第16話 次の國へ
ハンレス達が乗った装甲列車は瓦礫の町と化した放棄地区を抜け、砂漠地帯から森へと走行していた。途中、谷を挟み森を抜けると果てしない草原地帯へと出る。間に小さい川から船を運航する川にかけられた橋を越えて進むにつれ、オーブンのような暑い車内に清々しい風が舞い込んでくる。
その列車の中、ハンレスのいない車内で優夜は手帳を広げ読んでいた。橋を越える音と自然と捲られそうになる紙の音以外しない。ふと視線をずらせば、優夜の太ももを枕化し、気持ち良さそうに寝ている立花がいる。
開け放たれた貨物の向こうでは川に反射した光がキラキラと光っていた。しばらくボーッと見ていると連結部分の鉄の扉を開けてハンレスが入ってくる。
「よっと、やぁ気分はどうだい?」
「べつに?ただ、涼しいなと思ってさ」
ハンレスに向けていた視線をずらし外を見る。
「そっか・・・ところで、お腹すいてない?」
ハンレスの両手の上には皿が乗っていた。優夜は手帳を置くと背を正す。
「もう、昼だっけ?」
「いつの間にかねぇ!立花ちゃんは寝てるみたいだし、後で起きた時ように作っておk・・・」
その時だった、パンに挟まれたベーコンのふわりと漂う匂いにカッと目を見開き勢いよく起き上がる立花。その瞬間、優夜の顎に頭突きを食らわす。
「が!?」
「あらま」
優夜は食らった顎を押さえ、変わりにハンレスが呟く。
「にくのにおい・・・!」
「・・・~っりつか、急に起きないでよ」
「食欲にはあらがえない、食べれるときに食わなければ死ぬ!それが、獣のてっそく!」
ガウゥウウウと唸りながらハンレスに向かう。
「ストッぉおおおおプ!」
優夜が立花を抱え上げる。その光景をハンレスは微笑ましく見ていた。
(優夜君はずいぶんと明るくなったなぁ、立花ちゃんは会話自体が増えた。うん、うん。いい感じだ)
「よぉし!」
ハンレスはぴょんぴょんと跳び跳ねながら近づくと
「皆で食べよう!それから、私のキテレツ事件でも聞くかい?」
「あんたの存在自体キテレツだからなぁ~まぁ、うん。いいよ。付き合って上げるよ」
「めしぃいい!」
「りつかぁあ、めしぃいいなんて言わないでぇえ」
優夜が立花を抱えたまま言った。
「あはは、・・・さてぇ、次の國ではどんな旅になるかな」
ハンレスは列車の外を見た。
列車はまだまだ走り続ける。次の目的地である國に向かって。
いかがでしょうか。
オリジナルとは言え、汚い文章で想像しにくい!な~んて自分で思ったりしてますが(笑)
楽しんでいただければと思っています!
さて、次回。この続編になりますが、一行は唐繰と蒸気機関の國「リズベスト」に向かいます!ここで何が起きるのか、新たなキャラと共に巻き起こすストーリーが待ち受けてます!
でわでわ、また次回!お楽しみに~!