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魔法使い(意味深)

 チュンチュンと、小鳥のさえずりが聞こえてきた。


 朝か……。


 ベッドから起きて、カーテンを開け窓から外をのぞく。

 よし、今日もいい天気だ。


 宿泊している宿屋さんに、一枚絵を描く約束をしているので、風景画を描いた木の所へ行こう。

 身支度を済ませて宿屋の受付へ移動する。

 宿屋の主人が、コチラに気づき挨拶をしてくれた。それに対して自分も挨拶を返した。


「おはようございます。

 今日はいい天気ですね、朝方に依頼を受けた絵を描こうと思います」と言って、昨日の食事を詰めてもらった籠を宿屋に返却した。


「ほれ、今日の食事だ」と言って、宿屋の店主が籠を渡してきた。


「どうも、ありがとうございます」


 いや、本当にありがたい。所持金0の状態なので、宿屋から提供される食事が生命線なのだ。


 食事の籠を持って、女神の羽衣で吊るされた木の所まで移動した。


 前回は昼間にこの木を描いたから。今日の絵は、朝陽が上手く当たって清々しい朝を表現したいな。

 宿屋に飾る絵だから、そういうコンセプトの方がウケはいいだろう。


 [アートボックス]のスキルを使い、絵を描く準備を始めた。

 絵を描いていて気づいたことがある。前回、書いた絵もデータとして保存されている事に気づいた。

 それが、何を意味するのかというと? お絵描きソフトの機能を使って光のあて具合を調整して、別の絵として誤魔化すこともできるわけだ。


 簡単に言うと、絵の複製や画像の修正等もできるって話だ。

 まぁ、今回はやらないけどね。


 宿屋から依頼を受けてコンセプトも決めて、絵を描き始めたわけだ。完成させないと、気分悪いしな……。


 ……

 …………


 しばらく、絵を描き続けいたら。お昼になる前に、風景画が完成した。

 ここで食事を食べてから教会へ行こう。


 食事を食べ終わり。眠気がきたで、大きく伸びをして教会へ移動することにした。


 ……

 …………


 教会に到着した。教会の建物の中に入り。

 僕のお世話係をやってくれている、ライムさんを探した。


 あっ!! いた。


「ライムさーん。おはようございまーす」


 こちらに気づき、ライムさんが近づいてきた。


「ハジメさん、おはようございます。

 今日は何の御用ですか?」


「えっと、一つ聞きたい事があってきました」


「はい。私にわかる事でしたら、お答えしますよ」


 ライムさんに、2日間スライム討伐でレベルを6に上げたら[盗賊]なのに魔法を覚えた旨を伝えた。

 その件について確証をもてなかったらしく、ライムさんはダニエル神父を呼びだした。その後、ダニエル神父にも再び同じ説明を行った。


「うーん。 それは神の贈り物(ギフト)かも知れないね。

 調べてみるかい?」と、神父が言った。


「お金とか持ってないけど、大丈夫ですか?」


「あぁ、構わんよ。

 むしろ、ギフト持ちの人間が見つかる事は教会としてはありがたい事だからね。

 ライム、ギフトの鑑定の準備の用意を始めてくれ」


「はい、解りました」と言って、ライムさんはこの場を離れていった。


「それじゃ、コチラでも準備を始めようかな」


 ダニエル神父が、銀の容器にビンに入った聖水を入れていく。銀の容器に聖水が満たされた時に、神父が聖水に両手をいれるように指示を出した。

 しばらく、聖水に両手を入れっぱなしにしていると、ライムさんが色んな道具を持ってこの場に現れた。


「おまたせしました。準備終わりました」と、ライムさんが言った。


 テーブルには水晶と、一枚の紙が置かれている。


「それでは加護の儀式を行います。

 ハジメ君、テーブルの上の水晶に手をおいてくれ」と言って、ダニエル神父が儀式の開始の宣言を行った。


 言われるがまま、聖水が付いた手を水晶に置いた。

 そこから、神父が神に対する口上を述べて、すべての口上を言い終わった時に水晶が反応しだした。


「ハジメ君。この紙に両手を押し付けてくれ」


「聖水で手が濡れてますが、いいんですか?」


「それでいい」と、ダニエル神父が答えた。


 僕は、テーブルに置かれた紙に両手を押し付けて圧を加えた。

 紙が聖水に反応して、文字を浮かび上がらせる。


 聖水に濡れていない場所にも文字が浮かび上がってるので、聖水にぬらすのはあくまでも儀式的なものなのだろう。


「何か文字は表示されたかい?

