俺と仲間と女の乳
「田中!そっち敵行ったぞ!」
俺の報告にチームメイトたちが反応する.
「ア〇ルち〇ぽ!w」
「もぉ!早くMOTTYよこせよっ!」
「ウキィーーーーー!ウキャキャ!ウキャキャ!」
これまで何千何万と繰り返してきた連携,俺たちが敗北する可能性は皆無だった.
「しゃあ!これで新潟予選突破だ!」
試合終了後,俺,藍原せろりは喜びに浸っていた.
【オクトパスプラッシュ!】いま老若男女に大人気のTPSゲームだ.
世界中でプレイされているこのゲームはカジュアル層だけでなくプロリーグの規模も最大級.
俺もそんなオクスプストリーマーの一人だ.
俺が所属するプロチーム【ゲェスターズ】はゲェジ専門のプロチームだ.
全員が我を優先したワンマンプレーを行うことで相手を翻弄し,最後にはゲェジコンビネーションで敵を葬る特殊なスタイルはいま日本で最高の注目度を誇っている.
「ふぅ今回もぎりぎりの戦いだったな」
―田中むーす
日本人と犬のハーフで下ネタが好きなチームのムードメーカー.
普段はクールな男だがアニメと下ネタが大好きな残念な男だ.
「お前が弱いだけw俺が4人いたら余裕だった(笑)」
田中に突っかかってるのは,ゴリュヤ・ゴリュヤ.
ゴリラの突然変異体である彼は人の心を理解するのが苦手でよくチームのムードを壊す.
だが実力は折り紙付きでうちのエース.
「ウキィーーーーーーーッ‼」(やったぜ!これで俺たち全国だ!)
そして門紀伊泌育
チーム一のゲェジでチームの司令塔.
人の言葉をしゃべれないほどゲェジが進行してもチームを優先するベテランだ.
そして今俺たちは,オクスプ日本一を決める大会【OcspInJapan】通称OiJへの参加を決めた.
「ここまで三年...長かったが俺たちもついに全国デビューだ」
「個人競技なら1年で出れたけど ま,よかったなw」
「やっと夢の全国だ,これで憧れの百瀬あやめちゃんに会える!」
「ウキャァ!」(チームの勝利より女に会える方がうれしいってか!?このち〇p野郎)
「まああやめちゃんはかわいいしな.それにあやめちゃんに会うのがむーすの夢だし今日くらい大目に見てやろうぜ」
「まそうだな,俺ならもっとはやくあえたけどw」
「ウキ!ウキキ!」(ああ,奴らフォロライブは必ず全国に来る.奴らを倒して最強になろうぜ!)
【フォロライブ】日本最強のオクスプチームだ.
最強の実力だけでなく美男美女ぞろいの彼らは他のチームとは比べ物にならない人気チームだ.
弱冠16歳にしてオクトパ個人ランキング8位の天才美少女プレイヤー【MicoChi】,
人類最速の反応速度,神の反射神経【葉弥スギル】
チーム一のイケメン,【朝立ロベル】
そしてむーすの推しである鬼娘,百瀬あやめ.
彼らを倒して日本一になるのが俺たちの夢だ.
「ああ,だがそれももう夢じゃない.全国でも俺たちのゲェジコンビネーションは敗れやしねぇよ」
だがそんな俺たちの喜びの時間は長くは続かなかった
「次のニュースです.プロゲーマーのMicochi選手が現役引退を発表しました.理由は産休とのことです.」
「ウキャッ!?」(なんだとっ!?)
突然のことだった.
たった今憧れのチームへの挑戦権を得た俺たちにとって,そのニュースは最悪のものだった.
「これに伴いフォロファイブは,OiJに参加する新メンバーの募集を開始しており―」
「そんな...やっとここまで来たのに」
俺は悔しさをかみしめる.
「ふざけるなよ‼Micochiのいないフォロなんか,最強じゃないあいつらになんか勝ってもどうしようもないだろ!」
ゴリュヤも怒りをあらわにした.
「あい田中!お前もそうだろ!?」
ゴリュヤが問いかけたとき,むーすは荷物の整理をしていた.
「おい,お前...何やってんだよ」
「俺はチームを抜ける.世話になった
「ウキィw」(おい冗談はよせよw)
「悪いとは思っている.だが俺は本気だ.」
―そう言い放ったむーすの眼は,今晩のオカズを探しているときの眼と同じだった.
「なあ,俺たち約束したよな?一緒に頂点取ろうって.三年前バカうけ展望室で誓ったじゃねぇか!なあおいむーす!」
「うるせぇ!そんなことわかってんだ!でもどうしようもないんだよ!」
「男がここまで言ってんだ,もう俺のことはほっといてくれ」
そういって去っていくむーすを俺たちは止めることができなかった...