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モブを愛した私は愚かにも人生を3回やり直す  作者: 咲倉 未来
Last Attack

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12.ゲームをクリアしました

 目の前に巨人が立ちはだかった。手にした岩を振りかぶり投げつける。


 その先に居るフィンが寸前で攻撃をかわす。


「一度退却だ!」


 ミカエルが号令を出す。避けた拍子に足を痛めたフィンに駆け寄る。肩を貸してティアラは岩陰に隠れた。


「すみません。いつも私は戦闘では足を引っ張ってしまいますね」


 悔しそうに顔を歪ませるフィンは、直前まで振るっていた剣を鞘に収めた。

 この最終局面では、元々の役割である魔物討伐の作戦をミカエルに伝えてもらわなければならない。


「あなたには、あなたの役割があるわ。ここまで来れたのもフィンの作戦のおかげだもの」


 フィンを励まし、カバンからラウルの薬草を取り出した。本来は煎じて飲むのだが、この状況では難しい。手ですりつぶして直に怪我の場所に塗りつける。


「これでしばらくは動けるはずよ。はやくミカエル殿下のところに行きましょう。体勢を立てなおして攻撃を再開するの!」


「わかりました」


 フィンに肩を貸し、ティアラは巨人の隙を突いて二人で移動を開始した。

 この後は、フィンの作戦で総攻撃をかけて巨人が倒れて闘いは終わる。


(巨人さえ倒せば、全部終わるわ!)


 ミカエルの号令で、体勢を立て直し総攻撃が始まった。足の腱を切られた巨人が片膝をつく。そのまま首を落とすところを見届けた瞬間、ティアラは慌てて駆け出した。


(ボスキャラが倒された後。雑魚キャラ達の一矢報いる捨て身作戦!)


「ダメ! 間に合って!」


 助走から思いっきり跳躍して、巨人の上に立つミカエルの頭上を飛び越えた。


 その時、対面から飛び出してきたオークを真っ二つに斬り炸く。そのまま体を捻って弓を構えて矢を放つ。

(オークが一。二、三、四!)


 急所を外したオークは、矢を抜き再び攻撃を始めたが、構っている余裕はない。


 巨人の脇に立つゲイルの背中に降り立ち、寸前で剣を構えれば最後のオークの一撃を止めた――はずだった。



「――っ!!!」


 力比べになれば勝ち目は無い。構えるだけで精いっぱいだった剣は簡単に競り負けた。

 そのまま体を切られ、後ろへと倒れていく。


 地面に倒れるまでが、やけにゆっくりだっと思った。

 目線の先のオークが、とどめを刺そうと剣を振り上げるのが見えて自分の状況を悟る。


(あ、死ぬ)


 背中を地面に一度打ち付ければ、あらゆる感覚が体を駆け巡る。傷口が焼けるように熱く、痛みに顔が歪む。何度も経験した感覚だった。


(――それだけは、嫌!)


 ぐるりと体を横に転がし、振り下ろされた剣を避けた。


(嫌だ、嫌だ! 死にたくない。このまま死ぬなんて嫌だ)


 前も後ろもわからず、ただ手足を動かして逃げるようにあがく。

 ぼやけた視界は何もかもが歪んで見えたが、しばらくして、ゆっくりと明るくなるのがわかった。


「大丈夫か! ティアラ。死ぬな! エミル早く治療を!」

「けど、この傷に魔方陣なんか使ったら」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」


 遠くで見知った声が聞こえた。ゆっくりと頭で反芻すれば何が起きたのか理解できた。


(ああ。ゲームクリアしたんだ。なら――)


「なんでも、いいから。助けて」


 ゆっくりと、雲が動き光柱がさす。

 その光を避けるかのように、辺り一面に広がる霧がひいていった。森は以前の明るさを徐々に取り戻していくのだった。


 ―― ミストルティンの森と城塞都市ヴェルザンを襲った大災は、ミカエル王子率いる討伐隊により根絶された ――

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