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モブを愛した私は愚かにも人生を3回やり直す  作者: 咲倉 未来
Second Attack

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4.秘密の庭のお茶会1

 ―― 城塞都市ヴェルザン城。城内 ――

『秘密の庭』


 透明なドーム型の建物に足を踏み入れる。秘密の庭の管理人であるラウルが出迎えてくれた。


「初めまして。今日から魔物討伐隊に参加する、ハーフエルフのティアラです」


「初めまして。ラウル・シュル・オーベロンと申します。秘密の庭の管理人をしています」


 再会に心が締め付けられる。前世の記憶はティアラにしかない。ラウルとの思い出は、今ここから始まるのだ。


「私、この庭がとても気に入りました。城にいる間はこちらで休憩してもよろしいですか?」


「……ええ。きっとあなたの体にとって、この庭は癒しになるのでしょう。くつろげるよう手配しておきますね」


「はい。よろしくお願いします」


 その日から、ティアラは時間の許す限り『秘密の庭』に出向いた。そして庭の手入れで取っ掛かりを摑み、おやつにありついた。お茶の時間を毎日過ごした結果、気付けば古い顔馴染みの如く馴染んだのだ。


「何だか、昔から一緒に過ごしているような錯覚を覚えますね」


「あはは。私もずっとラウル様と過ごしている気がします」


 今日は一緒に教会へ寄付する石鹸のラッピングを行っていた。二人で手際良く作業し全てを箱に積める。


「さぁ。お茶にしましょう。今日はレモンメレンゲのタルトです。ミントの葉を摘んできてもらえますか?」


「はーい!」


 ティアラはハーブの畑へと歩いて行く。セージ、レモンバーム、ローズマリーが茂る畑は、手入れが必要そうに見えた。


「明日からは、畑の草むしりをしようかな」


 ラウルに聞いて許可をもらおう。ついでに育ちすぎたハーブの剪定も必要そうだ。

 ティアラが葉をかき分けて確認していると、奥の方で光るものが見えた。その金属に手を伸ばして掴み取る。


「鍵? どこの鍵だろう」

 拾った鍵をポケットにしまう。頼まれたミントの葉を数枚摘むと足早に戻る。


 取り分けられたレモンメレンゲのタルトに生クリームとミントの葉を添える。セージのお茶が注がれれば二人だけのティータイムの始まりだ。



 ティアラは先程思いついた畑の手入れを、すぐに相談した。ラウルはすぐに快諾してくれる。


「フェアリー達がいた頃は、手入れをしてくれてたんです。今は私ししかいないので手が回ってませんね」


「なら、私も手伝います。報酬はラウル様の手作りお菓子で手を打ちましょう!」


「ふふふ。良いでしょう。よろしくお願いします」


「あと、鍵を拾ったんです」


「鍵ですか。――この大きさなら妖精の鍵でしょうね。きっと秘密の庭のどこかに隠し物をしたのでしょう」


 羽の細工にエメラルドがはめ込まれた鍵を返される。


「探して見つけてみるのも面白いかもしれません。この庭のフェアリー達は、隠したあと見つけてもらうために私に教えに来たりしてましたから」


 なんとも可愛らしい話である。


「でも、今はフェアリーがいないから、ありかは聞けませんね」

 見つけるのは難しそうだ。でも何だかワクワクする話にティアラは喜んだ。


「庭で過ごす間は気にしていろいろな所を見てみます!」


「ええ、良いですよ。ただ奥の畑は近寄ってはいけません。あそこはフェアリー達も寄りつかない種類の植物が植えてありますから」


「わかりました」


「ちなみに、箱を開けるときは要注意です。爆発したり、入っていたマンドラゴラが目を覚まして叫んだり。ちょっと危険な悪戯が仕込まれてるときがありますから」


「はい?!」

 思ってたのと全然違う。見つけても開けたくない。


「たまに可愛らしいものもありますよ。頑張って探してみて下さい。」


(よし。無かったことにしよう)


 鍵は可愛らしいので、ペンダントトップにして楽しんでいる。

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