の大きなものを各エリアに作り上げるんだ。
勿論十分な強度を持たせて、後の世界まで完全な形で残るようにしないとね。
まず、監視用ドローンを使ってメキシコの北西側から侵入する。
そのままメキシコ高地を南下しながら、周辺のコロニーの位置を確認し、それぞれのコロニーから大体均等になるように中心地を割り出していく。
そうして、最初に見つけた拠点はメキシコ北部、後にチワワという地名になる場所にある小高い丘の上だった。
それ程高度は無いが南東から北西にかけての見晴らしが良く、麓の周辺には平野が広がっていて森に覆われている。川もあって水場も確保できそうなので、農地の耕作も可能な事から食糧生産にも向いており、都市を作るにはうってつけだ。
拠点の場所を決めたら、後ろ側の山から石材を切り出して運び、マヤ風のピラミッドを築くことにした。
まず、建築用ドローンを使い、重力制御とレーザーで丘の上を300m四方にわたって水平に均して基礎部を整地する。その後、基礎部の中央を50m四方、深さ50mまで掘削し、建築用アンドロイドも手伝って防水、防塵処置を施してから、統治用コンピューターとメンテナンススペース、蓄電池システムの設置場所を作る。各設備の設置が終わったら、天井部分をしっかりと塞いでから基礎部を復元した。
その上に、石切り場で50cm角に成形した石材を運んで、隙間なく並べて敷き詰めた。
ピラミッド部分を構成する石材は4m角で、各面の接合部分に対称パターンで凹凸部を作り、積み上げた時に横ずれしないようにした。
更に、各接合面に未来技術を用いた超強力接着剤を塗布したので、理論上震度7の地震が起きても崩れる心配はない。
ピラミッドの表面に部分は、石材に偽装された太陽光発電システムを設置した、上に透明な保護コートを施し、紫外線や温度変化等による経年劣化を防止し、20㎜機関砲弾の直撃にも耐えられる強度を与えてある。
まあ、ハリケーンや地震などの自然災害位ではびくともしないだろう。
『これで、目立たないように作ったのですか?』
マリアは呆れてそう言うが、壊れやすいよりも壊れにくい方が良いだろう?
仕上に、南に面した側に登攀用の石段を設けて、最上部の入口まで上がれるようにし、入口から入った部屋が神殿風に作った転送室になっている。
建築用ドローンによる重力制御とレーザー、建築用アンドロイドの繊細な組み立て技術が有るから、重い石材でも組立てる事が出来たけれど、人力ではとても出来るような工事ではないな。
昔から歴史解明のドキュメンタリー番組なんかを見ていたが、エジプトのピラミッドにしてもあれだけの石材をどうやって運搬し、ピラミッドとして積み上げる事が出来たのか疑問に思ったものだ。
自分で実際にやって見て、いかに大変な事か良く判った。これでは、作ったのは宇宙人だったという説があるのも思わず納得してしまいそうだよ。
土台の整地工事から上部構造物の組立まで、建築用ドローンやアンドロイドを動員して、3か月で作り上げたけど、後の考古学者がこのピラミッドを見たらなんと言うのだろうか。
せいぜい悩んでもらおう。
拠点のピラミッドが出来てから、周辺のコロニーに散らばっている住民を誘導して拠点の周りに集め、町の建設を行わせる。
拠点の大きさは底辺が200m四方、高さは70mあり、町は拠点を北東端に置いて、南西側に向かって概ね10km四方の範囲で作る。
周囲は弓状列島と同じ丸太の柵で囲う事にした。入口は拠点が有る北東側を除く3方向に作り、柵の外側10mは深さ4mの空堀になっている。
町の建設場所は森が覆っているので、工事は伐採から始まり、建築用ドローンが夜の間に切株を除去して整地しやすいようにする。町はずれに仮の集落を作って工事中に寝泊まりする所を確保してやり、まず、町の中の道路の整備から行っていった。
この時、水源の川から上水を引き込んで水道網を構築し、別のルートで下水道網を構築する。
上下水道を構築した上に道路を整備して行くが、道路脇の側溝といったものは無く、雨水は5mおきに作った雨水口から直接下水道に流入する様になる。
町の中に作る家屋は基本的には石造りだが、一部は木材で作られている。出来上がった道路に沿って同一規格で建設を行ったが、気分は昭和の建売住宅といった感じだ。家の向きやドアや窓の色で区別するしかないので、きっと間違う人がいるんだろうな。後は住民が工夫してください。
各家に上下水道を完備したし、風通しも考えて快適な生活が出来るように作り上げました。
