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人類改造記:現代のおっさんと未来の人工知能が人類滅亡回避で2人旅  作者: 東風
第2章 縄文時代でミッション開始
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第3話 集落から村へのクラスアップ②

開拓・開墾2日目

社周りの工事は長老に任せて、柵作りの方へと行きます。

スコップは呼び方が地域で変わるので、適当に流してください。

 この時代に到着してから2日目。

 昨日、長老と話した通り、今日から邪魔な木の伐採と村周りの柵作りを行う予定だ。


「伐採や柵作りに必要な道具はどうやって用意するんだ?」


 起床してベッドを片付けて顔を洗ってからマリアに尋ねる。


『今回の分につきましては、搭載してある資材を使用して作成しました。余り性能が良すぎても使い切れないでしょうから、あなたの時代で使っていたものを参考にしていますよ。

 それから現在周辺の地質調査を行っています。鉄鉱石等の鉱床を見つけ次第、随時掘出して不足分の制作や損傷した分の補修等を行っていくつもりです。幸い、柄などに使用する木は周りにいくらでもありますから、金属部分さえできれば道具も作り放題ですよ。』


「山師も出来るのか?やっぱり超音波探査とかで見つけるのかい?その上、精錬施設や鍛冶場まであるんだな。ずっと前から興味が有ったんだけど、その内、刀なんか作らせてくれよ。」


『そういった趣味を持つことは良い事だと思いますよ。やり方も教えますから、ぜひやってみてください。鉱床の探査は実際に採掘されていた場所の記録が有りますから、位置を割り出して、ピンポイントで超音波地中探査を行います。』


「なるほど。未来から見ればどこに鉱床が有るのか丸解りだものな。絶対外れない山師だ。ついでに井戸の場所も特定しておいてくれると助かるよ。」


 その後、朝食を取り、一休みしたら転送機室から社の転送室に送ってもらった。

 道具類や食料品類は俺が転送される前に集落に直接送っておいてもらったので、俺が集落に着く頃にはあっちも準備が出来ているだろう。


 一瞬で社に着いた俺は、再度装備を確認した後、集落に向かって出発した。


*********************************************************


 俺がのんびり歩いて集落に着くとミナキが入口で待っていた。


「お早うございます。ヤマト様。本日もよろしくお願いします。」


「お早う。道具と食べ物は届いているな?」


「はい。先ほど届きました。突然目の前に現れたのでビックリしました。」


「そうか。食べ物は女達でうまく配分させよ。道具は男達で分担して、それぞれの作業に持っていくからな。」


「はい。そのように指示いたします。」


 そんな事をミナキと話しながら長老の家に向かう。

 長老の家に行くと、長老も家の前で待っていた。


「お待ちしておりました。ヤマト様。お早うございます。」


「うむ。お早う。今日からそれぞれ頑張ってもらうぞ。」


「はい。宜しくお願い致します。」


「柵作りと食べ物の炊き出しを行う者達は決まっているか?」


「はい。既に決まっております。それぞれ準備が出来ておりますので、何時でも出発できます。」


「良し。今日は俺も柵作りの方に行くから、社周りの伐採は長老に任せる。送っておいた道具は明日使い方を教えるから、今日の所は今まで使っていた道具で上手くやってくれ。」


「ははっ。畏まりました。こちらはお任せください。」


 長老に社周りの伐採を任せて、俺はミナキ達と一緒に柵作りに向かう。

 ミナキ達は男5人がそれぞれに道具を担ぎ、女達は3人で煮炊きの道具と食材を担いでいる。荷物が有るので昨日よりも少しゆっくりとしたペースで歩き、何事もなく目的地の目印に着いた。


*********************************************************


 昨日置いた小石は獣などに荒らされたような形跡もなく、置いたままになっていた。

 女達には昼飯の準備をするように命じておき、ミナキには男達にその場で道具を下すように指示させる。


「ミナキよ。男達に道具を下して俺が見えるように集まらせよ。」


「はい。お前達、道具を置いてこちらに集まれ。」


 ミナキの指示で男達が俺の周りに集まる。


「今から、持ってきた道具の使い方を教える。よく聞いて使い方を覚えるように。まず、その先がヘラの様になっている道具はシャベルという。このように反対側を片手で持ちもう片方の手で柄を握る。このまま振り下ろしたり地面に突き立てておいてヘラのこの部分を足で踏んで地面に押し込んでやったりして、土を掘るのに使う。」


