次の標的は?
エルフの森での防衛戦が終わり、二ヶ月の月日が経とうとしていた。
陛下は城下街へ帰られ、カジノで売りに出されたエルフの奴隷と、処分される予定の奴隷は知り合いの奴隷商人の名義で全て買い取った。
そして、エルフ達は村へ帰宅させ、奴隷として買った人間たちは僕の屋敷の建築予定地の住宅地へ連れていって生活をさせている。
それと、サザランド侯爵の動向が気になったので、情報屋のダンチに再び依頼をかけて大きな動きがないかという件を継続で調査してもらうことにした。
カジノから奴隷を購入することで、金をカジノから貴族に渡すことになるが、貴族達は次の仕入れが出来ていない。
これが意味するところは、貴族達は新しい収入源を作る必要があるという事だ。
いつものように、絵画の販売も順調でこれといってテコ入れをする必要はない感じだ。
こんな感じで二ヶ月が過ぎ半年後には、僕の屋敷が建設されることになった。
逆に言えば、いまだに宿屋暮らしをしている。周りの事を優先してたらこうなってしまったが、仕方ないと納得させた。
その半年間の間に、コーディがラッド侯爵に面会に来たりと色々と手を打っていたらしいが、ほとんどを断ったらしい。
奴隷がいないことで、闘技場でのイベントがなくなりカジノの人気の低下が起きた。
そして、売り上げの減少が起き始め、ラッド侯爵に対してカジノの売却案が持ち込まれたという情報をラッド侯爵から直接聞いている。
カジノの施設の購入に関しては、前向きに検討するべきとラッド侯爵に提案した。
街の治安を落とす要因でもあるが、経済を支えている要でもある施設だ……。
クリーンなイメージを作りつつ、楽しめる施設に転換していけば街の治安も多少は回復するだろう。
とりあえず、今回はカジノ購入は前向きに検討しておいて、今は断っておいた方がいいとラッド侯爵に伝えた。
そうしないと、サザランド侯爵とコーディがカジノ売却で資金を得て、ゴレッジの村での防衛戦が厳しくなるからだ。
その旨を納得してもらった上で、色々と今後についての対策などをラッド侯爵と詰めていった。
そして、僕の屋敷が建築が始まったと知らせを聞いたと同時に情報屋から不穏の情報がやってきた。
主な内容は、調達が難しくなったエルフだが、ゴレッジの村のギルド長が見た目もよく、単体で売りに出せばいい金額になるのでギルド長に村を襲わない条件を飲ませて、敗北を認めさせようという話だ……。
何故、内部の情報が漏れたかというと、ダンチが潜り込んでいるのもあるが、前回の出兵の大敗が兵士達にも効いているみたいだ……。その結果、兵達から愚痴が漏れて情報屋としては難易度が低い程度に情報が抜き放題だそうだ……。
貴族達のターゲットがわかってしまえば、こちらとして対応できる。
もし、その条件でティーゼさんを脅してくるようなら、この近隣を守る貴族として僕が動くことができる。
なので、僕はこの件を村のギルド長のティーゼさんに伝えておいた。
ティーゼさんは少し怯えたそぶりを見せたが、それに対して僕は「貴方は僕が守りますから……。
それに、この村の皆も僕にとって大切な方達ですから……」と言った。
その後、何故かティーゼさんが顔を赤らめた……。
「とりあえず、貴族がティーゼさんに何か行動を取ってきたら。
僕にご連絡ください、防衛戦の対策とりますから……」
「ど、どんな方法をとるんですか?
エルフの森のモンスターと比べて、こちらの森にはゴブリン位しか出ないのでそこに期待は出来ないのでは?」と、ティーゼさんが聞いてきた。
「はい、それについては期待はできませんが……。
それ以上に、エルフに対して僕は恩を売ることができたのです。
[転送魔法]で、エルフの魔法使い達を招集して【南の森】に対して、簡易の城壁を作ってもらいその城壁からエルフ達の弓兵で一気に相手を蹴散らします。
ゴレッジの村に対しては、サザランド達は貴方が折れると思っているだろうし、村を攻めるのに城壁の攻略が必要とは思わないでしょう」
「それで、サトウさん。
私は何をすれば……?」
「それは簡単ですよ。
ギルド所属の村を襲った貴族に対して損害の賠償を行なってください。
悪事をスゴロクの街のギルド、城下街のギルドにも伝えてください。
前回、各地のギルド巡りした効果がより一層現れるでしょ」
「それは、当然しますよ。
相手が貴族だとしてもギルドとして、舐められるわけにはいきませんし。
それに、心強い貴族の味方が私達を守ってくれてますからね」と、ティーゼさんはじっとこちらを見つめてきた。
「あははは……期待には答えますよ」と、照れ隠しで頭をかきながら言った。
そして、話を変えるために結論を言った。
「それで、ラッド侯爵に兵を借りてサザランド侯爵とコーディの両名を捕らえます」
「ギルドから連絡が入った時点で、僕達は彼等を拘束することができる。
しかも、その二人は敗軍の将だ……。街が受け入れてくれなければ……何もできない」
「あの? 二人が前線に出てくる前提で話をされてるんですけど、出てこない場合は?」
「一般兵程度が森でエルフの戦士に勝てるわけがないですし、既に二度エルフに敗れた連中です。
出でこないようなら、森で狩りを行い撤退をさせるまで……。
捕まえた兵士達に自白させて、そのままサザランド侯爵とコーディの両名を街で捕らえますよ」
「本当に上手くいくんでしょうか……」
「ティーゼさんが、『鉄の女』の異名の持ち主ですし、拐うにしては難易度が高すぎる相手でしょ。
心を折って、自ら折れてくれた方が貴族としては、ありがたいわけで……。
普通にやったら奴隷にできないから、責任感や地位を利用して悪さを考えようとするのが、あいつらのやりそうなことです。
ウチのセリナは、それで騙されて犯罪者奴隷に落とされたんですからね」
「なるほど……」と、ティーゼさんはそれで納得してくれたみたいだ。
「もし、何かあってサザランドの屋敷に行くように言われたら。
僕の名前を使って断ってください」
「わかりました」と、ティーゼさんはいうと何故か嬉しそうにしていた。
しばらくして、ティーゼさんからサザランド侯爵の使いが来た事を聞き、情報屋のダンチから悪党貴族ニ名とその兵士達が、スゴロクの街を出た旨を聞くこととなった。
サザランド侯爵!! 今度こそ、決着をつけてやるぞ覚悟しとけ!! と、気合いを入れながら、[転送魔法]で、セリナを連れてエルフの集落へ向かった。




