南の森探索
朝だ……。
今日は、ギルド依頼の[薬草の採集]を行う予定だ。
森の中には薄暗いため、松明を道具屋で購入してから【南の森】で薬草の採取を行う。
ベッドから起きて、装備等の身支度を始めた。
すでに何度か装備を行ったので、鎖かたびらの着用と木の胸当てを装着した。腰のベルトにナイフを携えて、最後に帽子をかぶってから部屋を出た。
「おっ!! おはようございます。
お客さん気合い入ってるね」
「おはようございます!!
今日は南の森で薬草採取のギルド依頼をやろうと思ってまして……」
「ん? お客さんは画家さんなんだから、お金に関しては絵を売ればいいんじゃないのか?」
「あぁ、それでもいいんですけど。
最低限は旅ができるレベルにはなっておきたいので、ギルドでの仕事も請け負っておきたいんですよ」
「あぁ、そうなるとギルドランクのポイント稼ぎってやつか?」
「へぇ〜。ランクがあるんですね」……と言って、ギルド証を見てみると、ギルド証にランクFと記載があった。
「あっ、そうだ。
金物屋さんが自分の部屋に荷物を配達に来てくれると思うので、案内してもらっていいですか?」
「おう、わかったよ。
気を付けて探索してこいな」と言って、いつもの昼食の入った籠を手渡してくれた。
「はい!!」と言って、籠を受け取った。
「それじゃ、行ってきます」
宿屋をあとにして、道具屋に向かうことにした。
しばらく移動して道具屋に到着し、道具屋に入った。
「いらっしゃい!! にーちゃん、今日は何のようだい?」
「あっ、どうも。
今日は、南の森に探索に行こうと思ってまして、たいまつを買いに来ました」
「あぁ、あるぜ。どれくらい狩りを続ける気なんだ?」
「予定では夕方には帰ってこようと思ってます」
「そうか、それなら今からだと10時間弱って感じだな。
たいまつは一つ6時間持つようになってるから、念のため三つ買っておいた方がいいぜ」
「なるほど、それじゃ三つ下さい」
「松明三つで、30ゴールドだ」
30ゴールドを道具屋に手渡した。代金の引き換えとしてたいまつが3つ手渡された。
「まいどあり〜!! 他に買うものはないか?」
「薬草って、どんな見た目なんですかね」と言った。
「ほれ、にーちゃん。
コレを持っていきな。危険だと思ったらその袋の中の薬を使いな」と道具屋が言って、薬草と何かの薬が入った袋を渡してくれた。
「ありがとうございます」と言って、礼をして道具屋を離れた。
ゴレッジの村を出て、南の森へ向かうため徒歩で南へ進んでいく。
道中、何度かスライムと戦闘があったが苦戦することはなかった。
そして、木々が生い茂る【南の森】へと到着した。
左手に松明をもって、右手でナイフを持てるようにして空けておく。
道に迷った時の対策として、マップにチェックだけは入れておこう。
森の中を進んでいく……。
森を進むと木々が重なり空が見えない為、辺りが薄暗く感じる。
さて、今日の本題は薬草を探すギルド依頼だったな。
辺りを見回すと、薬草が普通に生えていた。
道具屋の店長からもらった薬草袋の薬草と、生えている薬草を見比べながら薬草の採集を行っていった。
辺りを探索しながら、移動していると辺りの藪が動き始めた。
盗賊スキルの[危険察知]が反応した。
ザザッ……ザザザッ。
腰ベルトに携えたナイフを、右手に構えて警戒を行った。
動きがない……。だが、この先に確実にモンスターはいるはずだ。
盗賊スキル[投石]で、足元にある石を拾い何者かがいる藪に向けて石を投げた。
石が何者かに命中し、「ギィ!!ギィ!!」と、何かの声が聞こえた。
藪からゴブリンが出てきた。
藪に隠れて、不意打ちをする気だったのか?