 所謂剣スコだな。実際に使って見せながら教えているが、柄から持ち手まで全部金属製の物を送ってきたようだ。まあ、壊れにくくていいのだが、縄文人の手に持たせると違和感が有りまくりだ。


「次に、同じような形をしているが、先が四角い道具。これは角スコという。硬い土を掘るのには向いていないが、このように掘った土や石なんかを移動させるのに適しているな。」


 角スコの使い方を教えるが、ケースバイケースなので、状況に応じてやらせてみよう。


「こっちの両方がとんがっているのはツルハシだ。硬い地面なんかを掘り起こすのに用いる。このように持ち上げて振り下ろし、地面に突き刺して崩していくように使う。先がとがっているから使う時は後ろに誰もいない事を確認して使うように。

 この3種類は柵を建てるための穴を掘ったり溝を掘ったりするのに使用する。」


 見ている男達にも触らせて、持ち方や使い方を教えて行く。

 一通りやらせてから、次の道具の説明に移る。


「こっちは刃物だから扱いに気をつけろ。これは斧だ。お前たちが使っているものと違い剣スコなどと同じ鉄という物で出来ている。これで木を切ったり割ったり削ったりできる。こっちはノコギリだ。これも鉄で出来ているが、薄いから気を付けないとすぐに折れてしまうからな。使い方はこのように木に当てて前後に押引きすると木が切れる。」


 自分たちがいつも使っている石斧と違って、木が簡単に切れていくのでみんな驚いている。ノコギリは見た事が無いようで、実際に使えるようになるには少し訓練が必要だろう。特に立木を切るのは難しいからな。


「ノコギリで木を切り倒して、斧で木の両端を尖らせたり、枝を落としたりする。初めは上手く使えないかもしれないが、慣れれば大丈夫だ。こっちは鎌だ。草を刈るのに使うものだ。そしてこれはレ―キ。刈った草などをこれでかき集める。鎌のような刃物はお前たちが使っている石刃よりも切れるから、手や足を切らないように使う時は周りに十分気を付けろ。」


 他にも土嚢袋や金づち、掛矢、シノウといった物や四つ手のタコ、トンボ等整地に使う道具の数々があるし、各種釘やカスガイ、麻縄、山刀等々、見事に人力工具ばかりだが、これでもオーバーテクノロジーだ。まあ、流石にチェーンソーとか重機なんかは持ち込まなかったようなのでほっとしているのだが。

 しかし、結構な重量になったのによくこんなに持って来られたな。

 この時代の人間がかなり頑丈なことに驚きながらも、一つ一つの使い方を大雑把にだが教えて、後は実際に使いながら注意していく事にした。


*********************************************************


 一通りの説明が終わったので、実際に目印から北に向かって柵作りを始めてみた。

 まず、出来るだけ直線になるように注意しながら、目印の小石で作ったラインの両側3m内にある木を伐採していく。

 これで幅6mの更地が出来る訳だが、拠点防衛用には出来れば外側に20m位見通しの良い更地が欲しい所だ。まあ、後々拡大するとして、今の所はこれで良いだろう。

 それから、伐採後の切り株はそのままにしておく。切り株の処理は、夜の間にドローンを使って全部引っこ抜いてもらうように、マリアにお願いしておいたからだ。切り株は地中深く根が張っているので、人力で除去しようと思ったらどれだけマンパワーが必要になるか、開梱にかかわってきた人なら良く判る事だろう。幸いドローンには重力制御や超音波放射器、牽引ビーム投射器なども搭載されているらしいから、開梱にも十分使える。

 利用できるものは何でも利用して効率よくいこう。


 男達は初めて使う道具に初めは戸惑い使いにくそうだったが、慣れるに従って今まで自分たちが使ってきた石製の道具に比べ格段に切れ味がよくて作業が速く進んでいくようになり、驚きながらも嬉々として作業を行っていた。

 各道具の使い方の注意をしながら、合わせて測量機の使い方も簡単に教えて、午前中の作業を進めていくと、5人の男達によって幅6m長さ5mの範囲で伐採が出来た頃、腕時計を見ると12時近くになっていたので、昼休みにする事にした。


「お~い!昼飯だ。一旦作業を止めて集まれ。」


 すっかり現場監督の気分で声を掛けると、男達が道具を置いて集まって来る。俺はポーチの中から4ℓ入りの水タンクを出して男達に手と足を洗わせてウェスで良く拭かせてから、女達が広げておいた5m四方のブルーシートに履物を脱いで座るように指示した。


