第3話 討伐
その少女は刀を地面から引き抜くと振り返った。
「立花後ろだ!」
どこからかそう叫ぶ声が聞こえると、立花と呼ばれた少女は持っていた刀を思いっきり後ろに投げる。アクリョウの赤くぼうっとぼやけた光る心臓部に突き刺さると、立花は刺さったその刀を足掛かりにしてもう一本の刀で首を斬る。黒い煙となって消えていくアクリョウ。
「準備はどう?」
着地した立花の隣に立ち並んだ黒髪の短髪で背の高い少年が言った。
「いつでも来ればいい」
刀を持ちかえる。上空では3体のコウモリの翼に魚のよう尾をした尻尾の生えたオニが二人を観察していた。
少年は持っていた槍を払うように動かすとどこからともなく台風のような豪風が二人と悪魔の間に距離をつける。オニが一体、その暴風を突っ切って来ると少年に向かって巨碗を振り上げてくるが、横からすり抜けた立花によって上半身と下半身に分断される。残り2体のオニは左右から挟み撃ちにしようと動くが、背合わせに立つ二人はなんなく斬り伏せる。地上に残っていたもう一体のアクリョウが奇声をあげながら猛突進してくる。が、いつの間にか体現した弓矢を持った立花がそのアクリョウの胸部を撃ち抜いた。
「終わった」
「お疲れ様。今日も怪我なく終わったね」
「うぉおおおおお!」
突然の声に二人は振り返ると、ガバッと立花に抱きつくハンレス。
「君達、凄いな!あんなにいた悪魔を簡単に倒すなんて!」
立花に頬擦りをしながら言う。
「・・・?」
「えーっと・・・?」
困惑していた二人だったが気配を感じた。
「ハンレス・リエ。ティベリックまでの同行を願います」
軍服に身を包んだ集団がそこにいた。