ゴブリンは、片手に鈍い輝きをしたナイフを持っている。
気づかずに近寄っていたら、不意打ちで攻撃を受けていただろう。
一対一の現状、どちらが先手を取るかという状態だ。
ゴブリンが投石を食らった事が頭にきているようで、まっすぐ突撃してきた。
単調な突撃なら、それほど怖くはない。
ゴブリンの攻撃をかわし、側面からナイフを突き刺した。ゴブリンは、この一撃で絶命した。
このモンスターの買い取りできる部位は、ゴブリンの持つナイフと、ゴブリンの体の中心にある魔石らしい。
モンスターの魔石を抜き取り、ゴブリンのナイフと一緒に[アイテムボックス]に入れた。
ゴブリンの奇襲には、警戒が必要だが危険な相手ではない。
[危険察知]のスキルがあるので、不意打ちや奇襲に対しては対応できると思う。
ゴブリンの死骸に関しては、そのまま放置しておけば他のモンスターや動物が処理してくれるから大丈夫らしい。
引き続き、薬草の採集とゴブリンへの警戒を続けながら探索を行った。
それから後も、ゴブリン単体との戦闘が何度も行われた。
空を見上げるが、辺りが暗くて時間がわかりにくい。
マップを確認するが、かなり森の深くに入ってきているのが確認できた。
拙い!! 深入りしすぎた……と、思ったその時、2本目の松明から灯りが消えた。
しまった。あれから12時間立っているのか。それは、夜中になっているということだ。
急いで3本目のたいまつを手に取り灯りを付け、まっすぐ村に帰宅を始めた。
辺りを警戒しながら急ぎ足で、マップを確認しながら森を移動する。
マップがなければ、致命傷になっていたかもしれないがマップがあるので、まっすぐ戻ればなんとかなるハズ……。
こういう焦りが出ているときに限って、ゴブリンが良く現れる。
何度もゴブリンと戦闘を繰り返しているため、、コツを掴んだのもあるが、レベルも上がっているのでゴブリン相手に苦戦はしない。
大丈夫だ。このペースなら、たいまつが消える前に村に戻れるハズ……。
そう考えている矢先、3匹のゴブリンに囲まれてしまった。
何匹かを遠距離で仕留めたい。だが、片手がふさがっているため弓は使えない。
ふぅ……と、深呼吸をした。
大丈夫!! ゴブリンとの戦闘で僕はレベルが上がっている。
(現在、レベル14)
そう、レベル12に上がった時にいくつかの攻撃魔法を覚えたのだ。
◆◇◆◇
・[ファイアランス]
・[アイスランス]
・[サンダーランス]
・[アースランス]
12レベルになったさい、4つの属性矢の魔法を覚えた。
◆◇◆◇
戦闘開始だ!!
戦闘の開始直後[ファイアランス]を、ゴブリンに対して放った。
炎の矢はゴブリンの身体に突き刺さり、ゴブリンに対して炎上ダメージを与えて、ゴブリンAは絶命した。
残り2匹!!
仲間をやられたゴブリンBは、そのままこちらに突撃してきた。
攻撃を回避して、ゴブリンの側面にナイフを突き刺した。
後1匹!!
ー レベル15に上がった ー
[危険察知]が反応した。拙い!! ゴブリンが仲間を呼ぼうとしている。
「させるか!!」と言って、[ファイアランス]を放った。
炎の矢は、ゴブリンの身体を突き破り森の木に突き刺さった。
討伐完了!!……って拙い!!森が炎上する!!
炎の矢が突き刺さった木に[ウォーター]の魔法を放ち炎上を止めた。
あぶねぇ……。さっきの2匹目の戦闘でレベルが14から15に上がったからかな。
少し威力を抑えて、[ファイアランス]を放つことにしよう。
ゴブリンの魔石と武器を回収して再び探索に戻る。焦れば焦るほどモンスターが現れて、たいまつが消えてしまう危機感を感じ始めてきた。
マップを見ると、あと少しで森を抜けれる。
だが、僕は前方、後方、左右の四方に6匹のゴブリンに囲まれている。
前方に3、左右と後方が1ずつ。
たいまつが切れる、タイムリミットが迫っているので、戻る事はできない……。
前方のゴブリンに対して[逃走]スキルを使っても、この状況だと囲まれてしまっている現状だと無理だろう。
左右のどちらかを魔法で仕留めて、そこから体制を立て直そう。
右か左か? よし、決めた。村に少しでも近づける左側のゴブリンを仕留めることにする。
[ファイアランス]を左側のゴブリンに放ち、左側の空いたスペースにいっきに走り出す。
ゴブリンを倒して、レベル16になった。
[逃走]スキルを発動させ、ゴブリンの群れから逃げ出した。
ふぅ……。ギリギリ助かった。
レベル16で、
・ライト(暗闇を照らす魔法)の支援魔法を一つ覚えた。
次に、
・ファイアウォール
・アイスウォール
・サンダーウォール
・アースウォール
4つの属性のウォール系の魔法を覚えた。
やった!! たいまつの代わりの魔法手に入れたぞ。
[ライト]の魔法を使った。[ライト]の魔法を使うとMPの自然回復量が今までより下がってしまった。
丁度いい具合に、たいまつが切れた。
拙いぞ!! MPの回復量が、この状態で戦闘するとMPが枯渇してしまう。
道具屋の店主の言葉を思い出した。
『危険だと思ったら、中の薬をつかいな……』という、道具屋の店主の言葉が脳内に蘇る。
一か八かだ、店主の言っていた。薬草と一緒に入っていた薬草ではない、ナニカの薬を使うことにした。
得体のしれない薬を使った……。
ぐっ!! 体が熱い……。MPの自然回復量が上昇した。
道具屋の店主が袋に入れておいてくれた、謎の薬のおかげで何度か戦闘をすることになったが、MP切れを起こすことなく村に帰還することができた。
今回の【南の森】の探索で、レベルが17まで上がった。
本日の投稿は3話投稿になります。
7話 0:00~1:00 の間
8話 7:00
9話 19:00~20:00 の間 ※イマココ
の3話投稿です。