今回は、半径300km圏内の住民を集めたけれど、最初は6千人程集まり、町の完成には15年掛かって、最終的には2万3千人の人口になった。
処置が完了するのに更に2年掛かり、統治用アンドロイド№15。「カクチケル」を配置して、法整備と食糧の自給体制の指導を行わせた。最終的に自治体制確立するまでに拠点作りから20年掛かった。
因みに、都市名は『ワステカ』とした。
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次に開拓に掛かったのは、『ワステカ』から南東に600kmほど離れた、後のメキシコシティだ。
この近郊にはテオティワカン遺跡が有った事から、同じ場所に『太陽のピラミッド』を模した拠点を作ろうと思う。
まあ、『ワステカ』に作ったピラミッドと外見は大して違いが無いのだけれど、本物の『太陽のピラミッド』と位置や方角を合わせて、外見をそっくりにすれば、マヤ風の『ワステカ』のピラミッドとは違ったものになるのではないかと期待している。
基礎の整地は400m四方とし、基礎の地下には『ワンテカ』と同様に統治用コンピューター他のシステムを設置し、上部のピラミッドの底辺は300m四方で、高さは90mの5段構造となり、頂部に神殿風の転送室が作られている。正面には基部から神殿までの登攀用階段を設け、階段の前には広場を作り、そこから一直線に幅50mの大通りを作った。
住居などはこの大通りを挟んで作っていく事になる。
本家の『テオティワカン』と同じように、大通りを含めて都市のほぼ全体が太陽のピラミッドの方位と同じく、東西南北に対して15.25度時計回りに回転した方位となるよう建設した。この傾きにより、8月13日と4月30日の日没が太陽のピラミッドの正面、また、2月11日と8月29日の日の出が太陽のピラミッドの真後ろにくるように考えている。
昔の人はよくこんなに正確な方位で建設出来たものだなと感心した。
『太陽のピラミッド』建設に半年をかけ、大通りまで出来てから、周辺コロニーの住民の誘導を開始した。
今回も半径300km圏内の住民を集め、最初の人口は8千人になり、都市の完成には20年掛かって、最終的には5万1千人の人口になった。
処置が完了するのに更に4年掛かり、統治用アンドロイドは№16で「ケフ・ペチュ」が統治体制と食糧自給の指導を行い、全ての体制が整うまでに拠点作りから28年掛かった。
都市名はそのまま『テオティワカン』とした。
気が向いたら「月のピラミッド」とかも作ってみようかなと思っている。
本当は、もう少しメキシコエリアで拠点を作ろうと思っていたが、大まかなところは『ワステカ』と『テオティワカン』の2か所でカバーできたので、後は数か所のコロニーの整備を行ってメキシコエリアは終了とし、さらに南下していく事にする。
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パナマ地峡に向けてグアテマラに入ってきた。
この地域ではティカルのピラミッドが有名だから、同じところに同規模の物を建設する事にする。位置はユカタン半島の根本でややベリーズ寄りか。
東西の土地幅が狭くなってくるにつれて、地域住民もある程度まとまって暮らすようになってくるが、元々大して人の数が多くないので、やっぱり一纏めにして管理したほうがやりやすいようだ。素直で温厚な人たちだから大変助かります。
拠点はティカルの1号神殿を模して作る。高さは60m、基部は50m四方と本物よりやや大きくした。
『太陽のピラミッド』と同様に頂部に神殿風の転送室を作ったが、気が向いたので転送室の下に俺が寝泊まりできる部屋も作った。完璧にカモフラージュしてあるので、超音波探査やX線探査等を行っても発見することは出来ないだろう。
ちょっとした遊び心だが、こんな秘密基地が有っても良いのではと思ったんだよな。
その他の基本的な配置や構造は『太陽のピラミッド』と同じだが、外観は1号神殿となっているので、後に2号神殿以降が作られても、違和感はないだろう。
少し土地の強度に不安が有ったが、建設用ドローンによる重力制御で無理やり地面を圧縮するという力業で基礎工事を行い、石材を積み上げていった。周囲の密林は半径100mを根元から伐採し、積み上げて乾燥させておく。家や家具の製造に役立ってくれるだろう。
ついでに、神殿前には広場を作り、大通りも石畳で舗装して直線100mで作っておく。
