第12話 合流
「すごい音がしたから、君達になんかあったのかと思ったよ」
そう言いながらハンレスは優夜の顔に消毒のついた脱脂綿で拭く。
「いったぁあ!」
じんじんとする患部を手で擦る。
「あぁ!こら、ばっちいでしょ!何のために、消毒してると思う!?」
「いらないよ!そもそも、俺達は人一倍治癒力が高いんだから!立花を見てよ!」
ハンレスが振り向くと立花はサッと布を見せる。何もない布をかすり傷のついた腕を拭くと、あっさりとなんにもない肌に戻る。
「うっそ!まじか!どうなってんの!?」
立花の腕を持ち上げながら、傷口があった場所を見る。
「いたではいたい」
「正論を言ってるのになんかやきもきするよ」
ハンレスが言った。
「ここからもうちょい行くと、エキ舎があるんだ」
優夜が持ち出した正規の地図を広げた上をなぞりながら言った。
「エキ舎?」
「正確に言うと、蒸気機関車の修理とか武器の調整なんかを請け負う場所さ」
「じょうききかん」
「水蒸気で動くんだよ。馬よりも自分達が走るよりもうんと速いさ!」
おぉ~と優夜と立花が言う。
「で、この蒸気機関に乗ってここを出る!」
「次の國へ行けるんだ」
優夜と立花の目が輝き始めた。
「ただ、問題があってね・・・」
「問題?」
「そうだ、君達相手に多くの人が動いていたはずだ、でも、残っている連中がもしこのエキ舎の存在に気がついたらと思ってね」
腕を組み地図を見るハンレス。
「もし、そうなったら俺達が追い返すよ」
自信たっぷりに優夜は言うと立花を見る。
「うむ、任されよう」
そして、ハンレスは気がついた。
「君達もしかして・・・!神器が覚醒したんだね!!」
ハイタッチをする優夜。おずおずとあげた立花には優夜とハンレスは指先だけを立花の手のひらにちょこんとハイタッチ。
「よし、君達と私がいればなんだってできるさ!」
おおう!と三人で拳をあげた。