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Other than ②(4/21修正)

冒頭を少し変更しました

 ―――シズル、オマエの事女だと思ってたってさwww




 完全に見失ったと分かったとこで送った。

 何かくっそって気分だったし。


 最後に会ったのは、小学校の卒業式。

 3年経って、アイツはスゲー変わって、でも中身全然変わってなかった。

 頭突きとか、するか?フツー。

 ねぇよ、まじで。


 アイツにはしねぇんだろうな…そう思ったら、何か。

 くっそ!!って。

 頭わしゃわしゃしても治まらない。

 動画ん中で、アイツと見つめあってた。

 何だよ、それ。何でなんだよ?

 ぐしゃり、とシャツの胸元を掴んだ。


 何で、だよ―――







 自分がいわゆる“カワイイ系”だっていう自覚はあった。


 チビの頃から、やたらと頭を撫でられたり、ぎゅーっとされたり、頬ずりされたりし続ければ、まぁ当然っつーか。

 流石にサッカー始めて真っ黒んなってきたら、ウサギとかみたいな扱いは無くなってきたけど、ピッチの外から見てるヤツらの視線は、“カッコいい”じゃ無くて“カワイイ”が殆どだったから、もういいかってなるよな。

 まあ、別に困ってなかったし、色々貰えたりして割とお得だったし。


 そんな中で、アイツ―――シズルだけは全然違ってた。


 シズルは昔っから背が高くて、見下ろされてる感ハンパなかったけど、でも、他の女子みたいな感じは全くなかった。


 試合ん時、夢中でボールを追っかけてると、大体シズルがデカい声で叫んでる。


『大地っ、止まって!!』

『後ろっ、トーゴ居るよっ!!』

『右っ!走れっっ!!』


 不思議とうるせー、とかは思わなかった。

 チームの中には偉そうって言うヤツもいたけど、そういうヤツは俺が黙らせてた。少なくとも、シズルがいないとこで言うのは許さなかった。

 だって、シズルは目立とーとか、全然考えてる風じゃ無かったし、何より、パスのタイミングが絶妙で、シズルのアシストで何度も決めてたし。


 なのに、何でか、こうなった。


 いや、何でかはわかってる。


 4年になって、上のチームになって直ぐだった。

 シズルだけ、Aチームに選ばれた。

 Aチームは5,6年生しかいなかったのに、何でか、アイツだけ。


 その事にボーゼンとして、次に思ったのは、何でシズルだけ?!、で。


 そう思ったのは当然ながら、俺だけじゃなくて。

 不平不満の嵐が吹き荒れる中で、河田のかーちゃんが言い出したのだ。


『あのコは、女の子だからね~』


 男の子も女の子も同じだけ活動費払ってるのに、試合に出れないんじゃ可哀想だから。

 そういう理由で、女子も試合に出させてもらってるんだよ、と。


 すげー違和感あった。


 確かに、“ひな”とかはそんなカンジで、いつも味方ゴール付近で突っ立ってるだけだったから、そうだったかもしれないけど。

 でも、シズルは違う。

 そう思ってたハズなのに、何故か言い出せなくて。


 その日から、シズルは4年の中で“ぼっち”になった。



 もちろん、普通に練習してたから、コーチとかは、全然気付いてなかったっぽかった。

 わかりやすく無視するとかも無かった、けど。

 一緒んなってバカ話とか、そういうの。


 シズルは気付いてた。

 なんとなく、様子うかがってるっぽかったから。


 そのたんびに、胸のあたりがちくちくした。

 だからわざと大きな声を出して、みんなを笑わせたりして、シズルが声かけにくいようにした。


 それがなんでか、あの頃はわからなかったけど、多分、怖かったんだと思う。


 シズルをAチームに選んだのはコーチで、シズルが悪いわけじゃない。

 でも、なんでシズルだけ?

 俺だって頑張ってんのに!

 何で―――?!


 その気持ちは、4年終わりの試合で吹き飛んだ。


 シズルはその試合で、センターバックに選ばれた。

 よりによって、センター。

 バック―――守備は、先輩達もあんましたがらないからわかる。

 でも、センターはトクベツだ。

 何で?って、また思った。

 でも、シズルはちゃんと見てた。

 ピッチ全体、全部、ちゃんと。


 だから、バックでセンターだったんだ、と。


 1点ビハインドの後半、もう終わりに近かった。

 同点に追い付く最後のチャンス。

 コーナーキックのキッカーに選ばれたのはシズルだった。


 右コーナーで、右利き。


 シズルの蹴ったボールは、ポンッと大きな山を描いて、ゴールエリア前に落ちた。

 ウチのトップは背ぇ高かったから、ヘディング狙ってたんだと思う。でも、先輩は上手く合わせられなくて、落ちたボールを皆で取り合ってるウチに、向こうがこぼれ球蹴って飛び出した。


 ヤバいっ、カウンター!!


 ピッチの中も外も、全員そう思った。

 めっちゃ焦った。

 だって最後のチャンスだと思ったから、全員相手ゴール前に来てた―――と。


 そう思ってたのに。


 次の瞬間、相手フォワードが大きく蹴り出したボールを、シズルがスライディングで外に蹴り出していた。


 味方が戻る為の時間稼ぎ。

 自陣ゴール前にいたのが、自分1人だったからだ、と気付いて、ボーゼンとした。


 だって、キッカーだったのに?


 後でコーチが言った。

 シズルは蹴って直ぐ、全速力で戻ったんだって。

 向こうが、カウンター得意だって気付いていたから。

 だったら、キッカーやらなきゃいい。

 なんて、誰も言えなかった。

 センタリングが1番上手いのが、シズルだったんだから。


 もしその試合に勝ってたら、違ってたかもしれない。

 勝った嬉しさで、そのノリで、シズルにゴメンなって、言えてたかもしれないのに。


 5年なったら、俺も絶対、Aチームに入る!って。

 そしたら、今度は一緒に勝とうな!って。


 なのに言えなかった。

 シズルは誰とも一緒に来てなかったから、1人でいつの間にか帰ってて。


 練習でも、もう俺らのとこには来ないから、なかなか話しかけられないまま、その日(・・・)がやって来た。

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