 表示されたのなら、それを読んでみるといい。それが君の神の贈り物(ギフト)だ」と、ダニエル神父が教えてくれた。


 文字が浮かび上がったのは、先程確認を済ませている。

 紙に浮かび上がった文字を読んでいく、紙には[魔法使い]と文字が浮かび上がっていた。


 これで僕のギフトが解った。

 浮かび上がった文字の後半は、女神による追記が日本語で書かれてあった。


 ◆◇◆◇


 前世で、30過ぎても童貞だった魔法使いさんに、ぴったりのギフトを差し上げます。

 なんと!! [魔法使い]のギフトです。嬉しいでしょ!!


 このギフトは便利よ、貴方が童貞である限り効果継続で、効果が続いてる間は攻撃魔法も覚えれるし回復魔法も覚えれるわ。

 貴方の盗賊と魔法使いの得意ステータスが上昇しやすくなるわ。

 さらに、上昇値2倍とか言ってあげたいけど、貴方の場合は、取得経験値が2倍になるわ。


 最後に、リアルの女性に対して女性不振になって、魔法使いになった貴方に朗報よ。

 貴方の望む理想の女性が、この世界には種族的な意味で存在するわと書かれていた。


 最後に、[魔法使い]のスキルの制約をお伝えします。

 貴方が、レベル70以下で童貞を捨てた場合。貴方は魔王化しますので気を付けてくださいね。


 ◆◇◆◇


 ……と、追記が書いてあった。


「どんな、内容だったんだい?」と神父が聞いてきた。


「僕は、魔法使いというギフトを持っているみたいで、盗賊ですけどギフト効果で魔法を覚えるみたいです。

 それと、それの副次効果という感じですけど、盗賊と魔法使いの良いとこどりでステータス上昇するみたいです」


「へぇ? そ・・・そうなのか?」と言って、神父が困惑していた。


「あぁ、わかりにくかったですね。素早さと器用さと賢さが上昇率がいいみたいです。

 それと、経験値が2倍取得できるってありましたよ」


「それは、すごいね。君はギフト持ちということは転生者なのかい?」


「ギフト持ちって、転生者の為のスキルなんですか?」


「あぁ、そうだよ。

 転生者はギフトを持っているが、中には魔王予備軍もいたりと色々と厄介な存在なんだ」


「あー、それで追記に注意書きがあったんですね」


「注意書き?」


「レベル70以下で、童貞を捨てると[魔法使い]のギフトも失うし。

 魔王化するって書かれてました」と、正直に言った。


「そうか、君も魔王の予備軍なのか?」


「童貞捨てる気が微塵もないので、ならないと思いますよ。

 それこそ、ノルン様位の美人がいなけりゃ。そんな気、微塵も起きませんって」


「ん? 女神様に、まるであった事があるような言い方だね?」


「神父に絵を売ったじゃないですか?

 女神様に、2日間ずっと絵のモデルをお願いしましたよ」


「他にも女神様の絵が、たくさんあるという事なのか?」


「下書きの最中の奴も大量にありますし、すでに描いた奴何枚か見せましょうか?」


「あぁ、お願いするよ」


 2枚の女神の姿絵をダニエル神父に渡した。


「こ、これは……」


 一枚目は、普通の姿絵で、二枚目はキャストオフバージョンだった。


「よく、こんな絵のモデルをしてもらえたね。

 こんなものを持ってたら、天罰が起きそうで怖いな」と言って、二枚の絵を返してもらった。


「芸術って思えば、別に問題はないんですけどねぇ?

 逆に、そっちの方がやましい気持ちあるんでは?」


「なんだろう、よくも悪くも芸術にかける意気込みはあるが、君はソッチ方面で考えが枯れてるんだね。

 だから、魔王化なんてありえないと……」


「はい。僕は、異世界で絵を描いて過ごしたいだけですから」


「他所の教会には、君は魔王予備軍に入らないと報告しておくよ」


「ありがとうございます。

 一応注意しておきますが、女性が嫌いなわけないです。

 付き合うのが苦手なんですよ、女性のらしさが見えてしまうと萎えてしまうというか。

 だからこそ絵に描いてしまえば、その女性の良い部分だけ切り抜けるわけです。

 これは、僕の狂った性癖だと思います……」


「うーん。それは重症だねぇ」


「結果的に、それで良かったじゃないですか。

 僕が魔王にならないわけで」


「確かにそうだな」


「それじゃ。次はギルドで、お仕事探してきます」と言って、教会をあとにした。

本日の投稿は3話投稿になります。


7話 0:00~1:00 の間  ※イマココ

8話 7:00

9話 19:00~20:00 の間


の3話投稿です。

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