「良し。昼飯にするぞ。皆に飯を配れ。」


 今度は女達に声を掛けると、女達は出来ていた昼食を男達に配っていき、その後、自分たちもそれぞれの分を持って空いている所に座り込んだ。

 今日渡しておいた食材は牛肉の塊とドングリなどの木の実類、下茹でしておいたニンジンやジャガイモ、炊いて保温しておいたご飯だ。

 まな板、包丁、鍋にフライパン等、炊事に必要な道具や塩、コショウ等を渡して、適当に使って料理する様に言っておいた。女達は慣れているようで、周りにある適当な石を集めて竈を作り、鍋やフライパンを使いこなして、結構うまい昼食を作ってくれた。

 ご飯は茶碗ではなく塩握りにしてもらった。手っ取り早くて食べやすいから、この状況では一番良いと思う。

 米自体を見た事が無く、お釜でご飯を炊く方法も知らないだろうから、予めマリアに炊いてもらったものを保温してきたが、その内彼女達にご飯の炊き方も教えた方がいいだろうな。ついでに男達にも飯盒炊飯が出来るように教えてみようかな。

 みんなで午前中の作業について話したりしながらゆっくりと昼食を取り、13時まで休憩にする。


 昼休み後、女達は先に帰ってもらい、午後は休憩を挟みながら15時まで作業を行って、北に向けて合計15m位伐採を行う事が出来た。

 その後、1時間掛けて道具をしまう為の小屋を作り、道具の手入れを行わせる。

 作業場所の5Sは基本だからね。この時代でもしっかりと教えておこう。


 後始末をやらせながら、伐採の終わった所を見回し、ちょっと考えてしまう。

 一人も怪我人が出なかったのは良かったのだが、このペースでは村を一周するのにどれ位掛かるのだろうか?重機が有ればもっと楽なんだが、いくら何でもまずいよな。でも、チェーンソー位なら良いかな?

 慣れればもっとスピードが上がると思うのだが、この人数ではそれ程でもないか。まあ、周りから人が集まって来れば、作業人数も増えるから工程の短縮も出来るだろう。それまでは、このまま頑張ってもらうしかないな。


「良し。皆、今日の分の作業はこれで終わりだ。帰るぞ。」


 こうして、作業一日目は終了した。

 俺は集落までみんなと戻ってくると、長老と今日一日の情報を交換し、特に問題も無いのでそのまま社経由で施設へ帰ってきた。

 今は風呂にも入って夕食中である。


「マリア。今日柵作りをして思ったんだけど、この先周辺の人間が集まってきて、人出が増えたとして、柵作りに掛かる日程はどれ位になるのかな?」


『そうですね。今のままのペースだと東西南北の各辺毎に500日掛かる事になります。これは初日で道具の使い方を教えながらなので、作業速度が遅かった事と実作業時間が4時間程度だった事が原因ですから、作業に慣れて作業時間も6時間になれば今日の倍位にはペースが上がるでしょう。そうすれば1辺当り250日に短縮できます。』


「そんな物だよな。作業員の数も5人だから、1個分隊にもならないし。」


『はい。別の1集落が移動して来れば使える作業員も倍から3倍に増えますから、作業ペースも今日の3倍から4倍位になると思います。その内、作業を覚えて指揮が取れる人が出来れば作業班を増やして何か所かで同時に作業を行う事も出来るでしょう。そうすれば一気にペースが上がるはずです。』


「やっぱり、作業員の数と職長の数が問題か。今の所、品質よりも安全重視で作業を行ってもらうとして、いずれは品質管理もしっかり見ていきたいから、そっちの教育も必要だよな。」


『そうですね。今の集落の人数では、とても細かい所まで回せませんから。ここの集落に一番近い集落から移動してくるには、1週間位かかりますので、それまでは現状維持でお願いしますね。』


「了解。俺は明日は社の方に教えに行くから、マリアはドローンを使って柵作りの方の監視をお願いするね。何か問題が発生したら、その都度教えてくれれば対応するから、宜しく。」


『解りました。緊急事態が発生した場合は一旦社からこちらに戻って、転送機で柵作りの方に行ってもらいます。』


「それで良いよ。」


 歩いて行ったら1時間かかるから、転送機を使って瞬間移動で対応すれば、最短時間で動けるからね。

 まあ、ドローンで監視しておけば、よほどのことが無い限り手遅れになる事はないだろう。

 この調子で、明日からも頑張ろう。

不定期更新にお付き合いいただき有難うございます。

これからも不定期で頑張りますので、気長にお付き合いください。

歴史改変は仕方ないと諦めつつ、次回は食文化も変えていこうかな、なんて考えています。

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