ここには、近くに上水として使える水源が無かったので、ペテン・イツア湖に取水塔を建て、水道橋を町まで伸ばして上水道を整備した。取水塔の動力は風車にしておいたが、非常時には屋根のソーラーシステムと地下室に隠蔽したポンプを使って取水する事も出来るようにしてある。ハリケーンなんかが来れば風車は使えなくなるからな。
下水道も完備して、下水処理システムも町から少し離れた所に建設し、排水はさらに南に離れた所に人口の湖を作って、そこに流れ込むようにした。
ニカラグアの中央辺りにも、一か所町を作ったが、外観を少し変えてあるだけで、ティカルと同じ規模と構造で建設した。
グアテマラとニカラグアの町を作ってそれぞれに住民を集めたが、グアテマラは初期人口2000人で住居棟の建設に5年掛かり、最終的に6000人の人口になった。処置には更に半年掛かり、行政棟の体制が整うまでに開拓初めから10年掛かった。
都市の規模は2km四方。名前は『ティカル』として、統治用アンドロイド№17.「マンコ・カパック」に指導を任せた。
ニカラグアの方は初期人口が1500人とグアテマラよりも少なく、建設は6年掛けることになったが、最終的な人口は5500人と、あまり差は着かなかった。処置も同じような期間で完了したが、体制を整えるのに時間が掛かった為、全工期は12年となった。
都市の規模は『ティカル』と同じ2km四方で、名前は『バレンケ』で、統治用アンドロイド№18の「パチャクテク」に統治を任せた。
両方合わせて22年で完了だ。案外早かったな。
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中米地域もいよいよパナマ地峡に差し掛かる。コスタリカからパナマにかけてはカナダやアラスカ同様、小さなコロニーが点在している状況だったので、一か所の都市に纏めようと思ったが、丁度良さそうな場所が剪定できなかったので、それぞれのコロニーの中間地点に小規模な避難用の町を建設し、後はコロニーの整備を行う事にした。
まあ、やる事はアラスカ等と同じなのだが、環境的に寒冷地と熱帯地の違いが有り、住居も熱帯仕様にしないとならない。雨が多いし気温も高いしで、風通しに注意して、その上ハリケーンにも対応できる住居が必要になる。
避難用の町の一か所に拠点を定めて、石造りの集会場を作り、そこの一室を転送室にして、行き来が目立たないようにした。勿論、地下には統治用コンピューターと各システムを設置してあり、転送機室の奥には俺専用の隠し部屋も作ってある。
周辺には20個程のコロニーが有り、人口は600人程度しかいないが、避難用の町は2か所建設した。位置はサンホセ近郊に一か所とパナマ地峡の中間部に一か所とし、拠点はパナマ地峡側に作った。
コロニーの住居は粗い石造りだったので、建築用ドローンとアンドロイドを駆使して基礎部分から手直しを行い、その上に30cm角の石材を隙間なくしっかりと積み上げて作り直してやった。
窓や入口は強化した木材で製作し、窓には強化ガラスをはめ込んで、外側に鎧戸を取付けたので、ハリケーンでも壊される事は無いだろう。
避難用の町2か所は2か月で出来上がったけれど、各コロニーの手入れは石材の調達に時間が掛かったので2年近く掛かってしまった。近くに丁度いい石材を算出する場所が無かったので、コロンビアの山奥から切り出して運搬してきたから、少し時間が掛かってしまったんだ。
処置が終わる頃には3年近く掛かり、人口は2000人を超えたが、まだまだ発展途上も良い所だろう。
避難用の町の内、拠点用にした町は『メンドサ』と名付けて、統治用アンドロイド№19.「カルロス」を配置し、各コロニーの監視や指導を任せた。
中米での活動は足掛け75年掛かりました。
その間は弓状列島の時と同様に、今まで廻って来た中国文明地域から北アメリカ地域を行き来して、免疫遺伝子の拡散状況を確認していく共に、各種の予防接種も行って伝染病の予防を行いました。
マリアの統制の下、各地の統治用コンピューターとアンドロイドの力を合わせて不慮の事故が起きる確率を減らして、各地域の発展を見守ってきたわけです。
それぞれの地域では順調に人口も増えて、それに伴って免疫遺伝子の拡散と定着が進み、世界全体の免疫遺伝子保有者が確実に増えてきました。
順調です。
もうしばらく完全拡散には時間が掛かりそうだが、そちらはゆっくり進めるとして、今は南米大陸の開拓に掛かるとしよう。




